「子象物語~地上に降りた天使」戦争という悲惨な出来事の犠牲者は人間だけじゃなかった。

「子象物語~地上に降りた天使」戦争という悲惨な出来事の犠牲者は人間だけじゃなかった。

戦争という人間の自分勝手なエゴのために命を落としていった動物たち。太平洋戦争という自滅への道を歩んだ日本の時代背景とともに振り返る。


作品紹介

1986年7月公開。
時代は戦争の真最中。軍部と動物たち(動物園)と飼育員たち、そしてそこに関わる人々の生き様、ゾウを中心とした悲惨な運命をたどる動物たちを描いた作品。
第2次世界大戦中、上野動物園で実際にあった出来事を描いた「かわいそうなぞう」が元になっていると言われています。
この作品はビデオでのみ現存しており、DVD化はされていません。動物虐待法などの関係上地上波でも放映が控えられてますので幻の名作と言われています。

【あらすじ】 昭和15年冬、東京富士見動物園では飼育係の田辺正太に見守られ、象のサクラが子象を生み落した。同じ頃、正太の妻、節子も男の子を出産した。子象のハナ子は、動物園好きの小学生たちと絆を深めながら成長していく。だが、日本は太平洋戦争に突入し、軍は動物園の猛獣を殺すよう命令を下した。空襲による猛獣のパニックを防ぐ名目だが、実は国民に非常時の危機感をあおり、戦争の士気を高揚するのが目的だった。その実行にあたるのは正太の同級生だった東部軍司令部・秋元少佐である。正太は秋元に考え直すよう嘆願した。秋元の婚約者で、戦争のために音楽の道を閉ざされた木暮幸子も同じく批判的だったが、好戦派の秋元は全く聞き入れようとしない。動物園の飼育係たちは、地方の動物園に自分たちの動物をひきとってくれるよう手紙を書いた。ある日、長野動物園の栗田園長が、象を引き取りたいとやって来た。安堵した正太は妻子と共に長野に移る決心をする。動物処分の日、動物たちは園内で無残に殺されていった。サクラやハナ子も長野へ移るはずが、軍は例外を認めず餓死処分を強いた。やがてサクラは死んだ。長野へ疎開することになった小学生と幸子は大きなショックをうける。正太と幸子は辛じて生きているハナ子を何とか守ろうと決心した。幸子の案で、ハナ子をグランドピアノの木箱に入れ、楽団員たちが長野へ向かう列車に乗せて脱出するのである。検問をくぐり、婚約解消した幸子に会いに駅へ来た秋元の目もくらまし、正太と幸子、そしてハナ子を乗せた列車は長野へ向けて出発した。動物園でハナ子のいないことに気づいた秋元は、駅で目にした木箱を思いおこす。長野駅では、すでに疎開した小学生や栗田園長たちがハナ子の到着を待っていた。だが、秋元が知らせたため、列車は長野駅のひとつ手前の篠ノ井駅で、ハナ子の乗っている車輛だけ突然切り離された。一個中隊がハナ子と正太を包囲するなか、秋元がやって来た。彼はハナ子に銃を構えた。そこに栗田園長や小学生が走り込んでくるが、中隊が立ちふさがる。その時、銃声がするが秋元はハナ子ではなく空に向けて撃ったのだった。

http://movie.walkerplus.com/mv17531/

子象物語 地上に降りた天使 | Movie Walker

小学生50人と綱引きをするサクラ。
サクラの怪力は子供たちをグイグイ引っ張ります。
数少ないにこやかなシーンです。

サクラと正太

長野で軍隊に囲まれるハナ子。
この後、エンディングへと続いていくのです。

ハナ子と正太

全編において涙なくして見られない物語です。
軍の命令で飼育員たちが涙ながらに動物を殺処分しようとするシーン。
生まれた時から正太が手塩にかけて育ててきたハナ子と母象のサクラを、軍部があの手この手で殺そうとするシーン。
空腹と病気で死んだサクラにハナ子が体をすりよせ、ハナで撫でてあげるシーン。
秋元少佐がハナ子を銃殺するため、正太に急所である眉間に記しをつけさせるシーン。
正太と節子が慰霊碑にいつまでも手を合わせ頭を下げるラストシーン。
動物園の動物たちの殺処分が戦時中実際に行われていたことかと思うと、何ともいたたまれない気持ちになります。。。

プロモーションビデオ

主題歌

象の国

劇中のサクラとハナ子は当時の湘南動物プロダクション(旧;山小川ファーム、現;市原ぞうの国 現在の湘南動物プロダクションとは業務関係はない)が1984年にプロデュース依頼され、出演させたものです。その時に番組とのタイアップもあり、代表者;坂本小百合氏の息子で故哲夢氏が小学生ながら象使いを目指し、中学生で単身タイへ渡り修行をして1人前の象使いになった。というエピソードがあります。
残念ながら哲夢さんは、1992年11月10日、猫を連れてCM撮影の現場に向かう途中に交通事故で亡くなられてしまいました。20歳という若さでした。
後に「星になった少年」で映画化され、劇中のゾウ「ランディ」が有名になりました。

市原ぞうの国

主な出演者

武田鉄矢(田辺正太)

動物たちを必死に守ろうとする飼育員・田辺正太を熱演しています。

歌の中のセリフの「コラッ、テツヤ!」や金八先生で有名な歌手・俳優。
幅広い役柄をこなす博識俳優ですね。

萩尾みどり(田辺節子)

飼育員・田辺正太(武田鉄矢)の妻。

女優から声優まで幅広く活躍しています。
千葉大理学部中退の今で言う「リケジョ」です。

名古屋章 (富士見動物園 高橋園長)

正太と同じく動物たちに情熱を傾ける園長。

2003年6月24日死去。名声優、名脇役でした。

大滝秀治 (長野動物園 栗田園長)

サクラとハナ子を引き取るために、何時間もかけて長野から東京へ出向いていき、正太にも長野への移住を勧める心ある園長。

2012年10月2日死去。87歳でした。

遥くらら(木暮幸子)

軍人・秋元圭司(永島敏行)の婚約者。

元タカジェンヌ。
芸能界歴は短く10年足らずで引退(1990年代)してます。

永島敏行(秋元圭司)

正太の幼馴染で動物たちを殺処分しようとする軍人役。

俳優の傍ら農業に励んでおり、生産者と消費者の架け橋として設立した「青空市場」の代表でもあります。

その他にも、大山のぶよ、三谷昇、神山繁、河原崎長一郎等々豪華俳優陣が脇をしめてスクリーンを盛り上げています。

戦争と動物たち

昭和10年代(1935年~)の日本は戦争に明け暮れていました。
そして、昭和16年(1941年)に勃発した太平洋戦争によって、動物園の動物たちが犠牲になっていきます。
「戦時猛獣処分」。戦争中に動物園などが爆撃され、猛獣が逃げだして一般人に被害が及ばないよう殺処分する、というもの。しかし、実際のところ、食糧難や戦争に対する国民の士気高揚を意図したところが大きいとも言われています。行政や軍の命令下で実行されました。
最初に犠牲になったのは、上野動物園。27頭の猛獣たち(ゾウ、クマ、ライオン、ヒョウ等々)が次々と殺処分されました。大阪の天王寺動物園や名古屋の東山動物園(現東山動植物園)仙台・京都・福岡等々でも同じような悲惨な出来事が起きていました。
人間の都合で勝手に連れてこられ、人間の都合で勝手に命を奪われた動物たち。
あまりにも残酷すぎる所業ではありませんか。

このような状況下でも、名古屋の東山動物園では戦中から戦後、国内で唯一2頭のゾウが生きのびました。エルドとマカニーです。
他の動物園や子供たちから来園依頼があったのですが、年齢・2匹の精神状態等の関係で依頼に答えることができずにいました。そこで国鉄の協力の元できたのが「ゾウ列車」。
運ぶのはゾウではなく子供たちです。日本各地から名古屋に向けて、ゾウを見たい子供たちに来てもらおうというものです。
昭和24年(1949年)に実施され、のべ6万人以上の子供たちを運んだとされています。
ちなみに列車の運行時間ですが、東京駅21:50発、名古屋駅7:47着。なんと東京⇔名古屋駅間だけで10時間もかかったのです。
子供たちのゾウに対する情熱は、それはそれは大きなものだったのですねぇ。

2015年 中日新聞の掲載記事

2015年にゾウ列車のことが中日新聞に掲載されました。
「ゾウに会えるなんて夢のようで、毎日楽しみで眠れなかった」
下の写真でゾウに載ってる子供の当時の思い出も掲載されました。

右マカニー、左エルドー。
ゾウ列車で来園した子供たちとの記念撮影です。

東山動植物園 ゾージアム内掲載

名古屋東山動植物園

1937年開園。
開園当時は広さ、動物の種類・数の多さから東洋一の動物園と言われました。

名古屋市千種区東山元町3-70

大阪市天王寺動物園

1915年1月開園
日本で3番目の長い歴史を持つ。

大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-108

動物たちを慈しんで

上野動物園には亡くなった動物たちの慰霊碑が建立されています。
ここには戦争の犠牲になった動物たちも慰霊されていて千羽鶴や花が供えられてます。
慰霊碑には「動物よ安らかに」と書かれており、人々の祈りの気持ちがこめられています。

表門の奥正面に象の森があります。その右手に設置されています。

戦時中に餓死した3頭の象、
ジョン・トンキー・花子(ワンリー)もここで慰霊されています。

上野動物園 慰霊碑

餓死したジョン(上野動物園)

昭和18年(1943年)8月、絶食による餓死時の写真。
まるまるとした象の体の面影はなく、ゴツゴツとしており、牙がなければこの写真では頭も背中も判断できないほど痩せこけています。なんとも残酷な写真です。。。

3頭のゾウたち

ジョン

昭和18年(1943年)9月23日餓死。

トンキー

昭和18年(1943年)9月11日餓死。

花子(ワンリー)

 朗読

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