プログレにありがちな独特な邦題!!
1970年代に流行していた「プログレッシブ・ロック」。10分以上の大作志向、変拍子・転調などを多用した複雑な楽曲、クラシックやジャズなど他ジャンルの音楽との融合、といった特徴がありました。キング・クリムゾン、ピンク・フロイドといったイギリス5大バンドが特に有名ですよね。
そんなプログレですが、「アルバムの邦題にユニークなものが多かった」のを覚えていますでしょうか?この記事では、主に70年代にリリースされたプログレのアルバムの中から、いくつかピックアップしてご紹介したいと思います。なお、フランク・ザッパについては、面白邦題が大量にあるので別記事をご覧ください!
【おもしろ・懐かしい邦題】愛されてるの?嫌われてるの?フランク・ザッパさんの変な邦題集 - Middle Edge(ミドルエッジ)
「怪奇骨董音楽箱」
プログレ5大バンドのひとつ「ジェネシス」が1971年に発表したアルバム「怪奇骨董音楽箱」。原題はNursery Crymeで、童謡を意味する「nursery rhyme」と、犯罪を意味する「crime」を合わせたもの。邦題と全く関係ありません!
「月影の騎士」
1973年に発表されたジェネシスのアルバム「月影の騎士」。こちらの原題は「Selling England by the Pound」。今回も邦題と原題の整合性が全くないのですが、今回は原題が面白い!「Selling England by the Pound (イングランドをポンドで売ります)」とは、当時のイギリス労働党のスローガンから取られたものです。命名するにあたり、政治的な意図があったのだろうか?
「対自核」
昔の洋楽が好きな人なら一度はそのタイトルを聞いたことがあるであろう、ユーライア・ヒープが1971年に発表した「対自核」。原題は「look at yourself」で「自分自身を見ろ」という意味ですが、何故それが「対自核」となったのだろうか?
哲学用語から来ていた!?
邦題の「対自核」ですが、これは「対自」と「核」に分かれます。「対自」とは、実存主義の用語であり、出典はサルトルが発表した「存在と無」という著作です。その著作においてサルトルは、単なる存在である「即自存在」に対して、主体性を有する存在を「対自存在」と呼びました。「対自核」はそこから命名されたと思われます。要は「自分自身が主体的に、自身に内在する核を見ろ」といった意味でしょうか。哲学を齧った人にありがちな、意識高い系な命名と言えるかも?
「ポセイドンのめざめ」
1970年に発表されたキング・クリムゾンの2ndアルバム「ポセイドンのめざめ」。原題は「In The Wake Of Poseidon」で、「ポセイドンのめざめ」という訳は一見すると良さそうに思えるのですが・・・
痛恨のミス!「ポセイドンのめざめ」は誤訳だった!!
邦題「ポセイドンのめざめ」ですが、実は名詞の「wake(航跡)」と、動詞の「wake(めざめる)」を取り違えたために生じた痛恨の誤訳です。本来であれば「ポセイドンの航跡」といったタイトルになったはずですが、「ポセイドンのめざめ」もタイトルとしては格好良いので、まあOKではないでしょうか!?
「人間解体」
1978年にクラフトワークが発表したアルバム「人間解体」。原題は「英語:The Man-Machine / ドイツ語:Die Mensch-Maschine」。普通に訳すなら「人間機械」とか「機械人間」になるんでしょうけど、タイトルのインパクトや格好良さを考えるなら「人間解体」の方が良いと思います!
「恐怖の頭脳改革」
エマーソン・レイク・アンド・パーマー(略称:ELP)が1973年に発表したアルバム「恐怖の頭脳改革」。原題は「Brain Salad Surgery」であり、そのまま翻訳すると「脳みそ・サラダ・外科治療」となります。「さすがに直訳ではまずい」と判断した上での邦題でしょう。名訳だと思います!
「サバトの宴」
イタリアのバンド「ヤクラ」が1975年に発表したアルバム「Tardo Pede In Magiam Versus」。邦題は「サバトの宴」。 死肉を食らう悪鬼のイラストが邦題にハマりますね!これぞ中二病!?以前は結構中古で見かけたので、ジャケ買いの対象にもなってたっぽいです。
「私の奇妙な教育法について」
イタリアのバンド「アルーザ・ファラックス」が1974年に発表したアルバム「Intorno Alla Mia Cattiva Educazione」。「cattiva」は「悪い」という意味なのですが、「奇妙な」の方がアルバムのタイトルっぽい響きになるので改変したと思われます。「ジョジョの悪い冒険」ではしっくり来ませんからね!
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「18歳未満禁止」
イタリアのバンド「JUMBO」が1973年に発表した「vietato ai minori di 18 anni」。日本では「18歳未満禁止」というタイトルになりましたが、これは原題に忠実です。子供のイラストも相まって不穏な印象を受けるアルバムですが、一体どんな内容なんでしょうか?
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「少年易老学難成」
ELPのキース・エマーソンが在籍していたことで知られるザ・ナイスの1968年のアルバム「Ars longa, vita brevis」。原題の意味がよくわからないと思うので解説しますが、こちらはラテン語で「学芸は長し、生涯は短し」という意味で、古代ギリシャの医者・ヒポクラテスの格言のひとつです。邦題を漢文でいうところの「少年易老学難成(少年老い易く学成り難し)」としても、まあ違和感はないですね。
「傾向賛美」
イギリスのアヴァンギャルド・ロック・グループ「ヘンリー・カウ」が1975年に発表した「In Praise Of Learning」。そして邦題は「傾向賛美」という何やら格好良いタイトルなのですが、実はこの邦題、「learning(=学習)」と「leaning(=傾向)」を間違えています!「ポセイドンのめざめ」程ではないですが、痛恨の誤訳としてある意味有名です。
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「曼陀羅組曲」
イギリスのロックグループ「マンダラバンド」が1975年に発表したアルバム「Mandalaband」。アルバムのメインとなるのは20分余りの超大作「Om Mani Padme Hum(邦題:曼陀羅組曲)」。「Om Mani Padme Hum」とは、チベット仏教徒によって最もよく唱えられている真言(マントラ)です。歌詞はチベット語によるもので、政治的な意味合いの強い楽曲となっています。