キャッチが頭にのこる、言葉のちからで、メロディを借りて
記憶に残るCMってどんなものだと思いますか?
インパクトのある商品はもちろん、
すてきな動画のものもあるでしょう。
でもちからのある言葉でのキャッチイメージは、いつまでも残る
そんな気がします。
今回は食べ物のCMで、特に記憶に残るものを並べてみました。
私つくるひと、僕食べるひと
しょっぱなは、そのキャッチが物議をかもしたCMです。
このCMの中のセリフが、女性団体から『料理を作るのが女性だと決めつけている』と抗議を受け
放送中止に追い込まれました。
でもよく見ると、女性はにこやかに「作ってあげよう」と言っているし
それを受けて作ってもらった男性もうれしそうにしてますよね。
愛情たっぷり系の家族のようですが。
しかしこのCMの影響で「クラスの男子が給食当番をやらなくなった」という声から抗議が上がり、ハウス食品は1ヶ月でこのCMの放映を中止します。
世間的には「それほどのことじゃ」という反応がほとんどだったと思いますが
これをきっかけに「性差」という意識が、日本の人たちに入り込んできたのは、確かな気がします。
それまでは気がつきもしなかった概念だったわけですね。
石立鉄男が「自分でバンバンしなさい」と言う「焼きそばバンバン」のCMは
この「私作るひと」への揶揄だと噂されたりもしましたが
自分でバンバンのCMは1974年、シャンメンは75年ですから
そういう意味ではなかったと思います。
おせちもいいけどカレーもね
ハウス食品続きます。
でも重い話はもうないよ~。
ククレカレーは1971年発売のレトルトカレー。
でもレトルトは、1969年のボンカレーにかなりシェアを取られていて
ククレカレーは苦戦してたんです。
和田アキ子のCMで知名度を上げたのち、
年末年始の「買い置き需要」をねらったキャンディーズのCMが受けて
ククレカレーは不動の商品になりました。
正月、いいかげんおせちに飽きてきたころにカレーを食う、というのも
ほぼ、定着したかと(笑
あ、ククレ、っていうネーミングは「クックレス(調理要らず)」が語源らしいですよ。
にら
いやその、「にら」はキャッチじゃないんです。すみません。
プチダノンは、1980年代中ごろに発売されたヨーグルトです。
小さいパックで、幼児や子ども向けに開発されたものなので、CMも当然子どもが登場します。
え? にら? え?
っていう台本にない行動とリアルなアクションがツボで。
たぶん撮ったのをそのまんま流したのかな~と。
この後につくられたCMも
台本はあったのかもしれませんが、内容はいろいろとシュールでした。
最後の、銭湯の脱衣場編は
現代で放映したら児童ポルノだと訴えられそうなシロモノです。
なのでここには貼りませんm(__)m
シアワセ~ってなんだ~っけなんだ~っけ
さんまちゃんが「オレたちひょうきん族」で
アミダババアとか知っとるケとかやって
「ヘンな格好するお笑いのひと」というイメージが定着した後
「男女7人夏物語」で、「えっ、こいつカッコいいじゃん」と
いきなり高感度が1位になった頃のCMですね。
カッコつけて歌ってるわりにはそーんなにうまくはない
というのもある意味高感度UPのポイントかも。
これがめっちゃうまかったらイヤミですがな。
ポン酢しょうゆは売れたのかな?
このあとに放映されたCMだったと思いますが
やはり同じキッコーマンの丸大豆醤油のCMで
安田成美が「しょうゆって書ける?」
っていうのもありましたね。
物議をかもすというほどじゃないけど、ドヤ顔で言われるのがちょっと、
というので話題になりました。
最後に「薔薇って書ける?」ってダメ押しもしてたんだよね。
焼き肉焼いても家焼くな
1990年、日本食研「晩餐館」シリーズのCMです。
日本食研は、業務用のたれのトップメーカーですね。
「晩餐館」シリーズの焼き肉のたれを一般販売するにあたり、
最初は関西ローカルからこのCMが流れました。
実際に火事にあった人からは「不謹慎だ」というクレームもあったようですが
どちらかというと「カンカンカンカン晩餐館」の方が耳に残るかも。
このつり目牛さんたちは「バン」「サン」「カン」という名前があったらしいのですが
明石家さんまに「バンコ」と呼ばれたため、その後名前が「バンコ」になりました。
最後に「にほんしょっけん」と言っている子どもの声は、
おかあさんといっしょ7代目歌のおにいさん坂田おさむの娘さんだそうですよ。
しば漬け食べたい
フジッコのつけもの百選。1987年です。
超仕事のできそうなバリキャリの山口美江。
髪形も服装もバブル最盛期です。
エレベーターでひとりになったとたんにつぶやく「しば漬け食べたい」が
バブルで24時間戦っている日本人の心をわしづかみにしました。
山口美江はおじいさんがドイツ人のクォーター。
上智を卒業後、社長秘書や通訳などを経て、CNNヘッドラインのニュースキャスターに。
リアルバリキャリだったわけです。
その後、芸能界は引退してアルツハイマーになった父親の介護を行い、
2012年に独身のまま51歳で亡くなられました。
玄関開けたら、2分でごはん
1993年、サトウのごはんのCM。
何がこわいって、みーんなアタマにごはん乗っけて
カメラ目線で訴えてくるところ。
今見たら座ってる人もそうだよ。こえーよ。
でも左の座席に座ってるおじさまだけは乗っけてないんだよ。
レンチンごはんは、今でこそ市民権を得ましたが
当時はうさんくさい、おいしくなさそうな食べ物と思われてたんです。
おいしさよりも「はやさ」をクローズアップしたのが功を奏したのか
「サトウのごはん」はレンチンごはんの代表格になりました。
こんな運動しなくても
2003年、サントリー 燃焼系アミノ式のCM。
キャッチも秀逸ですが
商品を連呼しキャッチをうたうメロディと
動画のコラボの面白さがピカイチなCM。
ラジオ体操をほうふつとさせるメロディとアレンジ、
「いや、無理でしょ」とみんな思うような運動をする人の上に
「こんな運動しなくても」。
いやー今見てもうまいです。
シリーズ化したのも当然かと。
このあとは、
最近運動会でけが人が続出してやらない方向になっている「人間ピラミッド」とか
片手倒立で犬の散歩に行くお父さんとか
結婚式で体操選手みたいな胴上げを披露する新郎とか出てくるんですが
倒立のお父さんから、キャッチが「こんな運動したくても」「無理!」という
ものに変更になりました。
恋は、遠い日の花火ではない
時代はちょっと戻りますが
1994年サントリーオールド。
美しいキャッチの沁みるCM。
「恋は、遠い日の花火ではない。」のコピーから読む「恋」と「男」のこと | 宣伝会議デジタル版
【傑作CM】「恋は、遠い日の花火ではない。」が中年オヤジの心に染みる <サントリーオールドCM> - Middle Edge(ミドルエッジ)
その1の長塚京三も、その2の田中裕子も
いい感じに年を重ねた「大人」として描かれます。
でも最後の「ぴょん」に、まだまだ捨てたものじゃない、という
気持ちの若さを見せていて、ふっと笑ってしまう、そんなCM。
どんな人にも訪れるかもしれない感情と、郷愁と。
秀逸なキャッチと、
シチュエーションと俳優さんの表情とであらわした、名作ですね。