『ガンプラり歩き旅』その001~アニメの中から登場した、初めてのガンダム!~

『ガンプラり歩き旅』その001~アニメの中から登場した、初めてのガンダム!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする新企画連載の開始です!


アニメの中から登場した、初めてのガンダム!

Middle Edgeの皆さん初めまして。
フリーランスライターの市川大河です。

今現在、自分はシミルボンという書評サイトで『ガンダムを読む』という、「ガンダム作品テーマや時代背景に関するコラム」を連載しておりますが、そこでは文章とは別に、既存のガンダム系フィギュアやガンプラを使った、様々な劇中再現画像を作成してビジュアル面でもがんばっています。

シミルボン『ガンダムを読む』連載 市川大河

ジオラマ……というのとは違うんですね。フォトショップを使って背景やビーム攻撃や爆発を合成しますから。
デジラマ……というのともまた違います。デジラマは最新デジタル技術を駆使し、リアルで迫力のあるメカ同士の戦闘シーンや情景を一枚の画にする手法ですから。

まぁ自分の場合、模型製作技術、塗装技術も、フォトショップ技術も低いので、それらの土俵では勝負が出来ずに、あくまで1979年当時の『機動戦士ガンダム』劇中を、アニメイメージでどこまでフィギュアやガンプラで再現できるか?というのがモチベーションだったりしますので、まぁいいわけなんですけどね(笑)

Middle Edgeをご覧になる男性諸氏であるなら、ガンプラへの思い入れの一つや二つ、皆さんありますよね?
今回から始まりましたこのシリーズ。
ガンダムもガンプラも国民的なコンテンツですが、今回はシミルボン連載にあたって、最初に制作された『機動戦士ガンダム』(1979年)とその劇場用映画版のメカのプラモデルに拘って、80年代初頭の旧キットから最新のプラモデルや各種アイテムや食玩等を使い、小道具を揃えてまた遊びながら仕事に活かそうという、そういうアレなコンセプトの連載です!

今回から、シミルボン『ガンダムを読む』で登場するガンプラやメカフィギュアを、アイテムの発売順序で紹介しつつ、そのプラモデルに関するエピソードや背景事情、上場無しや逸話、当時手にした誰もが感じたアルアルネタなど、多彩にお送りしていきます!
どうか、お付き合いください!

 『37年ガンプラり旅』連載に当たってのお願いとお約束と前口上!

・大河さんは趣味人ではあってもモデラーのプロではないので、基本、地味な作業が死ぬほど苦手で、合わせ目消しやパーティングライン消し、表面処理などは一切行っておりません
 
・大河さん生まれてこの方、エアブラシという魔法の道具を使ったことがないので、どんなに全塗装でも、塗装は全て塗料筆塗りです(一部缶スプレー塗装あり)
 
・塗装解釈や、一部ディティールアップパーツ関連使用は、徹底的にアニメ画準拠です! 一部妥協もしておりますが、基本的に大河さん基準では、ガンダムの世界における武器類は、全部ミディアムブルーで統一されているはずです! ガンダムやザクの手や関節は、グレー部分などなく、腕、脚の色と同じか、ガンダムの手首は濃緑色一色のはずです! 仮にそれが、アニメ描写上のディフォルメだという解釈がスタンダードなのだとしても、今回の一連のガンプラ制作シリーズにも、それなりのコンセプトと使い道があるので、徹底アニメ版彩色準拠です!
あと、「ガンダムの首の色」に関しては、一番最初の1/144ガンダムの塗装の参考にされたアニメ版画稿が、アニメ影がくっきりつけられた物を用いたらしく(だからガンダムの胸のブルーの彩色指定も、アニメ版劇中のスカイブルーより、藍色に近い指定になっている。この「ガンダムの胸の青さ」に関しては、アニメ評論家の氷川竜介氏も指摘している)、なぜか歴代ガンプラでの初代ガンダムの首の色は全てグレーで統一されているが、アニメ版を見る限り、ガンダムの首は白であるので、大河さんは白で塗装し続ける!

・極論をいえば「初期のガンプラはアニメデザインに近付けようとしているが、技術論が低すぎる」「近年のガンプラは、ギミックもプロポーションも段違いで進化しているが、デザイン、特に細部はもはやアニメデザインとはかけ離れた別物感が強い」この二つの間にあるギャップを、バンダイやマニアは「テレビ漫画という手段ゆえに、簡略描写されていたモビルスーツを、実在するメカとして抽出する解像度が上がった」と称しているのだけれども、大河さんの場合は、あくまで己の趣味性で、近年のアイテムを使い凝ったアレンジがされているものしかない場合は仕方ないが、出来る限り、最新のガンプラに対しては「解像度を下げる」塗装や仕上げで統一感を測ろうと思う!

ガンダム 1/144 1980年7月 300円

テレビ放映『機動戦士ガンダム』(1979年)が終了してから5か月。
放映当時は一切商品展開に絡まなかったバンダイが、このタイミングで模型化した、記念すべきガンダムプラモデル(以下・ガンプラ)第1号。

なぜ、このタイミングで、なぜバンダイだったのか。
『機動戦士ガンダム』の商品化権は放映終了とほぼ同時の1979年12月にバンダイが模型化権にこぎつけ、1980年2月1日頒布のバンダイ『模型情報』で商品化が告知され、その三週間後には、バンダイ静岡工場で、村岡技師によって原図が提出され、金型の製作がスタートした。
状況としては、『機動戦士ガンダム』放映時のメインスポンサーである玩具会社・クローバーと、ライバル関係にあったのは、あくまでバンダイの資本グループのポピーであり、その玩具部門ポピーと、プラモデル部門のバンダイは、グループ同士でありながら、まるで血で血を争うかのような関係性で、この時期バンダイは「ベストメカコレクション」という、アニメや特撮に登場するメカのプラモデルを独自販売していたことが大きく関係している。

この、ベストメカコレクション。そもそもはこの直前期にやはり社会現象を起こしていた『宇宙戦艦ヤマト』(放映1974年)のメカコレクションシリーズプラモデルの好評から企画された独自分野のブランドであり、その仕様こそプラモデルで、当時なものだから接着も塗装も必須なのだが、むしろ塗装と接着を完成させさえすれば、サンバルカンロボや宇宙大帝ゴッドシグマなどの、「300円サイズであれば、フルアクションフィギュア状態」のものが、「700円サイズだと、ポピーのデラックス超合金と同等か、それ以上のギミック付きでフルアクションフィギュア状態」のものが、それぞれ手に入ってしまうという驚愕のシリーズであった(ちなみに、300円サイズNo.1は『電子戦隊デンジマン』(1980年)のロボット、ダイデンジン)。
300円サイズでも、『ウルトラマン80』(1980年)の合体戦闘機などは、メインスポンサーのポピーの主力商品であったポピニカ以上に、劇中ミニチュアに近く、合体も完璧な商品が出ていたほど。

要するにガンプラは、当初ベストメカコレクションのバリエーションとして着目され、アニメの高評価(決してイコール高視聴率ではなかったが)を見越した、ポピーではないバンダイだからこそ、思春期向けのテレビアニメ・特撮メカの商品ベストメカコレクションというブランドを立ち上げていたからこそ、放映終了後のタイミングでガンダムに手を伸ばせたのだ。
ガンプラの始祖として、この1/144ガンダムが語られる時、必ずといってよいほどに「かつてのロボットプラモデルではありえなかった、劇中のプロポーションとアクションを両立追求した商品仕様の斬新性」が取り上げられるが、それと同じことは、1/144ガンダムと同時に発売された、ベストメカコレクションの『闘士ゴーディアン』(1979年)にも共通している。ちなみにこちらはベストメカコレクションNo.3で、1/144ガンダムがNo.4で、No.5はなぜかガンダムのジオン軍戦艦・ムサイ1/1200となっている。この辺りの事情推察はムサイの項で解説。

というわけで、ガンプラだけが突然変異のように出現したわけではないということを、知らない人が多すぎるので誤解を呼んでしまうが、ベストメカコレクションは上記したように「劇中作品準拠の300円サイズ」と「デラックス超合金同等ギミックの700円サイズ」の二段階で商売をしていたわけで、ベストメカコレクション同期の『宇宙大帝ゴッドシグマ』(1980年)や『太陽戦隊サンバルカン』(1981年)のサンバルカンロボが、自社グループのポピーデラックス超合金を模した、合体変形をこなす模型版であったように、ガンダムの700円サイズ、今でいう1/100が模すべきは、当時のクローバーの「宇宙クローバーDXガンダム合体セット」(当時価格5700円)であり、1/100ガンダムの、腹部のコアブロック露出も、肩に乗せた謎のロケットランチャーも、可動仕様も、全てこの、クローバーの合金をプラモデルに落とし込む、統一コンセプトがもたらしたものであると言える。
なので、確かにその1/144と1/100のガンダムの方向性の別れ方は、当時のバンダイの迷いと模索の表れなのだという現代的な解釈は、一方では正しいのではあるが、"ガンプラはもともと、ベストメカコレクションというシリーズのラインナップの一つだった"という歴史的事実を振り返る時、バンダイがただ迷っていただけではないことが判明する。

もちろん、思春期ファン層を中心としたユーザーは1/144のリアリズムを選び、やがてガンダムシリーズだけが、ガンプラとしてベストメカコレクションから独立していった先では、1/100モビルスーツプラモデル群も1/144フォーマットを踏まえた統一仕様になっていくのではある。

1/144に話を戻せば、個人的な私見で言うならば、70年代は可動アクション性重視で、商品の好みもヒーローやロボットの玩具はソフビよりも超合金よりも変身サイボーグ派だった筆者などにとって、1/144ガンダムは、まさに「夢にまで見た仕様の安価商品」であり、正直『機動戦士ガンダム』という作品自体、放映終了後の再放映を「付き合っていた彼女が腐女子ゆえに誘われたから」「まず(まだ狂騒的ブームが来る前で)たまたま店先で見つけて購入した1/144ガンダムの出来に惚れ込んで」という理由で見始めたのが正直なほど。

肩の回転関節機構の接着がタイト過ぎて、発売当時は不可思議だったが、それもプラモデルゆえの関節の劣化と緩みを見越しての強化仕様だったわけで、そういう意味でも開発当初から、よくも練り込まれていた上に、成型色も白一色だったので、塗装も細かい接着も出来ない小学生以下はお断り仕様に徹していて、それゆえに36年経っても(アニメ版を基準とすれば)全く遜色ないクオリティで出来上っているというのは、さすが伝説と社会現象を巻き起こした商品だけあるとしか言いようがない。

“安彦顔”のガンダム!

ギミックやデザインのリファイン性、可動性能こそ、この1/144キットを追い越すガンダムは山のように今やあるが、ガンプラの歴史の中で、1/100のコアブロックむき出し腹部同様、1/144ガンダムのこの最初期型だけが成してて、今もなお健在の仕様に「安彦顔」というのが挙げられると思われる。

TVシリーズから劇場版『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙編』(1982年)にかけて作画されたガンダムでは、主に大河原邦男氏のデザインをベースにしながらも、それまでの『勇者ライディーン』(1974年)『超電磁ロボ コン・バトラーV』(1975年)が明確に導入したように、作画監督の安彦良和氏独特の顔の描き方が作画スタッフで認知されていて、当時のファンや雑誌などでは「安彦顔ガンダム」とよく言われたものだ。

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