日産・ラシーン(RASHEEN)

日産・ラシーン
カッコ良い。そして、可愛い。
お洒落な外観にたくさんのオプションで多くの人に愛された車「ラシーン」。1994年~2000年まで日産(NISSAN)から発売されていたコンパクトRVです。1993年の東京モーターショーに参考出品されたプロトタイプが好評だったことから、翌94年に市販が開始されました。

RVブームの中、発売された小型RV
最近では耳にしなくなった「RV」という言葉ですが、1990年代前期には「三菱・パジェロ」「トヨタ・ランドクルーザー」「日産・テラノ」「いすゞ・ビッグホーン」などが代表格となってRVブームが巻き起こっていました。そんな中、小型RVとして発売されたのが「ラシーン」です。

新ジャンルRVを標榜!スキー、ゴルフ、キャンプ・・・重い荷物もスムーズに積み込める上下開閉式バックドア
「ラシーン」という名前の由来は、「羅針盤」からの造語です。実は日産のオフィシャルWEBサイトも「羅針盤」という名前で、「ラシーン」の発売と同時期に開設されたものでした。このことから、「ラシーン」は日産自動車を代表する車の一つだったと言えるでしょう。
女性ドライバーからも人気のラシーン
女性ドライバーが多かったラシーン。それもそのはず、小型乗用車並みの取り回し性の良さを最大のウリとして、運転の苦手な30代前後の女性をターゲットユーザーに設定したクルマでした。
当時ラシーンを見かけるとドライバーはほとんどが女性で、男性は10台に1台くらい(!?)というとオーバーかもしれませんが、これほど女性ドライバーが多いクルマも珍しかったのではないでしょうか。

女性ウケが良さそうなラシーンのインテリア
ボディカラーも女性ウケが良かった理由の一つかもしれません。ベールグリーンやイエロー、サンドベージュなど日本車には珍しいカラー展開が魅力的で、CMキャラクターにドラえもんが起用されたことから「ドラえもんブルー」と称されるカラーも人気を呼ぶことに。

ドラえもんブルー
ドラえもんがイメージキャラクター!
ドラえもんといえば、最近ではトヨタ自動車のイメージですが、実は日産の方が早かったのです。そして、トヨタはジャン・レノ扮するドラえもんですが、日産はホンモノのドラえもんでした。

ドラえもんを前面に出した「ラシーン」カタログ
CMのキャッチコピーは「僕たちの、どこでもドア」
ディーラーオプションパッケージは「どこでもドア」をもじったもので、日産の遊び心を感じました♪

ラシーンのオプションカタログ
日産「パイクカー」シリーズの流れを汲んだラシーン
◆「パイクカー」って?
“パイク”(pike)とは直訳すると“槍”という意味。いわゆる“とんがった”挑戦的なデザインのクルマのことです。遊び心あるクルマづくりをした「パイクカー」は、生産台数や期間が限定されて販売されることが多く、大量生産を前提としていませんでした。
ラシーンのデザインコンセプトには、日産のパイクカー「Be-1」「パオ」を手がけたコンセプター・坂井直樹氏が関わっているとされており、ラシーンは限定生産ではありませんでしたが、“パイクカーシリーズ”の流れを汲んだ商品企画でした。
◆日産・Be-1 <初代マーチをベースに開発されたパイクカー>

日産・Be-1(1987年)
Be-1(ビー・ワン)は、1985年の第26回東京モーターショーに参考出品されたコンセプトカーがでした。実際に販売が開始されたのは1987年1月のことで、発売時は黄、青、白、赤のラインナップで限定10,000台という設定でしたが、2ヶ月で予約完了という人気ぶりでした。

限定10,000台が2ヶ月で予約完了したBe-1

◆日産・パオ <パイクカーシリーズ第2弾>

日産・パオ(1989年)
パオは、1987年の第27回東京モーターショーで発表され、1989年に発売されました。パオの販売方法は1万台限定で予約が殺到したBe-1の反省を生かし、3か月の受注期間を設け、注文を受けた全台数を生産するという手法が取られました。その結果、Be-1を上回る51,657台もの申し込みがあり、納期は最長で1年半にもなる好評ぶりでした。

ノスタルジックな見た目に反し、ボディーには新素材や新工法がふんだんに投入されていたパオ

1998年4月「ラシーンフォルザ」追加
丸目4灯ヘッドライト、オーバーフェンダー、専用ラジエーターグリル、専用前後バンパー等を装備したスポーティモデルの「ラシーンフォルザ」が1998年に発売されました。

2.0リッター車「フォルザ」
「ラシーンフォルザ」は、2.0リッターエンジン(SR20DE)を搭載し、1.8リッターエンジン搭載車で好評のアテーサ4WDと組み合わせることにより、動力性能・走行性能を大幅に向上。内外装にわたって力強いイメージにデザインしたライトクロカンテイストの4WD車でした。車名「フォルザ」はイタリア語で「力強いもの」を意味します。

そして、2000年、日産(NISSAN)は、新型SUV「エクストレイル」に世代交代させる形で、小型RV「ラシーン」の生産を中止しました。
1994年に販売開始されてから2000年に生産が中止になるまでに、トータルで7万2千台以上が生産されました。
いまなお根強い人気のラシーン
生産されなくなって既に十年以上経過したラシーンですが、車のコンディションによっては高額で取引されるものもあり、中古車市場で根強い人気を誇っています。ラシーンを専門に扱う中古車販売店も存在するほどで、さまざまなカスタマイズを施されたラシーンが販売されています。
また、近年、映画やテレビCMにもラシーンが使われていて、いまなおファンの多さを感じさせます。
●イオンカードのテレビCM(2015年)に登場したラシーン
●永作博美主演映画『さいはてにて-やさしい香りと待ちながら-』(2015年)に登場したラシーン
クロスオーバーSUVが人気の今、「ラシーン」を日産が復刻発売しても結構売れるような気がするのですが・・・そう思うのは私だけでしょうか!?