『サブリミナル効果』の定義
サブリミナル効果とは、意識と潜在意識の境界領域より下に刺激を与えることで表れるとされている効果のこと。
例えば動画の中に、1枚の静止画を挿入するような状況で表れるとされる効果。
ある一定の時間内に極めて短時間の画像を挿入することで、視聴者は知らぬ内に、画像のイメージや画像に書かれた文言が潜在意識下に植えつけられてしまう。
画像が一枚表示されても、動画においてははっきりと認識することも難しいが、画像の視覚情報は脳が認識しているため、いつの間にか画像の情報が刷り込まれてしまうという。
自らの意識でコントロールしている情報ではなく、刷り込まれた情報(後述のコーラやポップコーン)に引き寄せられてしまう。また、視聴者は画像を挿入した者が意図する行動を取るとされる。
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サブリミナル効果で、コーラやポップコーンの売上が向上!
コカ・コーラ
ポップコーン
【サブリミナルの”効果”は信ぴょう性が低い?】
上記の実験の効果が実証されれば、非常に恐ろしくもあるが、人間の心理を逆手に取った遊び心のある表現が出来るのではと、当時の人々は思ったのではないだろうか。
しかし、映画館での実験を行ったヴィカリは、アメリカ広告調査機構の要請にも関らず、この実験のついての論文を発表しなかった。
翌年にはカナダのCBCが番組「クローズアップ」内で、ヴィカリの会社と新たな実験を行っている。番組で352回にわたり「telephone now(今すぐお電話を)」との文言を投影させた。しかし、一本の電話も無かったという。
後年、ヴィカリ自身「マスコミに情報が漏れた時にはまだ実験はしていなかった、データは十分にはなかった」という談話を残している。また、新潟大学の鈴木光太郎教授は、この実験そのものがなかったと指摘している。
誰も掛けてこなかった・・・。
世にも奇妙な物語の恐怖回「サブリミナル 」
サブリミナル効果を題材にしたドラマがフジテレビ「世にも奇妙な物語」内で放送された。放送日は1992年12月30日。主演は東幹久、共演は森本レオだった。
放送当時から5年後の近未来を描いた話。人口増加に拍車がかかり3億4000万人が住む日本が舞台。65歳以上の高齢者の比率も高くなり、彼らに対して政府が陰謀を仕掛ける内容。
その陰謀は高齢者をまるで家畜を処分するかのように、殺していく事だった。殺すと言っても殺し屋を雇う訳ではなく、多くの高齢者本人たちに自ら死を選ばせたのである。
政府はテレビCMのサブリミナル効果を用いて、自殺へ誘導していった。高齢者の自殺が社会問題へと発展していく中で、カラクリに気付いた新聞記者の西村(東幹久)と神野(森本レオ)が世間に公表しようとするが、政府側の人間によって阻止されてしまうのだった。
「バイバイ65 65才以上の者は自ら死を選べ」
皆はどの話が1番恐かった?私が選ぶ最恐ツートップ!「世にも奇妙な物語」 - Middle Edge(ミドルエッジ)
映画「ファイト・クラブ」でも使われたサブリミナル効果
劇中、ブラッド・ピット演じる架空の人物、タイラー・ダーテンが子供向けアニメ映画に一瞬だけ裸の女性を入れ、子供を泣かせるシーンがある。
他にもタイラーが数か所ちょこちょこと登場する。一瞬、登場し、消えていく。
これらはタイラーが実在しない事を暗に伝えるための手法として使われている。また、制作サイドが当時全盛だったサブリミナル効果を使ってみたかったのではと言われている。
突然、物語の進行とは無関係にタイラー(右)が一瞬登場する。
日本のテレビ放送でも使用された
海外では、サブリミナル効果を用いた広告等に対して、”公の利益に反する”とされ、”人を欺こうとしている”とネガティブなイメージで認識されていく。
一方、日本では1995年に、日本テレビ系列のテレビアニメ「シティーハンター3」第11話(1989年12月24日放送)の再放送で、某教団代表の顔が1フレームだけ挿入されて放送された事を、TBS系のニュース番組で報道され、「サブリミナル効果」として問題視された。
しかし、その後逆に日本テレビ系列も、TBSの番組内で前述の人物の画像が無関係な場面で複数回挿入されていた事を報道するなど、問題が拡大した。
なお、80年代から90年代前半のテレビアニメでは、ビデオデッキで録画した番組をコマ送りしないと確認できないような内容に無関係なカットやメッセージを一瞬だけ挿入したり、群集シーンに別の漫画やアニメの登場人物を紛れ込ませるといった行為は制作スタッフの“お遊び”として当たり前のように用いられており、「シティーハンター3」だけが特別なものではなかった。
問題となったシティハンター3の映像には、漫画「伝染るんです。」の登場人物「かわうそ君」の画像も挿入されていた。
以降、テレビでの規制が厳しくなり、1995年9月26日に日本放送協会(NHK)が、1999年には日本民間放送連盟が、それぞれの番組放送基準でサブリミナル的表現方法を禁止することを明文化している。
テレビ放送以外では、1994年公開の映画「RAMPO (奥山バージョン)」でも、演出として「サブリミナル効果」が実施されている。ただ、この映画では他にも「1/fゆらぎ」、「フラッシュバック」、上映館でのフェロモンを含む香水を使った「フレグランス効果」など様々な仕掛けが施されている。
1995年のWOWOWでの放送時には、サブリミナル効果等を狙った部分はカットされて放送されている。
映画「RAMPO (奥山バージョン)」