切なさを感じる冬の定番曲、TRF『寒い夜だから…』

切なさを感じる冬の定番曲、TRF『寒い夜だから…』

90年代に青春を過ごした世代なら、気温が低い夜には今でも口ずさんでしまう冬の定番曲、TRF『寒い夜だから…』。 懐かしい『寒い夜だから…』の動画と共に、この曲が生まれた意外なエピソードや、アンサーソングの存在について紹介。


1993年12月リリース、trf 『寒い夜だから…』

TRF(当時はtrf)による冬の定番曲『寒い夜だから…』。
「EZ DO DANCE」で衝撃的なデビューを果たして以降、新鮮なダンスミュージックを打ち出していたTRFがそれまでと大きく異なる路線へ踏み出した切なさ溢れるミディアム・バラード。

trfの5枚目のシングル。
1993年12月15日にavex traxよりリリース。

プロデュース:小室哲哉
作詞・作曲・編曲:小室哲哉

TRF / 寒い夜だから…

この『寒い夜だから…』について、TRFメンバーのDJ KOOは「ずっと4つ打ちの曲を出していた中で、ダンスミュージック以外のリスナーにも聴いてもらえるような内容として打ち出した曲だった」と語っている。

その狙いは見事に当たり、ダンスミュージックには抵抗感のある層へのアプローチに成功。
オリコン最高位8位とシングルとして初のオリコンベスト10入りを果たした。

これを弾みに、1994年2月9日リリースのアルバム『WORLD GROOVE』で初の1位を獲得。
1994年5月25日にリリースした次のシングル『survival dAnce 〜no no cry more〜』でも1位を獲得し、TRFにとって大きな転換点となった曲である。
累計売上は67.4万枚。

その思い入れの強さからか、翌年同時期と2006年に『寒い夜だから…』を再リリースしている。
また、1995年12月1日にリリースされたアルバム『BRAND NEW TOMORROW』には久保こーじがアレンジした『HOT WINTER NIGHT~samuiyorudakara~』の曲名でリメイクが収録されている。

曲のアレンジやカップリング内容も変更されていないが、ジャケットのデザインは変更された。

TRF / 寒い夜だから…(1994年 再リリース版)

2006年11月29日に廉価版12cmシングルとして再発売。
ジャケット写真は1994年版を踏襲している。

TRF / 寒い夜だから…(2006年 再リリース版)

PVも2種類ある『寒い夜だから…』

『寒い夜だから…』はPVも2種類存在し、それぞれビデオ『WORLD GROOVE』と『Ultimate Films』に収録されており、『Ultimate Films』に収録されたバージョンは『寒い夜だから… (1994 Ver.)』とされている。

どちらのPVもモノクロのシーンが含まれており、ノスタルジーを意識させる作りになっている。
幻想的な雰囲気を醸し出す『Ultimate Films』収録バージョン(1994 Ver.)も良いが、個人的にはブルックリンの街並みを背景にした『WORLD GROOVE』収録バージョンの方が歌詞の世界観とマッチしていて好みである。

CDで聴くのも良いが、やはりTRFは歌とダンスの一体感を楽しめるPVやライブで楽しみたい。

『寒い夜だから…』の歌詞で描かれている切ない気持ち

夢を追い彼女の元を離れた男性への気持ちを歌った切ないラブソングと解釈できる。

寒い夜だから 明日を待ちわびて

歌詞:『寒い夜だから…』

寒い夜だけは あなたを待ちわびて

歌詞:『寒い夜だから…』

ボーカルYU-KIの高く張りのある声が、愛する人に会えない切なさと悲しみ、そして苛立ちを見事に表現している。
切ない心の叫びを表現しながら、暗くなり過ぎていないので聴く人の心にスーッと入ってくる。

I miss you,I miss you,I miss you…

歌詞:『寒い夜だから…』

小室哲哉が明かしたTRF『寒い夜だから…』誕生秘話

2015年11月に東京・新宿で行われたイベントに出席した小室哲哉は、冬の名曲と言われる『寒い夜だから…』が誕生した経緯を明かした。

当時、小室は東京都港区のスタジオまで自転車で5分の距離に住んでいた。
いつものように自転車で自宅からスタジオに向かったが、その夜はあまりにも寒かったという。
寒さに耐えながらスタジオに向かうと「寒い夜だから…」というフレーズが頭に浮かんできて、スタジオ到着するまでの5分間でメロディまでほぼ出来上がっていたと語った。

とにかく早く暖かいスタジオに到着したいという気持ちが、歌詞の『明日を待ちわびて』というフレーズに繋がったとのこと。
膨大な歌を世に送り出してきた小室だが「こんなにスムーズにできた歌詞はなかったと思います」と振り返っている。

名曲が生まれるのはそんな意外なシーンなのかもしれない…。

10数年の時を経てリリースされた『寒い夜だから…』のアンサーソング

2009年1月21日、TRFの31枚目のシングルとして、『Memorial Snow(メモリアル・スノウ)』を発表。
この曲は『寒い夜だから…』のアンサーソングとして位置付けられている。

TRF『Memorial Snow(DVD付)』

『高須クリニック』のCMソング DJ KOOが書き下ろしたミディアム・チューン『CLOSURE』との両A面。

『寒い夜だから…』のリリースから16年の時を経て発表されたアンサーソング。
二つの歌を繋ぐかのように、『Memorial Snow』の歌詞にも「I miss you」というフレーズが出てくる。

明日を待ちわびていた彼女はその後どうなったのか?
歌詞に注目しながら聴いて欲しい。

trf/歌詞:Memorial Snow/うたまっぷ歌詞無料検索

『Memorial Snow』の作詞作曲は小室哲哉ではない。

作詞は、KinKi Kidsや関ジャニ∞、AAAなど最新J-POPを中心に数多くの作品を世に送り出している新進気鋭の女性作詞家、leonn。
作曲は、ロックバンド「Wild Style」の一員としてデビューし、現在はEXILEやBoA、倖田來未らに楽曲を提供しているヒットメーカー、原一博。

小室哲哉が『寒い夜だから…』で描いた世界観を違和感なく、見事にアンサーソングとして繋いでいる。

リリースから17年後にCMソングに起用された『寒い夜だから…』

2010年、永谷園の商品『「冷えしらず」さんの生姜シリーズ』のCMに『寒い夜だから…』の歌とPVが使用され、話題を呼んだ。

「寒い夜だから~♪」と歌うYU-KIの姿が映しだされると、リズムに合わせて「T=とっても R=理不尽な F=冬の寒さに」とTRFの頭文字をもじったスーパーが出現する…。
TRFを知らない世代の人は信じてしまったかもしれないので念のため解説すると「TRF=Tetsuya-komuro Rave Factoryの略」である。

「T=とっても R=理不尽な F=冬の寒さに」

永谷園CM『TRF篇』

好評だった『TRF篇』に続いて制作された第二弾の『SAM篇』。
SAMが真剣に踊るシリアスな映像の上に表示されるミスマッチなメッセージが笑いを誘う。
前回のTRFの由来が冗談であったため、これも嘘だと思っている人がいるが、こちらはSAM本人が明かしている事実である。

SAMは寒がりという理由でSAM

永谷園CM『SAM篇』

何年経っても、冷え込む夜には口ずさみたくなる『寒い夜だから…』

リリースから17年経ってもCMに起用される冬の代表曲、TRFの『寒い夜だから…』。
今聴いても全く古さを感じさせないメロディーと印象的なサビのフレーズは、90年代に青春を過ごした多くの人に深く刻まれている。

毎年、冬になるとTwitterでは「寒い夜だから」とつぶやく人が続出している。

TRF『寒い夜だから…』を聴きたくなったら

TRF 20TH Anniversary COMPLETE SINGLE BEST (AL3枚組+DVD)

2012年にデビュー20周年を記念して発売されたTRFのコンプリートシングルベスト。 CD3枚組+DVDの大ボリュームで、16年ぶり小室哲哉プロデュースの新曲も収録。 DVD収録内容はTRFデビュー20周年を記念するライブベスト。 誰もが知っているシングル曲を中心に、懐かしの映像を楽しめること必至。

関連する投稿


レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」より『トラぶるCHASER 第1話』『3Dテニス』が配信スタート!!

レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」より『トラぶるCHASER 第1話』『3Dテニス』が配信スタート!!

レトロゲーム関連の復刻・配信ビジネスなどを行うD4エンタープライズが運営するレトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」にて、新規コンテンツ『トラぶるCHASER 第1話 トラブルは空から未来から(PC-9801版)』『3Dテニス(MSX版)』の配信がスタートしました。


『オホーツクに消ゆ』と北海道紋別市がコラボ!ゲームに登場するシーンを使用したアクリルジオラマが「ふるさと納税返礼品」に!

『オホーツクに消ゆ』と北海道紋別市がコラボ!ゲームに登場するシーンを使用したアクリルジオラマが「ふるさと納税返礼品」に!

ジー・モードより、推理アドベンチャーゲーム『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ ~追憶の流氷・涙のニポポ人形~』の世界観を再現したオリジナルグッズが、北海道紋別市のふるさと納税返礼品として提供されます。


抜群のスタイルで💦世の脚光を浴びた『広田恵子』現在は?!

抜群のスタイルで💦世の脚光を浴びた『広田恵子』現在は?!

高校時代からモデル活動を始め1986年に「カネボウ・スイムウエアイメージモデル」として脚光を浴びた広田恵子さん。現在は家族で〇〇を組んで活動している・・・。


完璧・無量大数軍の一人「完肉」の称号を持つキン肉マン『ネメシス』が、SpiceSeedキン肉マンシリーズに登場!!

完璧・無量大数軍の一人「完肉」の称号を持つキン肉マン『ネメシス』が、SpiceSeedキン肉マンシリーズに登場!!

ハイクオリティフィギュアの製造・販売で好評を博している株式会社SpiceSeed フィギュア事業部より、キン肉マンシリーズのフィギュア『ネメシス』が発売されます。


懐かしの名作が勢揃い!特製クリアしおりが貰える書店フェア「藤子・F・不二雄 S(すこし)★F(ふしぎ)な世界」が開催!!

懐かしの名作が勢揃い!特製クリアしおりが貰える書店フェア「藤子・F・不二雄 S(すこし)★F(ふしぎ)な世界」が開催!!

藤子・F・不二雄による名作の数々を紹介する書店フェア「藤子・F・不二雄 S(すこし)★F(ふしぎ)な世界」が、8月7日(木)より全国のフェア参加書店にて順次開催されます。


最新の投稿


ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂が、『鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブ~Autumn Season~』を11月13日にビルボードライブ大阪、16日にビルボードライブ東京にて開催する。今回は、1975年にリリースされた1stソロアルバム「BAND WAGON」の発売50周年を記念したプレミアム公演となる。


【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

2025年(令和7年)は、1965年(昭和40年)生まれの人が還暦を迎える年です。ついに、昭和40年代生まれが還暦を迎える時代になりました。今の60歳は若いとはと言っても、数字だけ見るともうすぐ高齢者。今回は、2025年に還暦を迎える7名の人気海外アーティストをご紹介します。


吉田沙保里  強すぎてモテない霊長類最強の肉食系女子の霊長類最強のタックル その奥義は「勇気」

吉田沙保里 強すぎてモテない霊長類最強の肉食系女子の霊長類最強のタックル その奥義は「勇気」

公式戦333勝15敗。その中には206連勝を含み、勝率95%。 世界選手権13回優勝、オリンピック金メダル3コ(3連覇)+銀メダル1コ、ギネス世界記録認定、国民栄誉賞、強すぎてモテない霊長類最強の肉食系女子。


消えた回転寿司チェーンの記憶──昭和・平成を彩ったあの店はいまどこに?

消えた回転寿司チェーンの記憶──昭和・平成を彩ったあの店はいまどこに?

昭和から平成にかけて、全国各地で親しまれていた回転寿司チェーンの数々。家族の外食、旅先の楽しみ、地元の定番──いつしか姿を消したあの寿司屋は、なぜ消え、どこへ行ったのか。本記事では、現在は閉店・消滅した地域密着型の回転寿司チェーンを、当時の特徴やSNSの証言とともに記録として振り返る。


【歌謡曲】ありえないシチュエーション!歌詞がおもしろくて笑ってしまう歌謡曲5選!

【歌謡曲】ありえないシチュエーション!歌詞がおもしろくて笑ってしまう歌謡曲5選!

昭和の歌謡曲には、現代ではお蔵入りしてもおかしくないほど、ありえないシチュエーションを描いた詞が数多くあります。その中には、残酷な人物像や露骨な情景描写もあり、思わず笑ってしまうような歌詞もありました。今回は、筆者の独断と偏見で、歌詞がおもしろくて笑ってしまう歌謡曲を5曲ご紹介します。