私たちが育った1970~80年代は、まだパソコンというものが一般に知れ渡る前の時代でした。
80年代になると、高価ではあったものの徐々にパソコンが家庭に普及していき、コンピュータがもたらす未来というものが想像されるようになっていったのだと思います。
そんな時代が到来する前の1969年。
少年サンデーの誌上では「コンピュートピア」と題された、コンピュータが生み出す未来の社会像が予想図として図解されました。
1969年、少年サンデーの誌上で特集された「コンピュートピア」
新情報時代に強くなる特集!とあります
この見出しが当時を彷彿とさせる気がするのですが
「無人工場、先生のいない学校・・・きみたちの夢が実現されるコンピュートピア。
人類のあすは、コンピューターが開いてくれるのだ。」
さらにコンピューターが超小型になることで「電子脳」「電子心臓」が実現している未来。
当時は「コンピューターは万能=全てが自動化された未来」といったイメージが、理想的な未来の姿だったのかもしれませんね。

「コンピュートピア」
この「コンピュートピア特集」は、20年後の1989年を想定したものでしたが、さすがに20年後には追い付けなかったようです。
しかしながら、現代に置き換えて考えてみるとまた違った印象に映るかもしれませんね。
およそ50年前、コンピューターの力を前提にして予見した未来、どのような未来なんでしょうか。
スクリーンに映る先生、一人一台用意されたパソコン
まずは下記の2枚が「コンピューター学校」ということで、未来の教室を予想図として描いているようですね。

教室の風景①
一人一台のコンピューターが宛がわれた教室の風景。
先生はなぜかスクリーンに投影ということで、授業は無人で行われているようです。
生徒はどうやらパソコンのモニターにタッチペンで答案を書ける様子。
そしてここは現代と大きく異なると感じるのが、答案を間違えた生徒には天井からパンチングマシンのようなものが落ちてきています(笑

教室の風景②
先生はスクリーンの中なので無人ではあるものの、ロボットが生徒たちの様子をチェックしているようです。
よそ見をしている生徒をロボットが叩いている風景ですが、ある意味この光景が一番現実離れしているのかもしれませんね。
移動する住居、なぜか全身タイツのような服装
次からの4枚は、未来の住居の様子です。
かつて21世紀の風景では、やたらと全身タイツのような服装が登場していたことを思い出さずにはいられませんね。

家庭の風景①
巨大な家庭用コンピューターには「あなたの健康度は良好」と表示が。
これは現代でいうところのウェアラブル端末を身に着けて、体調管理を行っているようですね。
そのコンピューターですが、よく見ると新聞紙のようなものが排出されています。
この辺りは、現代の私たちならすべてモニターに表示すべきとの印象を抱いてしまいます。
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家庭の風景②
立体テレビは、現代の最先端であるVR(ヴァーチャルリアリティ)を想起させるものですし、自走電気掃除機はまさにルンバですね。
「空飛ぶ移動式住居」というのは突拍子もありませんが、このあたりは実現している未来と空想の域を出ないイメージとが混在しているようです。

家庭の風景③
お母さんの膝元には「家計用小型コンピューター」が。
これは、現代のタブレット端末と比較すると随分と大型ですね。
また、タッチパネルが想定されていないようです。

家庭の風景④
台所用ロボット、自走保温テーブル、自動アイロンの姿が見えます。
家事はすべてロボットがやってくれる様子、若干不安なのは運動不足になりはしないだろうかといったといったことぐらいでしょうか。
若干ホラー感が漂う、未来の手術室
最後は未来の手術室です。
「コンピュートピア」表紙の画像にも「電子脳」「電子心臓」があったように、当時の未来予想図では人間はどんどん機械を取り入れて進化していくイメージがあったのかもしれません。
「とりだされた心臓」などの画を見ると、なんだか人造人間や仮面ライダーのワンシーンにしか見えません。
ちょっとホラーな未来予想図です。

手術室の風景
全てがコンピューター制御の手術なら失敗もないということで素晴らしいのかもしれませんが、この予想図だけはまったくウェルカムな気持ちになれません(笑。
そんなわけでいまからおよそ50年前の1969年に描かれた未来予想図、いかがでしたでしょうか。