デザイン家電の先駆者 “SANYO 「it's」シリーズ”
大学生や新社会人、一人暮らしを始める時の家電ってSANYOの「it's」シリーズじゃありませんでしたか?
「小型」で「低価格」な一人暮らし用の家電として、若い世代に人気を集めていましたよね。
"it's"シリーズ
今でこそ、機能一辺倒ではなく室内インテリアとの調和も目指したデザイン性の高いAmadanaや±0、Bang&Olufsen、バルミューダといった“デザイン家電”が人気ですが、1984年当時、シリーズで統一されたシンプルなデザインの「it's」もシリーズは、デザイン家電の先駆者ともいえる存在でした。
「トラッド・ブルー」色が特徴!トンガッてた「it's」シリーズ
シリーズ発売開始時から基本のボディカラーは「トラッドブルー」。白物家電としては珍しいですよね。なんでも“日本人が古くから馴染みのある藍色やブレザーの色合い”をイメージしたものらしいですが、当時は家電らしくない色だと社内でもかなり議論があったようです。
1984年のスタートから「一人暮らしの生活ツール」という基本コンセプトは変わりませんが、具体的な製品ラインアップはその年々によってかなり変化していて、自転車やベッド、テレビなどが発売された年もありました。
なんとなんと!製品化はされませんでしたが、PCやクルマなどが企画されたこともあったんだとか。
「トラッド・ブルー」の"it's"シリーズ
2002年、トラッド・ブルー色からシルバー・ベーシック色へ刷新
「it's」シリーズといえばトラッド・ブルー色。
ひとり暮らしをした経験がある人で、このトラッド・ブルー色の「it's」シリーズ、「冷蔵庫」「レンジ」「炊飯ジャー」「掃除機」「洗濯機」のどれかを持っていた人は多かったんじゃないでしょうか。
ただ、時代は移り変わり行くもの。
2002年度シリーズで、「it's」は基調色を従来のトラッド・ブルー色から、携帯電話機やパソコンなどと調和しやすいシルバー・ベーシック色へ刷新。
また、健康・清潔などに主眼をおき、衣類乾燥除湿機や空気清浄機、食器収納乾燥器など、新製品を導入するとともに、各製品に抗菌仕様などを追加。
2009年には、景気低迷に伴って、生活費を抑えるため自宅で過ごす“巣ごもり”や、自宅で食事を取る“内食”が増加し、また1980年代よりも女性の一人暮らしが増加したことを背景に、調理家電「電気ケトル」「コーヒーメーカー」「グリル鍋」や、理美容家電「ドライヤー」「カールドライヤー」などを追加しました。
2009年の「it's」シリーズ
「it's +(イッツ プラス)」シリーズも展開
SANYO→Panasonicに伴い「it's」シリーズ終焉
こうして三洋電機が長年に渡って展開してきた、一人暮らしをはじめる若者向けブランド「It's(イッツ)」シリーズですが、ご存じの通り、三洋電機が2011年にパナソニックの子会社となったことにより、市場から姿を消すことに。新生活向けシリーズはパナソニックの「NIGHT COLOR」に移行されました。
パナソニックが2009年より展開する「NIGHT COLOR」シリーズ
ロングセラーの「It's」シリーズが市場からなくなるとは、というか、まさかSANYO自体がなくなるとは思ってもいませんでしたが、これも時代の流れというやつですね。
昔お世話になった「It's」シリーズについて、ちょっと懐かしく振り返ってみました。