【行ってみた!】雑誌専門の大宅壮一文庫!あらゆる年代の雑誌が閲覧可!書庫が凄い!

【行ってみた!】雑誌専門の大宅壮一文庫!あらゆる年代の雑誌が閲覧可!書庫が凄い!

貴重な雑誌が蔵書されている大宅壮一文庫!明治、大正から平成まで70万冊以上の雑誌が揃う書庫。芸能人のゴシップを扱った男性誌や女性誌を始め、歴史的価値のある雑誌までが所蔵され、実際に触れてコピーも出来ます。大宅壮一文庫の書庫は懐かしい雑誌の宝庫でした!


2016年7月某日。
ミドルエッジ編集部は東京都世田谷区八幡山にある「公益財団法人 大宅壮一文庫」(読み方は「おおや そういち ぶんこ 」。以下、大宅壮一文庫)を訪ねました。

ジャーナリストであり、評論家だった大宅壮一氏の約20万冊に及ぶ雑誌コレクションを引き継ぐ形で、大宅氏が亡くなった翌年の1971年に設立された「大宅壮一文庫」。

明治以降から最新の雑誌までが所蔵され、ミドルエッジ読者の方々にとって、非常に懐かしい雑誌も多数ございました。その魅力を存分にご紹介致します!

雑誌専門の 「大宅壮一文庫」!その蔵書数は70万冊以上!

京王線八幡山駅から徒歩約8分の立地に「大宅壮一文庫」はあります。
八幡山駅周辺は、閑静な住宅街であり、非常に落ち着いた街といった印象です。

駅前から続く赤堤通りを歩き、左手に都立松沢病院の広大な敷地を眺めながらしばらく行くと、郵便ポストが見えてきます。
その郵便ポストの設置された敷地にある建物こそが、雑誌約1万種類、70万冊以上を蔵書する「大宅壮一文庫」なのです。

画像左手の郵便ポストが目印です。
また、画像の樹木右側には駐車場が見えます(駐車スペースは7台)。

※駐車は四輪乗用車のみです。

赤堤通り沿いにある大宅壮一文庫

「大宅壮一文庫」のウェブサイト
http://www.oya-bunko.or.jp/

ウェブサイトは非常に分かり易く、蔵書雑誌に関してや施設の利用方法が説明されています。

また、所蔵の雑誌記事についての「索引」は、専任スタッフが各雑誌の記事をデータベース化し、ピンポイントで欲しい情報に辿り着くことが出来る、非常に便利なシステムです。

大宅壮一文庫 外観

ジャーナリスト「大宅壮一」のプロフィール

1900年(明治33年)9月13日に大阪府富田村(現:高槻市)生まれ。

家業の醤油屋を手伝いながらも、その頃から非凡な才能を発揮します。
少年時代、各種少年雑誌に投稿、懸賞メダルを多数獲得。米騒動を煽動するような演説をしたということで大阪・茨木中学を放校されています。

1922年(大正11年)に東京帝国大学文学部社会学科入学後は、新人会に所属し、その独自の視点を更に磨くこととなりました。
その頃の大宅氏は小倉の袴にオールバックという出で立ちだったそうです。

大学を中退後は、マスコミの世界に入ります。
新潮社で「社会問題講座」シリーズを企画編集して成功し、また雑誌「新潮」に評論を発表してジャーナリストとしてデビュー。また、イデオロギー的な表現を嫌い、自ら「無思想人」を宣言します。

1970年(昭和45年)11月22日永眠。

大宅壮一氏

世相を要約し、「新語」を作る能力にも非常に長けていました。
「一億総白痴化」や「駅弁大学」、「太陽族」など、的確な新語を世に広めています。
現在も頻繁に使用されている言葉には「恐妻」、「口コミ」があります。

(※「口コミ」は当時のラジオやテレビで「しゃべる評論家」のことを指しています。彼らから「口」で伝わるコミュニケーションの影響力を、大宅氏が新語として表現しました。)

また、大宅氏と雑誌の関係は深く、全国各地で雑誌を収集しては、自宅に所蔵していました。
「本は読むものではなく、引くものだよ」との言葉を残していて、本棚に貴重な雑誌を眠らせておくのではなく、閲覧利用の出来る大宅壮一文庫の理念に合っています。
実際に大宅氏の「蔵書は多くの人が共有して利用できるものにしたい」という想いが、大宅壮一文庫の設立に繋がったそうです。

机は実際に大宅氏が使用していた物。

大宅壮一氏の書斎が復元された一室

歴代の雑誌に驚かされる 「大宅壮一文庫」の魅力

「大宅壮一文庫」の建物の隣には、かつて大宅氏の自宅が併設されていました。
館内の書庫は増築を重ね、設立当時の蔵書数を遥かに凌ぐ雑誌を所蔵しています。

蔵書は幅広く、明治や大正に創刊された雑誌の「創刊号」も数多くあります。
例えば1874年(明治07年)に慶応義塾出版社から出版された「民間雑誌」は、福沢諭吉が中心となって創刊されたという啓蒙雑誌です。
実際に触れる事で、「福沢諭吉」と「慶応義塾」のキーワードが「雑誌」を媒介して結びつき、歴史上の人物の「仕事」に直接触れる事が出来ます。

また、大昔の雑誌を見て楽しめるオススメのチェックポイントとしては、「広告欄」です。
例えば1905年(明治38年) の創刊で、現在も続く、日本最古の女性誌「婦人画報」を例に取れば、「ライオン歯磨(現:ライオン株式会社)」や「松屋呉服店(現:株式会社 松屋)」等の雑誌広告を実際に見る事が出来ました。

広告のイラストや謳い文句に、その頃の世相を感じ取れます。
「ライオン歯磨」の謳い文句は「朝夕 愛用する方の歯は 皆斯(みな かく)の如く美し」でした。
このキャッチコピーから当時も歯の健康や見た目に気を使っていて、広告を出稿する程まで産業として成立していたんだなと、読み取り(深読み?)楽しむ事が出来るのもまた「大宅壮一文庫」ならではなのです。

画面下に「婦人画報」が映り込んでいました。

書庫・本棚

本棚は3.11の震災時も崩れなかったそうです。
本が敷き詰められ、自重があったからでしょうか。

本棚は大宅氏が生前に大工さんに依頼し、製作した物をそのまま使用しています。

各雑誌のタイトル別に収納され、更には年代別に整理されています。

この書庫を見学していて非常に面白い点は、お堅い雑誌からゴシップやグラビアがメインの雑誌まで豊富に揃っている点です。
まるで「歴代の雑誌が一堂に会する」といった印象です。

書庫・本棚

2016年4月から放送のNHK「とと姉ちゃん」の主人公・小橋常子のモデルは雑誌編集者・大橋鎭子(しずこ)です。
その彼女が1946年(昭和21年)に創刊させたのが「暮しの手帖」でした。

もちろん創刊号も収蔵されています!

主婦向け・総合生活雑誌「暮しの手帖」の背表紙

背表紙で遊んでいる「ロッキング・オン」。
特集はオアシスやレッチリ、レディオヘッド等で、90年代音楽の空気を懐かしむ事が出来ました!

音楽雑誌「rockin'on(ロッキング・オン」の背表紙

「女性自身」の本棚です。
この本棚には80年代~90年代の各号が収納されておりました。

もちろん、その前後の年代の「女性自身」も網羅されていて、表紙のタイトルを見ているだけでも、時代の移り変わりを体感できます!

画像左下にはダイアナ妃やセーラ妃のタイトルが踊っています。
90年代の英国王室のスキャンダルを思い出しました!

書庫・「女性自身」の本棚

過去の雑誌に触れられる!「利用の流れ」

書庫は普段関係者のみが入室を許されており、利用者は「雑誌記事索引総目録」、「雑誌記事索引検索Web版(Web OYA-bunko)」で記事を検索し、目的の記事が掲載された雑誌の閲覧を申請する流れとなっています。
(※実際に書庫に入りたい方は、月イチで開催の「バックヤード・ツアー」にお申込み下さい。詳しくは後述。)

記事を見つける為の「索引検索」が非常に整備されているので、キーワードを入力すれば、目的の(もしくは知らなかった)記事を見つける事が出来ます。

例えば索引キーワードで上位トップテンは、アイドルに限ると「松田聖子」、「山口百恵」、「木村拓哉」です。
3人の登場する雑誌だけでも相当数に上ります。それらの記事を実際に年代を追って閲覧するのも非常に面白いです。(筆者は木村拓哉の髪型の変化を楽しみました!)

また、ジャーナリストやライターにも数多く愛用され、大宅壮一文庫の蔵書を閲覧し(コピーも可能)、過去の事件記事が活用されています。

入館後は利用者カードに必要事項を記入後、初めての利用者にはここで説明がなされます。
非常に簡潔で丁寧な説明で、利用に関する大まかな流れが掴めます。

入館料は300円(税込)。

次ページでは、ミドルエッジ世代ならきっと懐かしい雑誌のタイトルが目白押しです!
また、バックヤード・ツアーの詳細もお知らせします!

館内1階のご案内コーナー

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