『ガンプラり歩き旅』その22 ~みんな大好き! ジオン水泳部のエース!~

『ガンプラり歩き旅』その22 ~みんな大好き! ジオン水泳部のエース!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする大好評連載の第22回は、シャアも乗りこなした、ジオン水陸両用モビルスーツのアレ!


ちなみに、現在ではHGUC開始からも最早既に18年が経過しており、その間もガンプラは技術革新が突き進み続け、おかげで初期のHGUCキットは、今では現行最新HGUCと並べるには格落ちレベルの出来に成り下がってしまったので、という理由で、ガンプラ35周年の2015年からは「HGUC REVIBE」という冠を付けて、ガンキャノンやギャン、キュベレイなどが改めて最新の技術でリニューアル新発売された。
そこのあなた。「その理屈は『ウルトラセブン』(1967年)でいうところの『血を吐きながら続ける悲しいマラソン』であって、それではまるで『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』(1984年)劇中世界のように、“終わらない新商品展開”が続くのではないのか?」と疑問を持ったあなた!
……正解です。

もちろん、ジムを串刺しにしたあの姿勢を再現するために、足の可動領域はかなり大胆に広がっている

まぁ、細けぇこたぁどうだっていいんだよ!
さすがにこのコラムも、肝心のズゴックの話が一行も出ないまま、どんだけHGUCについて語ろうってんだってぇ話ですから、もうこの辺でズゴックの話に移りますよ! ハイ、ハイ、気付いた真実とビジネスの深遠さは、今は忘れる!

夜更けのベルファスト基地に上陸した量産型ズゴックが、補修収容中のホワイトベースを狙う!

というわけで、ようやく1/144 HGUC ズゴックの解説。
はい、満点! どこからどう見ても、ケチの付けようがない100点満点の1/144ズゴックです! 終わり!
……え。ダメ?

中空突進しながらの、頭部ミサイル全弾発射! ここはあえてグレーで塗装しておきたい箇所

いや、まぁ、確かに今の目で見れば、いろいろツッコむところはあるプラモデルではあるけれども、逆を言えばズゴックだって、REVIBEこそされてないものの、むしろそれよりさらに性質の悪い、まるで“米粒に写経を書いた”かのような、究極の超精密ディティール版1/144でもあるリアルグレード(RG)シリーズで、2014年7月にはシャア専用ズゴックが発売されたんだけど、むしろRG版が既に、色んな意味で「お前もう、ズゴックじゃねぇじゃん! っていうか、誰だよ、お前!」感が満載であり、少なくとも旧キットの戦艦シリーズやモビルアーマーなんかと並べる前提論でいえば、いくらなんでもRG版はないわー、という話に落ち着いてしまうわけで、そういうこっちの都合みたいな案配でいえば、色んな意味でズゴックは、この初期HGUC版で、過不足なく充分なのである。

ジオンの水陸両用型モビルスーツの中では、一番ヒロイックなデザインとシルエットの機体

一応キット批評みたいなところでアレコレ言及するならば。
このHGUC ズゴックは、上記した百式やキュベレイに続く形で、まず1999年11月に量産型が発売。その後、腰の回転可動などを改善したシャア専用ズゴックが2001年2月に発売され、その後は再販される量産型も、腰の回転機能が改善された状態に至ったという流れがある。

ジャブロー攻略戦では、多くの量産型ズゴックが、ザクやグフなどとともに空挺落下部隊で参戦した

キットの出来の方は、水陸両用モビルスーツ特有の節関節を、ABSのボールジョイントで節単位で曲がるように設計がされて、結果腕と脚のラインが自然に見えるポーズに仕上がっている。
両手の爪も開閉可能。膝関節は脛のアーマーを分割することで90度近く曲がり、パーツの色分けも成型色でほぼ完璧。モノアイはシールだが、頭部カバーが簡単に外れるので、その上でシールを貼りなおすことで(まぁシール自体の粘着力的に、回数の限界はあるが)モノアイの位置も自在に変えられる……って、もうこの時点で、HGUCの基本コンセプト的に90点以上の完成度を誇っており、そりゃディティール過密過多リファインでもしない限り、再商品化は無意味だよなぁという「正解」の典型例キットとなっている。

頭から、ガンダムのビーム・サーベルに一刀両断されるズゴック。量産型ズゴックの印象的なヤラレシーンである

弱点、欠点をあえて挙げれば、股関節の可動が、前方へ踏み出したポーズを取りにくいのと、その股関節が多少外れやすいのと、全ての関節がABS樹脂製なので、ヘタレが起こりやすいのと、本当にそれぐらい。
逆に、後発のHGUCキットでは(その時々で酷評するかもしれないけれど)不出来なキットや、意欲に技術が追い付かなかったキットなど多々あるのだけれど、ことズゴックに関しては、「俺はどうしても、ズゴックにジョジョ立ちをさせたいんだ!」とか「俺の夢は、ズゴックに、コサックダンスを踊らせることなんだッ!」とかの、無茶を言う人ではない限りは、これで充分だよ、と、80年代当時のガンプラで鍛えられた中年は思うのですよ。

全身の関節がABS樹脂製なので、ポーズがなかなか固定しづらいというのはある。飾るときは肘と膝関節を上手く使おう!

あ、一つだけ、一つだけ文句があった!
っていうか、この文句はHGUC ズゴックへのクレームじゃなく、およそ80年代のガンプラの塗装指定から始まって、ほぼ全てのズゴック量産型フィギュアに言えること!

いいか!? サンライズもバンダイもエンドユーザーも、今回のHGUCキットの色指定担当もボックスアートも、ほぼ全員が思考停止で勘違いしているかもしれないが、“ジオンのモビルスーツ、及びモビルアーマーのモノアイ”が、ほとんど(ビグロとギャン除く)ピンク色なのに対して、“ズゴック”しかも“量産型”は、なぜか、どうしてか「白」なんだよッ!

量産型ズゴックのモノアイは「白」だ!

そりゃ、シャア専用ズゴックのモノアイはしっかりピンクだし、量産型ズゴックのモノアイの白だって、アニメスタッフの単なる色指定ミスか色パカという可能性も捨てきれないけれど!
サンライズの偉い人も言っているだろう!「映像化された時点で公式です」と!
だからッ! 量産型ズゴックのモノアイは、白で決まりなんだよッ!
絶対に白な!? 50歳を越えたガンプラマニアで、量産型ズゴックのモノアイをピンクで済ませてる奴ァ、ニワカかモグリだから、気を付けろ!(なににだ)

というわけで、今回のHGUC ズゴック製作。
ほぼ完璧の色分けに対して、一応頭部の240㎜ミサイルをファントムグレーで塗った他は、量産型のモノアイを、白く塗りなおしただけ。本当、それだけ。
白いモノアイが、ちゃんと真円になってないとか言うな!

『ガンプラり歩き旅』も、ここへくるまで旧キットの部分塗装だけで、どんだけ苦労させられたと思ってるんだ! HGUCぐらい、楽をさせろ!
だから、ピンクのままでいいシャア専用ズゴックのモノアイは、シールのままだ!
以上!(え、なんでキレてんの、この人)

市川大河公式サイト

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