ハード路線からほのぼの青春路線へ変化した「750ライダー」の軌跡

『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて1975年から1985年まで連載された、パイク漫画史上では長編の全50巻を誇る。(文庫本10巻)
作者によると、『週刊少年サンデー』(小学館)に描いた『750ロック』(ナナハンロック)を発展させ、人間にスポットを当てて描こうとしたもの(『いきなり最終回』、宝島社より)。
10年の連載ということもあり、初期~中期~後期と、絵柄の移り変わりもそうだが、ストーリー自体も暴走族とのバトルといったハードな展開から学園生活モノに変化し、後期は日常生活を主体としたほのぼの路線(ポエムまでがつく)へシフトしていった「750ライダー」。
読者層と時代の背景に合わせて変化していったことでバイク漫画としては息の長い漫画になったともいえるだろう。
「750ライダー」の漫画の特徴

著名な漫画家さんほど、その漫画家だとわかる特徴というものがありますね。
絵柄の特徴は当然ですが、それ以外にも擬音の書き方だったり、コマ割りだったり、トーンの使い方だったり…と、それぞれの個性があります。
石井いさみ先生が描いた!とわかる漫画の描き方、ストーリーの運び方に特徴をあげてみました!
石井いさみ先生もこの750ライダーで作風を確立したといってもいいのではないでしょうか。
●語尾を伸ばすセリフが多い。
「光────!?」
「ですかね───!?」
●驚嘆したような「!」「!?」の多用。
●作中にキャラの心情を描いたポエムが入る。
●ポエム風のようなゆったりとしたストーリーの作り方。
●擬音が吹き出しの中に入る
「は」「はっ」
「ジロ!」「ジロ!」
「ドッキン」
…など。
「750ライダー」の魅力あふれる登場人物

早川 光
【750ライダークイズ】舞台となったすずらん通り商店街はどこの駅でしょうか?@750ライダー ファンブック - LAWRENCE - Motorcycle x Cars + α = Your Life.

久美子(委員長)
コースター 石井いさみ - マンガ家広場 │ マンガ家に関する最新情報から書籍アプリ、デジタルマンガ、コラボアイテムの販売

野崎 順平
750ライダー

喫茶店「ピットイン」のマスター
750ライダー

麻子
750ライダー

用務員のおやっさん
750ライダー

早川 麦
750ライダー

熊田先生
750ライダー
絵柄の変化(初期~中期~後期)とストーリー変化が面白い!

アウトローだった初期の1巻の光はめちゃくちゃトゲトゲしい(笑)
髪の毛も短いというのもあるのですが、鼻が高いのと、もみあげがある、目つきがキリリ…同一人物?とは思えないくらい、全く別人ですねぇ~
10年の連載していたら変わるものも変わるかぁ~。
中期あたりになると最終巻に近い髪型となり、シリアスな場面ではキツい目になるが普段はのほほんとした感じ。
後期あたりでは顔の輪郭が丸くなって少々子供っぽい感じになっているのがお分かりだろうか?
髪のベタにツヤ(白抜き)が入ってきています。
この表現により、絵柄に明るさが出ているように感じます。

初登場、光のアウトローなシーン
750ライダー

初登場、光のアウトローなシーン②
750ライダー

初登場、光のアウトローなシーン③
750ライダー

1巻の委員長、いかにも優等生のお嬢様という雰囲気。
髪の毛もセミロングあたり。
中期あたり、髪の毛のボリュームが後期とくらべてペタッとなっていて、首が細く、スラッとしたスタイルである。
後期あたりになると輪郭がふっくら、髪のボリュームが増えてくせ毛みたいなのがついて可愛らしくなっている。
私的には絵柄の好みは色々ありますが、後期の久美子ちゃんの方が好きですねぇ。

ピットインに入ったきっかけが…
750ライダー
検証!光と久美子(委員長)の出逢いからどのように進展した?

1巻の光と久美子(委員長)の最初のやりとりはこうだった!
750ライダー
早川光君の名前を出しちゃった…という時点で、委員長はすでに光に対して好意があったということがわかるエピソードではないだろうか?
その頃はたぶん毎日見ていて「素敵な人だなあ」「カッコいいなあ」と思う程度だったかもしれないが、これもやはり恋であり、恋のはじまりなのである。
これをきっかけにもしかしたら距離が近くなるかもしれない…、言い寄られて困っている…早川光君なら…という淡い期待も込めて。
初期の頃の委員長はけっこうお転婆だった!

1巻より
750ライダー

1巻より
750ライダー
「フケツ!!そんな本ここにはありません!!」と怒鳴るシーンもあったり、
「早く見せろ!!このスケベ!!」
といったセリフや、飛び蹴りといったことまで…
優等生で、言葉使いも丁寧な委員長というイメージが強いので、初期の頃のお転婆さには改めてびっくりさせられますね。
やきもちを焼く光とお互いに好意があることを確かめる…?シーン

10巻より
750ライダー/石井いさみ
委員長のお兄さんの友達が、委員長のことを気に入ってお兄さんが当然ながら友達のために妹との海へのデートをセッティングするわけだ。
委員長としては、デートをする気にもなれないが、お兄さんの顔の手前のこともある…。
光に、“土曜に海へ連れて行って”とせがむのだが、光は“バイトだよ───”と、このアホは断るのだが、後になってマスターや順平から、委員長のお兄さんの友達と海へ…と聞き、焦る光。
当日の土曜日…委員長はスッポかしたということを知り、安堵して喜ぶ…
このように、お互いに好意があるのだけれど、ハッキリと言葉にはしない。
この時代の恋愛ってピュアだなぁと思う。
初めてのファーストキスは…バリッ!?

この回では…残念ながら未遂です(笑)
750ライダー

光のキスの失敗からの後日…麻子の策略で。
750ライダー

久美子もアワアワ…。
750ライダー

こうなる(o^―^o)
750ライダー/石井いさみ

誕生日プレゼントに…○○って、素敵すぎるよな…!
750ライダー
作中にて、語られるポエムが…青春!
初期くらいから、ポエム風コマ割り表現が9巻あたりで確認されているが、初期はこのような表現法はあまり使われなかった。
24巻前後あたりから、キャラの心情をうたったポエムが増え、1話ごとに2、3つのポエムが入ることもあれば、その時はなくても次の話で入ることも多くなっている。

9巻より
750ライダー

付き合ってないようで付き合ってるよね、この2人。
750ライダー

ポエムで光へのラブっぷりが健気です!!
750ライダー

大和撫子すぎるなぁ~委員長!
750ライダー

本当は付き合ってるだろ?とツッコみたくなるけど、プラトニックなんよね~
750ライダー
東京都大田区のすずらん通りに750ライダーのイラストがあちこちに!
シャッターいっぱいに描かれた「750ライダー」のイラストが見れる場所がここ、東京都 大田区 西蒲田にある。
石井いさみ先生の地元だそうで、現在も居住されているんだとか。
京浜東北線 蒲田駅 西口の二番街商店街のすずらん通りに行けば見ることができる。
ただし、シャッターに描かれているわけなので、お店が営業中は見ることができない。
お店がほぼ休業する週末か、早朝が見どころとか…。
「750ライダー」をリアルタイムで読んでいた世代や、80年代頃くらいなら、懐かしいと思うよね。

通りに面しているシャッターには特大のイラストが。
【750ライダークイズ】舞台となったすずらん通り商店街はどこの駅でしょうか?@750ライダー ファンブック - LAWRENCE - Motorcycle x Cars + α = Your Life.

光と久美子(委員長)はベストカップル(o^―^o)
大田区西蒲田7丁目、キッチンすみっこ ( 飲食店 ) - タワマンぶらり旅の東京港区暮らし - Yahoo!ブログ

名作の表紙がズラリ!
大田区西蒲田7丁目、キッチンすみっこ ( 飲食店 ) - タワマンぶらり旅の東京港区暮らし - Yahoo!ブログ
青春漫画として納得の最終回…!
最終回は巻頭カラーで1985年1月25日号。
高校3年に進級する春を目前にした冬。
主人公と仲間たちが10年後の自分にレターを書き、瓶に入れて地面に埋め、タイムカプセルとするところで終わっている。
未来は読者さんにお任せということになるが、青春漫画ならではのさわやかな終わり方といってもいいのではないだろうか。
タイムカプセル、というところに昭和のノスタルジックを感じさせますね。

最終回のシーン①
750ライダー

最終回のシーン②
750ライダー