一条ゆかり先生
高校1年生の時、単行本デビューし、その後1968年、高校3年生の時にりぼんで再デビューをしています。
「有閑倶楽部」はロングヒット作品。ほかにも「こいきな奴ら」「プライド」「デザイナー」「砂の城」など、多くの名作をりぼん、ぶ~け、コーラスといった、主に集英社の雑誌で発表されています。コメディからシリアスまで幅広い作品を描き、どの作品もドラマが素晴らしく、多くのファンがいる少女漫画界の重鎮です。
りぼんの柱スペースでは、編集者が漫画家をニックネームで呼んでいましたが、一条先生のニックネームは「ゆかり姫」でした。ぴったりの呼び方です。
「砂の城」のドラマを追う
「砂の城」はコミックスで全7巻ですが、実に濃密な作品です。
順を追ってあらすじを紹介します。
ナタリーとフランシス(一代目)編

ナタリー(幼少期)
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フランシス一代目(幼少期)
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1944年・パリ、ナタリーは裕福なローム家に生まれます。そしてこの日、4歳のフランシスはローム家の前に捨てられました。
ローム家に引き取られたフランシスは、ナタリーと兄妹のように育ちますが、成長するにつれ愛し合うようになります。
ナタリーが11歳の時、フランシスは勉強のため、家を離れることに。
泣きながら別れを悲しむナタリーに、フランシスは3年経ったら戻ることを約束します。
3年後・ナタリー15歳
成長し、再会した二人は、結婚を誓いまいます。
そんな時、ナタリーの両親が飛行機の墜落で亡くなります。
叔母はフランシスを財産狙いと疑い、二人の結婚に反対、追い詰められた二人は崖から飛び降ります。
奇跡的に助かったナタリーですが、フランシスは行方不明に・・・
いつもフランシスを面影を探しながら月日は流れます。
数年後、ついにフランシスに再会!・・・ところが、フランシスは記憶をなくしており、妻と5歳になる息子がいました。

記憶をなくしたフランシス一代目
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ショックを受けるナタリーですが、やがてフランシスは記憶を取り戻します。
ナタリーを思い出したフランシスに、不安が募る妻。
思い出した以上、惹かれあう二人ですが、フランシスは交通事故で死亡。
妻は後を追うため海に身を投げ、フランシスとともに亡くなります。
それを見たナタリーは・・・

フランシス一代目と妻の遺体
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「あなたはそうやって最後までフランシスの側にいるつもりなの
フランシスはあなたの夫として死んだのよ!!
それ以上なにを望むの
わたしのフランシスなのに
フランシスを返して」
ナタリーの慟哭です。
そして残されたのは、フランシスの息子(5歳)

ナタリーはフランシスの息子をフランシスと名づけ、引き取ることにします。
フランシス二代目の誕生の瞬間です。
ナタリーとフランシス(二代目)編
フランシス二代目を育てながら、時々フランシス一代目に思いを馳せる日々を過ごすナタリーは童話作家になりました。
フランシス二代目は成長するにつれ、16歳も年上のナタリーに対して、特別な思いを抱きます。
11歳になったフランシス二代目は、絵の勉強をするため、学校の寮に入ることに。
ナタリーは離れることを嫌がりますが、周囲の説得もあり、ふたりは時々会う、遠距離恋愛のような関係になります。
ナタリーも仕事でアメリカに行くことになり、自立しようとします。
成長したフランシス二代目とナタリー
ナタリーもフランシスも離れている間、言い寄られることもあります。
ナタリーはジェフやロバートから求愛され、フランシスはミルフィーという美少女から好かれてしまいます。
しかし、どうしてもお互い愛し合っていることを否定しきれないふたりは、ついに・・・

ついに結ばれたふたり
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さらにナタリーはフランシスの子供を身ごもります。
喜ぶナタリー。フランシスとの幸せな毎日が続くのかと思っていたところ、フランシスはミルフィーと旅行へ行ってしまいます。
フランシスは、ミルフィーからの最後のお願いということで、つきあっただけなのですが、ナタリーは不安にかられ、階段から落ちてしまい、流産します。

流産したナタリーは・・・
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友人・エレーヌの赤ちゃんの産声を、自分の子供と思い込み、存在しない娘をその後フランシスと育てます。
正気を失ったナタリーと、生活を送るフランシス。
ある日雨の中、フランシスを探し彷徨っていたナタリーは高熱にうなされます。そんな時、ふいに正気を取り戻したナタリーを見て、フランシスは神に感謝します。
そして・・・

ナタリーとフランシスの最後の夜
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それから、数年後、ナタリーを思い出し、涙するフランシス。
そばにはエレーヌの娘が・・・
いろいろな想像ができる終わり方です。
このように、ざっくりとあらすじを書いただけでも、ものすごいストーリーだとわかります。
昼ドラにもなりました

ドラマ「砂の城」
さいごに
「砂の城」は昼ドラになるほど、大人向けの作品ですが、当時はりぼんで連載されていました。
「砂の城」のような、奥深い荘厳なドラマを小学生でも読めていたなんて・・・そう思うと、私たち大人は漫画文化においては、かなり恵まれた時代に生まれたのだと感じます。
もう一度、「砂の城」を読んで、酔いしれてみてはいかがでしょうか。
はじめの方をちょっと読めばすぐ、引き込まれてしまうと断言します。それどころか、読み終わってもまたすぐ読みたいという衝動に駆られかねません。
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