The Psychedelic Furs

ザ・サイケデリック・ファーズ
1980年にデビューしたイギリスのバンド「ザ・サイケデリック・ファーズ」のことを今でも憶えているヒトは少ないように思います。いえ、当時でさえ知っていたのはごく一部のロック・ファンだけでした。しかし、ザ・サイケデリック・ファーズの楽曲をタイトルにした映画「プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角」は当時青春を謳歌していたヒトであればご記憶があるかもしれませんね。
映画と合わせてそんなザ・サイケデリック・ファーズをご紹介したいと思います。
ザ・サイケデリック・ファーズは、ポストパンクとしてデビューした当時は6人組のバンドです。多いですね。今も昔も6人組のバンドというのはあまりいませんが、メンバーが多い理由としては、サックス奏者がいるためです。
サックス奏者がいる6人組といえば思いつくのが、同じくイギリスのバンドのロキシー・ミュージックですね。その後、メンバーが抜けていき3人なってしまうところも同じです。
甘美的な曲やボーカルスタイルにボーカリストがカリスマ性を持っているということなどロキシー・ミュージックとの類似性が見受けられます。更に、名前が示すように1960年代のサイケデリック、中でもヴェルヴェットアンダーグラウンドに影響を受けているようです。

リチャード・バトラー
ザ・サイケデリック・ファーズは、ボーカルのリチャード・バトラーとベースのティム・バトラーの兄弟を中心に構成されています。特にリチャード・バトラーの存在が大きく音楽的にもビジュアル的にもカリスマ性を発揮しています。当時はワイズ(Y's・ヨウジヤマモト)の服を着ていると話題になりました。
さて、そんなオシャレな一面のあるザ・サイケデリック・ファーズですが、アルバム・ジャケットを見ると分かるようにやはりサイケデリックのムードが濃厚に漂っています。

サイケデリック・ファーズ
少ないコードの繰り返しの上に、インプロビゼーションの演奏が載せられていくスタイルを身上とした。他グループにはあまり見られないサックスが印象的。
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1980年にリリースされたファースト・アルバムです。ジャケットの雰囲気が最高ですね。色違いのジャケットもありマニア心をくすぐります。
Talk Talk Talk

Talk Talk Talk
1981年にリリースされたセカンド・アルバム「Talk Talk Talk」は、前作に引き続きスティーブ・リリーホワイトがプロデュースしています。アルバム・ジャケットはヴェルヴェットアンダーグラウンドというよりも、ヴェルヴェットアンダーグラウンドをプロデュースしたことでも知られるアンディ・ウォーホルの作品を思わせるデザインです。
それはともかく、このアルバムには「プリティ・イン・ピンク」が収録されています。ファンの間では評判の良いアルバムですが、一般的には映画「プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角」は1986年の公開ですから、この時点ではまだ知る人ぞ知る曲といったところです。
この後、1982年に「Forever Now」、1984年に「Mirror Moves」と順調にアルバムをリリースしていきます。特に「Mirror Moves」に収録されている「Heaven」はシングルとしてもヒットしサイケデリック・ファーズの人気は一般にも浸透していきます。
そして、1986年に映画「プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角」は公開されます。
Pretty in Pink

「プリティ・イン・ピンク~恋人たちの街角」オリジナル・サウンドトラック
エコー&ザバニーメンにスミス、ニューオーダーにサイケデリックファーズとあの時代のかっこいいバンドが勢ぞろい。映画もあの時代の人には最高の映画。なんかとってもいい時代だったなあ。
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監督はハワード・ドゥイッチ、製作・脚本、ジョン・ヒューズ、主演モリー・リングウォルドで贈る1986年公開のアメリカ映画「プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角」です。
内容は、ラブストーリーというか、学園を舞台にした青春映画で、分かりやすく、スカっとする後味の良い映画です。この映画は評論家からの受けもよく、商業面でも成功しました。
サウンドトラック・アルバムの評判もよく、2012年にアメリカの音楽サイトが発表した「映画サウンドトラックベスト15」に選ばれるほど今でも高い人気を誇っています。
アメリカの高校を舞台にしたアメリカ映画であるにも関わらず、熱狂的なファンはいたとはいえ、少なくとも日本では一般的な人気はそれほどでもなかったイギリスのミュージシャンの楽曲を多数使ったところがミソで、当時はビックリしました。
サイケデリック・ファーズをザ・スミスやエコー&ザ・バニーメン、ニュー・オーダーなんかと一緒に映画の中で聴くことが出来ること自体スゴイことだと思います。ましてや映画のタイトルをサイケデリック・ファーズの曲からとるなんて!
ハワード・ドゥイッチ監督の大英断ですね。
それではこのアルバムから少し聴いてみましょう。
どういった基準で選曲されたのか分かりませんが、ザ・スミスは「プリーズ・プリーズ・プリーズ」が使われています。ザ・スミスであれば、他にヒット曲がありますが、あえてこの曲を選んだのは映画の内容に則してということでしょう。短い曲ですが心に沁みます。
ニュー・オーダーは、「シェル・ショック」ですね。これも良い曲ではありますが、必ずしも彼らの代表曲というわけでもありません。サウンドトラックですからベストアルバムとはちょっと違う曲が収録されているんですね。通常のベストアルバムとして聴いていると、ちょっとひねってあるので、ファンにとってはそこがまたグッとくるんです。
そしてエコー&ザ・バニーメンからは「ダンシング・ホーシズ」ですか。これも意表を突く選曲ですね。人気絶頂時であったにも関わらず、この曲のアレンジをめぐりバンド内はもめてしまい、エコー&ザ・バニーメンは活動休止になるといういわくつきの曲です。
しかし、これもまた良い曲です。こうした曲が現在でも多くの人に届くというのは素晴らしいことだと思います。
さて、そして我らがザ・サイケデリック・ファーズの「プリティ・イン・ピンク」です。この曲、この映画のおかげでザ・サイケデリック・ファーズはアメリカでブレークすることになります。
プリティ・イン・ピンクの成功を受けてか、1987年にリリースされたアルバム「Midnight to Midnight」はアメリカの市場を意識したものとなっており、活動拠点もアメリカに移します。この時期に来日公演が決定しておりチケットも発売されていましたが、直前に中止になるというファンにとっては悲しい出来事がありました。
この後、リセットして2枚のアルバムをリリースしますが1991年には解散してしまいます。
しかし、2000年に再結成してからはアルバムこそリリースしていないものの現在でも元気に活動を続けているザ・サイケデリック・ファーズです。