高校野球史に残る大逆転試合~平成9年・夏~秋田商業対浜田

高校野球史に残る大逆転試合~平成9年・夏~秋田商業対浜田

高校野球史に残る大逆転試合をいくつか紹介しています。ここでは、平成9年・夏の大会。秋田商業対浜田高校戦をとりあげます。後に日本プロ野球界を代表するサウスポーとなる、石川雅規(ヤクルト)・和田毅(ソフトバンク)両投手の息詰まる投手戦の結末は…。


注目のサウスポー対決

後に日本プロ野球界を代表するサウスポー・和田毅選手と石川雅規選手が投げあったのは第79回全国高等学校野球選手権大会4日目(8月11日)の第2試合でした。
※ただ、両投手とも当時から好投手だという評価を受けていましたが、写真や動画でもわかる様に、当時2年生の和田選手は長身ながら線が細く、更に石川選手はその低い身長の為、プロ向きではないとも言われていました。

浜田高校・和田毅選手

1回表、浜田高校が石川投手の立ち上がりを攻め、四番松本選手のタイムリーヒットで先制。
秋田商業が反撃を見せたのは、5回裏、五番佐々木選手のタイムリーヒットで同点に追いつきます。
しかし、5回表に浜田高校がスクイズで逆転に成功し2対1と勝ち越します。
以降石川投手、和田投手が得点を許さず迎えた8回表、秋田商業のショートが痛恨の悪送球により浜田が1点を追加。3対1とリードを広げたところで、この試合の勝負は決まったかに見えたのですが…。
試合はこれで終わりませんでした。

秋田商業・石川雅規投手

卒業後は地元就職希望 青学大もプロもなかったかも - 「甲子園」100年物語 - 野球コラム : 日刊スポーツ

9回裏の秋田商は連続ヒットでノーアウト1,2塁とすると、次打者の送りバントを和田選手が1塁へ悪送球。さらにカバーに入ったライトからの返球がまたしても逸れ、このプレーで2者が生還。予想しなかった形で、試合は3-3と同点になります。

ここで浜田高校ベンチは2人を歩かせる満塁策をとり、8番打者の石川選手との勝負を選択。しかし、2年生エース和田選手の動揺は大きかったのでしょうか、スクイズの構えを見せて揺さぶった石川選手に対して、1球もストライクを投げる事が出来ず、サヨナラ押し出しでゲームセットとなったのです。

秋田商業の次の相手は沖縄代表浦添商業。この試合、石川選手はバントしようとした際、左手人指し指に死球を受けるアクシデント。何とか踏ん張り最後まで投げきったのですが、本来の投球には遠く、4対8で敗れ、3年生の夏を終えたのです。

再び甲子園に

3年生となった和田毅投手は、翌年の第80回全国高等学校野球選手権大会にも出場します。この年は多くの方もご存知の様に、横浜高校の松坂大輔投手が春夏連覇を達成した大会です。さて、下の写真の2ショットですが、これは開会式前に、和田毅選手が松坂選手に「写真いいですか?」と声をかけて撮った写真なのだそうです。今となっては凄い写真ですよね。

松坂大輔(横浜)選手と和田毅選手

浜田高校の初戦は新発田農に5-2で勝利。続く3回戦で森本稀哲選手を擁する帝京高校と対戦、森本選手に本塁打を打たれるものの、試合は3-2で勝利。次の準々決勝では豊田大谷高校と対戦し、延長10回3-4で敗れるものの、前年の敗戦を乗り越えて成長した姿を高校野球ファンに見せました。

和田毅選手は、この前年の秋に上腕三頭筋を断裂していたこともあり、直球はこの当時120km/h程度であったが、帝京高校の選手は「150km/hに見えた」と証言しています。球の出ところが見にくい和田投手の投球フォームや投球術、そして「キレ」がそういった「錯覚」を生むのでしょう。

ヤクルト・石川対ソフトバンク・和田因縁の対決

その後プロ入りした石川雅規選手と和田毅選手の再戦が実現したのは、交流戦が実施された初年度の事でした。この試合はソフトバンクの勝利を収めます。「特に意識はしなかった」という和田選手でしたが、この投球内容は、押し出しで敗れた高校時代と違って「無四球」という投球内容でした。

和田毅選手(ソフトバンク)

「あの試合」を外野スタンドで売り子をしながら見ていた筆者としては、石川雅規、和田毅両投手が、未だ現役で投げ続けるのを見る度に、あの夏を思い出し、感慨深くなるのです。

石川雅規選手(ヤクルト)

最新の投稿


ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂が、『鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブ~Autumn Season~』を11月13日にビルボードライブ大阪、16日にビルボードライブ東京にて開催する。今回は、1975年にリリースされた1stソロアルバム「BAND WAGON」の発売50周年を記念したプレミアム公演となる。


【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

2025年(令和7年)は、1965年(昭和40年)生まれの人が還暦を迎える年です。ついに、昭和40年代生まれが還暦を迎える時代になりました。今の60歳は若いとはと言っても、数字だけ見るともうすぐ高齢者。今回は、2025年に還暦を迎える7名の人気海外アーティストをご紹介します。


吉田沙保里  強すぎてモテない霊長類最強の肉食系女子の霊長類最強のタックル その奥義は「勇気」

吉田沙保里 強すぎてモテない霊長類最強の肉食系女子の霊長類最強のタックル その奥義は「勇気」

公式戦333勝15敗。その中には206連勝を含み、勝率95%。 世界選手権13回優勝、オリンピック金メダル3コ(3連覇)+銀メダル1コ、ギネス世界記録認定、国民栄誉賞、強すぎてモテない霊長類最強の肉食系女子。


消えた回転寿司チェーンの記憶──昭和・平成を彩ったあの店はいまどこに?

消えた回転寿司チェーンの記憶──昭和・平成を彩ったあの店はいまどこに?

昭和から平成にかけて、全国各地で親しまれていた回転寿司チェーンの数々。家族の外食、旅先の楽しみ、地元の定番──いつしか姿を消したあの寿司屋は、なぜ消え、どこへ行ったのか。本記事では、現在は閉店・消滅した地域密着型の回転寿司チェーンを、当時の特徴やSNSの証言とともに記録として振り返る。


【歌謡曲】ありえないシチュエーション!歌詞がおもしろくて笑ってしまう歌謡曲5選!

【歌謡曲】ありえないシチュエーション!歌詞がおもしろくて笑ってしまう歌謡曲5選!

昭和の歌謡曲には、現代ではお蔵入りしてもおかしくないほど、ありえないシチュエーションを描いた詞が数多くあります。その中には、残酷な人物像や露骨な情景描写もあり、思わず笑ってしまうような歌詞もありました。今回は、筆者の独断と偏見で、歌詞がおもしろくて笑ってしまう歌謡曲を5曲ご紹介します。