『ガンプラり歩き旅』その13 ~劇場版で消え、小説版で優遇された、謎のモビル・アーマー登場!~

『ガンプラり歩き旅』その13 ~劇場版で消え、小説版で優遇された、謎のモビル・アーマー登場!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする新企画連載の第13回は、、木星帰りのニュータイプ専用機です!


“私はシャリア・ブルという。シャア中佐の同盟者だ! 手を貸せ! 互いに敵対しあう相手ではない!”(小説『機動戦士ガンダムⅢ』富野由悠季著より)

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。
今回は、テレビ第39話『ニュータイプ、シャリア・ブル』に登場したモビル・アーマー、ブラウ・ブロです!


ブラウ・ブロ 1/550 1982年6月 700円

人型でもなければ、腕も脚も顔もない、機能性だけのメカニックの魅力を伝えるボックスアート!

ブラウ・ブロ!
『伝説巨神イデオン』(1980年)の、重機動メカにしか見えないブラウ・ブロ!
ブラウ・ブロ!
ジオン、というか、向こう数十年続くガンダムシリーズ世界で、初となるニュータイプ専用メカだった、栄光あるファースト・モビルアーマー、ブラウ・ブロ!
ブラウ・ブロ!
初登場はテレビ版『機動戦士ガンダム』(1979年)第33話『コンスコン強襲』なのだが、そこからメインで登場する第39話『ニュータイプ、シャリア・ブル』まで、6話も音沙汰なしだったぞ、ブラウ・ブロ!
挙句には、誰にも知られずちゃっかり、第42話『宇宙要塞ア・バオア・クー』では、モブで登場しているブラウ・ブロだが、ここまでテレビ版では出番が多いのに、テレビ版で病欠した安彦良和氏に嫌われたのか(嘘です)、劇場版『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』(1982年)では、丸ごと存在ごと、最初から最後まで居なかったことにされてしまったブラウ・ブロ!
みんな、劇場版しか観ないからか、映像のソフト権利で血なまぐさい話が沸き立って、テレビ版がなかなかソフト化されなかったからか、人類初のニュータイプ専用メカだったのに、メーカーもモデラーもガンプラユーザーも、誰も覚えていないので、現代におけるガンプラシリーズの再販では、まずラインナップされない、ブラウ・ブロ!
今回は、劇中、メタ的、ともども悲劇にまみれた機体、モビルアーマー、ブラウ・ブロの、1/550プラモデルの紹介です!

正面に位置したガンダムのビーム・ライフルが細く光状を曳いた。ブラウ・ブロのコクピットが直撃された。(小説『機動戦士ガンダムⅢ』富野由悠季著より)

劇場版三部作の上映も終わった1982年の春過ぎのタイミングでの発売。
ビグロからエルメスまでのモビルアーマープラモデルの売り上げがそこそこよかったからか、それとも他に出すメカがなくなったからだけなのか。
この1/550 ブラウ・ブロは、間に1/144ドダイや1/144マゼラアタックなどの、脇メカまでもを挟みつつ、アッザム、ザクレロなどと同時に、半年ぶりに再開されたモビルアーマーシリーズで発売。
模型としての出来は、モビルアーマー関係はどれも完璧だが、どう見ても冗談にしか見えないザクレロと、どう見てもドラクエのスライムにしか見えず(当時はまだドラクエはなかったが)、モビルアーマーと呼ぶのさえおこがましいアッザムと、トリオで企画開発されたブラウ・ブロ等は、前弾だったエルメスやビグ・ザムと比較すると、単体個々のキャラの知名度や魅力、登場頻度などでは2軍といった印象のモビルアーマー群が揃ってしまった。

四方へ伸びた有線式サイコミュのアームが印象的なボディ

ブラウ・ブロが登場するエピソードは、ニュータイプのシャリア・ブルが乗り込む重要な話ではあるが、肝心の劇場版で、シャリア・ブルともども出番が丸ごとカットされただけではなく、いかんせんその後に登場してきたララァ・スンとエルメスに、美味しい要素を全部持ってかれた感が否めないわけで、そういう意味で(今回筆者が購入した動機も)このモビルアーマーの地味なバリューとしては「テレビ版と、富野由悠季小説版の両方に同じネーミングで登場した、数少ない機体である」ということに尽きてしまうのかもしれない。

キットも、アニメ劇中どおりに3つのパーツに分離できる

しかしこのブラウ・ブロ、キットを作ってみると分かるのだが以外にでかい。
ニュータイプ専用モビルアーマーの試作機だからか、完成するとなんとビグ・ザムより巨大な機体なのだ。

実は今回の“とある自主企画”では、ガンダムとガンキャノンと、ザクとリック・ドムとエルメスと、ガウ攻撃空母とビグ・ザムと、ドップ戦闘機と、後は“これ”さえあれば、当初はほかには何もいらなかったとも言えるのだ……と書いて、僕が何を企んでいたのかを分かる人がいたら、本当に惜しみない拍手と尊敬の念を送ろう。

この大きさとゴテゴテさと、エルメスの大きさと優雅さ(無線式サイコミュ)が、シャリア・ブルとララァの、ニュータイプのステージの差だったのだ

とりあえず、まずは何も考えずにキットを組んでみる……。
組みにくいぃぃいいっ!
なんだこれ! 元からのパーツ精度が悪いのか、さすがの35年での経年劣化で金型がガタがきてるのか。左右メインボディの曲面体のパーツ同士が、どこをどう角度を変えても、隙間が出続けて、永遠にピッタリなんか、合いやしねぇッ!

んでもって、有線サイコミュメガ粒子砲、これ、どうやって固定すりゃいいんだよ!
キットの解釈(というか立体再現)的には、メガ粒子砲部と本体を「どこからどう見ても、有線には見えない、思いっきりただの棒」で本体と繋ぐか、「保持力ゼロのリード線」で本体と繋ぐか、思いっきり無意味で無理で無茶な二択やないかいっ!

『機動戦士ガンダム』登場のモビル・アーマー中、最大クラスのボディを推進させるだけあって、巨大なバーニアが並ぶ背部

オールレンジ攻撃! こっちゃ、その、オールレンジ攻撃を画で表現したいわけ! そこんとこ分かる? バンダイさん!
そんなね、「潜水艦の潜望鏡のように、真っすぐ真上にしか首が伸びない、ろくろっ首」とか、「クネクネ曲がる首が伸びるんですけど、首が頭の重さを支えられないんで、常に頭は地面に転がってます、ろくろっ首」とかねぇ! それもう、妖怪でもなんでもねぇよ! 怖くねぇよ!
まぁ……これも、まぁ、フォトショで処理すりゃいいだけの話なんですけどねっ。
なるべくなら、デジタルの力を借りずに、使用したキットのポテンシャルを活かして、昭和特撮っぽく、ガンダムの名場面を再現したいわけなのですが……。
仕方ないので、今回は一応、キットのままのリード線では足りないので、自腹でリード線だけ購入し、一方でプラパーツ製の支柱はファントムグレーで塗装しておきます。
しかし、結局作成した画像ではサイコミュは使わせるチャンスがなかったというオチがつくのだが(笑)

サイドビューは意外と薄いことがわかる。オレンジのコントラストが印象的なカラーリング

まぁそれはそれとして。
なんとか必死にパーツを組んだら、お約束の塗装。
ブラウ・ブロの場合、巨大メカなんだが、面取りは意外とあっさり風味なんで、アニメでも少し描かれていたパネルラインを、今回は墨入れして強調しております。
けどまぁ、本体のグレーと中央ブロックのパープルは、キットの成型色を残しつつ、追加でそれぞれ塗らなければいけない箇所を、グレーはMrカラー 13 ニュートラルグレーで、パープルはガンダムカラー UG08 MSパープルでそれぞれ補完。
あと、左右ボディのダクトのオレンジ部分は、そのままMrカラーの59 オレンジで塗り、4つあるユニットに6本ある、円錐の形をしたメガ粒子砲ビームは、MrカラーのC338 ライトグレー FS36495で塗装。

劇場版ではパイロットごと存在消滅させられながらも、小説版では後半のキーメカになったブラウ・ブロは、果たして富野監督のお気に入りだったのか?

っていうか、塗り終えてから気が付いたぁああっ!
プラモデルの塗装解説書に騙されたぁああッ!
プラモデルの塗装解説書と完成見本では、左右メインブロックと中央ブロックに、それぞれコックピット窓らしき部分に、それっぽくイエローが塗られているんで、ついつい釣られて、大河さんもイエローで塗装しちゃったんだけど!
ブラウ・ブロのアニメ設定と登場シーンでは、機体のどこにも、「黄色く輝くコックピット」なんて塗装指示も、彩色されたセルもなかったんや!
あまりにも悔しすぎるんで、このまま残します!

まぁそれはそれとして。
というわけで、分離も再現のブラウ・ブロ。
こんな感じで、バッフ・クラン重機動メカの完成です!(だから、そうじゃねぇだろ)

市川大河公式サイト

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