スパイダーマン同士の対決!
*これこそ原作コミックでも描かれた、悪役ジャッカルによるスパイダーマンのクローン作成のエピソードを元にした物であり、後年原作コミックでも賛否を巻き起こす、「クローンサーガ」へと続く内容!
同じスパイダーマンの格好で闘うピーターとクローンとの対決と、ラストでどちらが勝ったか一瞬判らなくなる展開は、非常に原作コミックに近い!
制作費の関係で原作コミック通りの悪役が出せなかった本シリーズの中で、この「Night of the Clones」の回はコミックスファンにも満足の行く内容となっている。
第6話「Escort to Danger」:放送日1978/5/3
[あらすじ]
ニューヨークを訪問中の南アメリカ某国の大統領とその令嬢。だが、パーティーの最中にその令嬢が何者かに誘拐されてしまった。民主主義派の大統領を失脚させ、再び独裁政権の復活を企む敵の一味から、スパイダーマンは彼女を無事に取り戻せるのか?
俳優自身が演じた決死のスタント!
*第1シーズン最終話で大統領の令嬢役を演じるのは、後の有名女優マデリーン・ストゥ。誘拐された政府の要人を追うスパイダーマンが、途中路上で赤ちゃんを連れた女性が車に轢かれそうになるのを見て、咄嗟に女性の方を助ける描写などは、正に原作コミックの有名なキャッチフレーズ「あなたの愛すべき隣人」を良く表していると言える。
ちなみに本エピソードで、崖から落ちて炎上・爆発する車の中から、ピーターが間一髪脱出するシーン。何と、主演のニコラス・ハモンド自身がスタントマン無しで演じているので要チェック!
「スパイダーマン」第2シーズン概略
第2シーズンから使用されたOP
後述する様に、第2シーズンからはプロデューサが交代。それに伴い、番組の内容も大幅に変更されることになる。
まず、ピーターのライバルにして、恋のお相手であるジュリー・マスターズが登場。残念ながら、メイおばさんは第2シーズンから登場しなくなり、ピーターの私生活も描かれなくなってしまう。
夜8時からの放送に適した、よりアダルト向けの内容へと変更されたためだが、ピーターのキャラクターも、新聞社に特ダネ写真を売り込んで買ってもらう、フリーの駆け出しカメラマンという弱い存在から、ジェイムスン社長と直にやりあったり、自分で独自に事件を追うなど、かなり自信に満ちた有能な記者兼カメラマンへと変更されて行く。
第7話「The Captive Tower」:放送日1978/9/5
[あらすじ]
最新鋭のハイテク警備システムを備えた高層ビル。そこに眠る巨額の現金1000万ドルを狙って、強盗集団がビルを占拠。最新鋭の警備システムを乗っ取ってビルの中の人々を人質に取ってしまう。偶然取材でビルの中に居合わせたピーターとジェイムソン。果たしてスパイダーマンはこの危機的状況から脱出し、人質を無事救出出来るのか?
*1時間のエピソードを2本にまとめ、90分の映画としてアメリカではビデオ発売されたため、実はこのエピソードだけが組み合わせ上余ってしまい、結局未だにソフト化はされていない。
舞台が高層ビルとあって、スパイダーマンがビルの壁に張り付いたり登ったりするシーンは迫力満点!
現在の目で見ると、ヘリコプターが着陸出来ない様に、ビルの屋上に感知装置付きの爆薬を仕掛けるなど、内容や描写が完全に映画「ダイハード」なのが興味深い。
本エピソードはその後、90年代にアメリカのSci-Fiチャンネルで再放送されたのみで、マニアにとっては非常にレアなエピソードとなっている。現在流通している本作のDVDセットは、VHSソフト化されたエピソードに、この「The Captive Tower」のテレビからの録画映像を加えた物であり、本エピソードだけ画質が落ちるのはそのためだ。
第8話「A Matter of State」:放送日1978/9/12
[あらすじ]
NATOの国防機密計画が、輸送中テロリスト集団に盗まれ、機密と引き換えに多額の身代金を要求してきた。偶然にもテロリスト集団の証拠写真を撮影してしまった、ライバルの女性カメラマン・ジュリーを守りながら、果たしてピーターは機密計画を奪還出来るのか?
実際にエンパイアステートビルを登るスパイダーマン!
*この第8話の最大の見所は、何と本物のエンパイアステートビルの外壁を、スパイダーマンが合成無しで登るシーン!かなりの高層階の部分を実際によじ登っていくスパイダーマンの姿は、CG合成が一般化した現在の目で見ても、充分驚かされるので必見だ!
後述するが、この辺から「普通の刑事ドラマにスパイダーマンが登場している感」が強くなってしまうのは、原作ファンにとっては少し残念。
原作者のスタン・リー自身が、後にインタビューで語っている様に、本人はこのシリーズが「子供向け過ぎる」と感じていたらしい。第2シーズンより、プロデューサーが「600万ドルの男」を製作したライオネル・シーゲルに交代したこともあり、次第に番組の内容もアダルト向けの物へと変更されて行くことになる。
第9話「The Con Caper」:放送日1978/11/25
[あらすじ]
刑務所に投獄されていた政治家ジム・コーヴァンが釈放された。その直後、囚人達によりその刑務所が乗っ取られてしまう。交渉のために単身刑務所に乗り込んだジムは、囚人達の要求通り刑務所の設備をリフォームさせることを約束。事態は全て収束したかに見えた。だが実は、全ては彼の計画による物だった。施設のリフォーム工事に紛れて囚人達を脱獄させ、彼らに100万ドルを強奪させようと言うのだ。果たして、スパイダーマンはこの計画を阻止できるのか?
*アメリカでのビデオリリース時には、何故か第1シーズンの第4話と合わせてソフト化されていた、本エピソード。
脱獄する囚人の一人を、「ダーティハリー」1作目の悪役スコルピオでも有名な、アンディ・ロビンソンが演じているのも見逃せない。100万ドルが眠る金庫のあるビルに侵入するため、隣のビルの屋上からバイクでジャンプするシーンなど、かなり見せ場は多いが、第2話で登場した、「ビルから落下するスパイダーマンが、自分でネットを張って助かるシーン」が、そのまま使い回されているなど、製作上の苦労が見て取れる。
第10話「The Kirkwood Haunting」:放送日1978/12/30
[あらすじ]
ジェイムソン社長の古い友人である、財産家の未亡人の元に送られたピーター。広い屋敷に一人住む彼女は、夜毎現れる死んだ夫の亡霊に悩まされていると言う。しかも、この怪奇現象を検証に来ている調査グループに多額の現金を寄付する様、夫の亡霊に告げられているとのこと。
ジェイムソンからの依頼で、この怪奇現象を調査に来たピーターだったが、そこには思いも因らぬ事実と危険が待ち受けていた。
本物のクマ対スパイダーマン!
*未亡人が住む広大な屋敷の敷地内には動物園があり、ライオンやクマなどの猛獣が放し飼いになっているという設定!そのため本エピソードには、本物のクマやライオンとスパイダーマンが闘うシーンがあり、ファンにとってはある意味「お宝映像」となっている。
第11話「Photo Finish」:放送日1979/2/13
[あらすじ]
ピーターは、ある貴重なコインのコレクションの取材のため、コインの持ち主の元を訪れるが、取材中暴漢に殴られ気を失っている間に、コインを盗まれてしまう。襲われる瞬間、咄嗟に撮影した写真には、銃を向ける女性=持ち主の別れた妻に似た姿が写っていた。真犯人が彼女に罪を着せるために仕組んだ罠だと気付いたピーターは、彼女の無実を証明するために自ら刑務所に投獄される。
犯人がこのニュースを知って安心し、何か行動を起こすのを狙っての作戦だった。スパイダーマンの能力を使い、刑務所を抜け出したピーターは、果たして真犯人を見つけることが出来るのか?
*第1シーズンでは、まだ個性的な悪役を出してコミックスの世界観に近づけようとする努力が感じられたが、第2シーズンでは普通の刑事物やミステリー物に、ただ単にスパイダーマンが登場するだけ、となってしまっているのが残念!本エピソードでも、スパイダーマンが足を拳銃で撃たれる描写があるなど、大人向けのドラマにシフトして行く様子が良く判る。
第12話「Wolfpack」:放送日1979/2/21
[あらすじ]
ピーターの大学での同級生が、実験中のアクシデントにより、偶然人間の精神を自由に操ることが出来る、特殊なガスを発明してしまう。それを知った悪徳化学薬品会社の代表ヘンソンは、ガスで学生たちを操り現金を強奪させようとするが、間一髪現れたスパイダーマンによって阻止される。ヘンソンは次々にガスで人々を操り、遂には軍隊までも手中に納めようとするのだった。果たしてスパイダーマンは、この陰謀を阻止できるのか?
*第2シーズンの中では、一番原作コミックの世界観に近い内容となっている、本エピソード。工場でのアクションシーンを初め、アクションは中々の迫力だが、ストーリー自体は第1シーズン第1話の焼き直しみたいに思えるのが残念だ。
第13話「The Chinese Web」:放送日1979/7/6
[あらすじ]
第二次大戦中の無実の罪により、中国政府から追われているチャイナ。ジェイムソン社長の大学時代の友人である彼がニューヨークを娘と訪れたのは、当時の事件の再調査を依頼するためだった。調査を始めたピーターだったが、さっそく謎の殺し屋たちに襲われる。真実を探るため、香港へ飛んだピーター。果たして彼は、襲い来るカンフーの達人たちを倒し、真実を証明することが出来るのか?
最終話の日本版ビデオと衝撃のシーン!
*本エピソードの見所は、何と言ってもスパイダーマンのマスクが剥がされ、正体が明らかになってしまうシーンだろう。後年製作されたサム・ライミ版「スパイダーマン2」でも描かれた、原作ファンにはお馴染みの展開なのだが、やはり見ていてドキドキしてしまう。
元々2時間のスペシャル版として製作された本エピソードだが、後の再放送時にはテレビ放送用に、前編後編の2回に分けて放送されている。最終話ということもあってか、本格的な香港ロケを実施。シリーズの中では一番スケールの大きなエピソードとなっている。
本エピソードも後に多くの国で劇場公開されたが、「プルトニウムを追え」と同様、残念ながら日本ではビデオリリースと日曜洋画劇場での放映のみに留まった。ピーターの友人の軍人役で、「CSI」でも有名な若き日のテッド・ダンソンが出演しているのも見逃せない。
最後に
いかがだっただろうか?
日本の東映が製作した、あの「スパイダーマン」に先立つこと半年。本国アメリカでも、ほぼ同時期に「スパイダーマン」が実写化されていたとは!
こうした流れを踏まえて見返してみると、確かにクモ糸の表現や壁に張り付いたりするアクションは、東映版に通じる物がある。
日本独自の設定(巨大ロボやマシンの登場、それにあの独特のポーズなどなど)も凄いと思うが、本シリーズの様に、夜8時放送の1時間ドラマとして、大人の鑑賞に堪えうる作品を作ろうとしたアメリカ版のアプローチは、現在のマーベルコミックス作品の映画版の大ヒット振りを見ても、決して間違っていなかったと言えるだろう。
何にせよ、このテレビシリーズの実現により、80年代に始まる実写映画版企画が動き始めた訳で、現在公開中の「ホームカミング」も、このTVシリーズが無ければ決して実現することは無かったのだ。
残念ながら未だにDVD化されていない本シリーズだが、今後のマーベル映画化作品のソフト発売に合わせて、いつかDVD化される日が来ることを願って止まない。
次回は是非、「スパイダーマン」映画化実現までの長い道のりを紹介したいと思う。