「忘れろ、ジェイク、ここはチャイナタウンだ」、ハードボイルドのお手本といえる大傑作“チャイナタウン”

「忘れろ、ジェイク、ここはチャイナタウンだ」、ハードボイルドのお手本といえる大傑作“チャイナタウン”

「忘れろ、ジェイク、ここはチャイナタウンだ」とは、映画“チャイナタウン”に出てくるセリフで、イギリスの「ガーディアン」紙が選んだ映画史上最高の「ラストの名セリフ」のベスト10に入っています。もっともこのセリフだけでは何のことやらさっぱり分かりませんが、映画の中で耳にするとグッと心に沁みること請け合いです。ハードボイルドならではのセリフ、そして登場人物のファッションも含めた雰囲気がたまらない大傑作です。


Chinatown

監督:ロマン・ポランスキー
脚本:ロバート・タウン
製作:ロバート・エヴァンス
出演者:ジャック・ニコルソン
    フェイ・ダナウェイ
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
撮影:ジョン・A・アロンゾ
編集:サム・オスティーン
配給:パラマウント映画
公開:1974年6月20日(アメリカ)
上映時間:131分

チャイナタウン

1974年に公開されたアメリカ映画「チャイナタウン」は、アカデミー脚本賞、ゴールデングローブ賞 作品賞、ゴールデングローブ賞 主演男優賞、ゴールデングローブ賞 監督賞、ゴールデングローブ賞 脚本賞を受賞したフィルム・ノワールの傑作です。

舞台は1930年代後半のカリフォルニア州ロサンゼルス。ハードボイルドには30年代、そしてロサンゼルスという街がよく似合います。
離婚問題を専門に扱う私立探偵がミステリアスな事件に巻き込まれてゆくという、まさにレイモンド・チャンドラーの小説を彷彿とさせる時代背景とストーリーです。

私立探偵ジェイク・ギテスを演じるのは、ジャック・ニコルソンです。

本名:John Joseph "Jack" Nicholson
生年月日:1937年4月22日
出生地:ニュージャージー州
国籍:アメリカ合衆国
活動期間:1958年~現在

ジャック・ニコルソン

ジャック・ニコルソンは今や押しも押されもせぬハリウッドを代表する名優ですが、本作出演当時は「イージー・ライダー」で注目されていたとはいえ、将来を期待された若手といったポジションです。

そして相手役を務めたのはフェイ・ダナウェイです。彼女も大女優としてのポジションを確立していますね。

本名:Dorothy Faye Dunaway
生年月日:1941年1月14日
出生地:アメリカ合衆国フロリダ州バスコム
国籍:アメリカ合衆国
活動期間:1962年~現在

フェイ・ダナウェイ

まさにクールビューティーといった佇まいには惚れ惚れします。

Staff

監督はロマン・ポランスキーが務めています。

本名:Rajmund Roman Liebling
生年月日:1933年8月18日
出生地:フランス、パリ
国籍:ポーランドとフランスの二重国籍

ロマン・ポランスキー

「水の中のナイフ」、「ローズマリーの赤ちゃん」などで既に成功を収めていたロマン・ポランスキーでしたが、「ローズマリーの赤ちゃん」の翌年に女優であり妻でもあったシャロン・テートがカルト教団に襲われ惨殺されるという忌まわしい事件が起こりました。
このことによりロマン・ポランスキーはアメリカを去り活動拠点をヨーロッパに移します。「チャイナタウン」はロマン・ポランスキーのハリウッド復帰第一作になります。
そのためか、よほど気合が入っていたのでしょう。監督以外にもジェイク・ギテスの鼻を切るというアブない用心棒役として出演もしています。

監督といえばもう1人、ジョン・ヒューストンが役者として、しかも悪役で出演しています。

本名:John Marcellus Huston
生年月日:1906年8月5日
没年月日:1987年8月28日(満81歳没)
出生地:ミズーリ州
国籍:アメリカ合衆国

ジョン・ヒューストン

ジョン・ヒューストン監督といえば、ハードボイルド映画の最高傑作ともいわれる「マルタの鷹」の演出で知られていますが、「チャイナタウン」への出演はロマン・ポランスキーがオマージュを捧げたのでしょう。
それにしても上手く使っています。はまり役です。

本作でアカデミー賞を受賞した脚本のロバート・タウンはもちろん素晴らしいのですが、スタッフの中では撮影を担当したジョン・A・アロンゾの仕事ぶりが目を引きます。「チャイナタウン」で第47回アカデミー撮影賞にノミネートされましたが、陰影のある美しい画面が印象的です。

光と影のコントラストがなんとも美しいです。

音楽はジェリー・ゴールドスミスです。ジェリー・ゴールドスミスといえば、「猿の惑星」、「パピヨン」、「オーメン」、「エイリアン」、「スタートレック」に「ランボー/怒りの脱出」などなど数え上げるときりがないほど多くの映画音楽を担当している映画音楽界の巨人ですね。
「チャイナタウン」でも素晴らしく雰囲気のある音楽を披露しています。

Story

関連する投稿


映画「チャイナタウン」をフルで無料視聴できる動画配信サービスを比較!

映画「チャイナタウン」をフルで無料視聴できる動画配信サービスを比較!

『チャイナタウン』は1974年公開のアメリカ映画。監督ロマン・ポランスキー、脚本ロバート・タウン。ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ、ジョン・ヒューストンらが出演したこの作品を無料視聴できる動画配信サービスをご紹介します。


アカデミー賞受賞を逃してしまった優秀傑作映画、あれこれ!!④

アカデミー賞受賞を逃してしまった優秀傑作映画、あれこれ!!④

アカデミー賞受賞を逃してしまった優秀傑作映画、あれこれ!!③では1970年頃までのアカデミー賞を受賞できなかった「名作・傑作」映画をご紹介したが、その続きを書こうと思う。さて、どんな作品があるのでしょうか!?


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。