失楽園
スタッフ
キャスト

久木祥一郎(役所広司)

松原凛子(黒木瞳)

衣川和記(寺尾聰)

松原晴彦(柴俊夫)

久木文枝(星野知子)
ストーリー

敏腕編集者の仕事人間だった久木は、突然、閑職勤務に移動させられる。
ある日、友人の運営するカルチャーセンターの書道講師の松原凛子に魅せられる。
最初控えめで、戸惑いがちだった凛子も情熱的な久木のアプローチで次第に久木を受け入れるようになる。

体を重ね合ううちに、二人は益々互いをもとめあうようになり、家を空けがちになる。
遂には、二人で会うための家まで借りるようにまでお互いに傾倒していく。
家族もおかしいと思い始めるようになった。
凛子の夫は興信所を使って、凛子の不倫の証拠をつきつける。
しかし、離婚はしないという。
久木の妻も夫の不貞に感づき、夫に離婚をせまるのだった。

ついに凛子の夫は、久木の会社に彼が自分の妻をしつこく追いかけまわし、嫌がる妻に対して不貞に及んだような文書を送りつけてきた。
会社は、久木に子会社の出版会社に移動するよう命じる。事実上の左遷だった。
久木は退職を申し出る。
この事実を知った凛子は家を飛び出す。母に知られて、親子の縁を切るといわれてしまった。
すべてを失ってしまった二人。しかし、それは、二人だけで旅立てることを意味していた。
久木は昔担当していた作家に作品に出てくる愛人同士が二人同時に死ねる方法を教えてもらったと凛子に話す。
凛子は二人一緒なら怖くないといった。
二人は人里離れた雪山に出かける。

二人の最後の晩餐は、凛子の得意料理の鴨とクレソンのお鍋だった。
二人は、それをゆっくりと味わった。
そして、二人は固く重なり合った。
久木は凛子の口に永遠に二人だけになれる薬を流し込んだ。

二人の死体検案調書には、こう書かれていた。
「発見時、両者は全裸のまま、ともに強く抱擁し、局所にまで結合したまま、
死後硬直の最も強い時間帯であるため容易に離し得ずかかる状態は極めて稀である。」
故森田芳光監督に岡田東映会長が注文

森田芳光監督 画像左
原作者、故渡辺淳一氏も失楽園主演の二人と

映画『失楽園』テーマ
DVDと原作本が販売されています。
これは、小説で映画でしかないファンタジーであると思う。
家庭を持つものがたくさんのしがらみを全部捨て、二人だけの世界に昇華していく。
しかも、二人の意思の合意のもとにというのは、現実社会では考えられない。
不倫、不倫と大騒ぎしている世間に生きる我々は、絶対に踏み込めない世界。
だからこそ、羨望の眼差しでスクリーンにくぎ付けになるのだろう。