日本漫画界広しといえども美人を描かせたら三本の指に入る!と断言したいのが小島功。漫画界一の流麗な線描と評された画風はとにかく魅力的でとにかく上手い!
因みに私が推薦する残りの2人は、モンキー・パンチと谷岡ヤスジです。これ、異論ありますよね、きっと。特に3人目がね。まぁ、これは私の個人的な好みです。
それはともかく、小島功は上手い。これは間違いない。上手すぎるといってもいいでしょう。小島功が描くエロティックなマンガは魅力的すぎです。
小島功の名を知らなくとも、彼が描くセクシーな女性は広告にもよく使われていましたので、ご記憶の方も多いのではないかと思います。
どうです?見たことあるでしょう?魅力的でしょう?
が、残念なことに小島功の肝心の漫画作品を見る機会がない。短編のギャグマンガばかりだからでしょうか、多くの作品を手掛けているにもかかわらず余り単行本化されていないんですよね。
作品が知られている割には、目にする機会が極端に少ない漫画家であります。
もったいない!ということで、ご紹介させて頂きます。
仙人部落
最初にご紹介するのは、週刊アサヒ芸能に1956年10月から掲載が開始された「仙人部落」です。
1956年掲載と言われると「古い」と感じる方も多いかと思いますが、連載が終了したのは2014年7月です。文字通りの長期連載。しかも当初は小島功の体調が思わしくないという事で、打ち切りではなく休載という扱いだったのです。
再開を期待していたファンは多かったと思いますが、残念なことに、それから8か月半後の2015年4月14日に小島功は87歳で逝去。連載終了となってしまったのです。
連載期間は実に57年11か月。連載回数は2861回。これは日本漫画史上、最長記録となっています。
スゴイですねぇ。永久に破られることはなさそうな記録ですよねぇ。

仙人部落
「仙人部落」は仙人の先生と弟子と美女によるエロチックコメディで、1ページ8コマの短編漫画です。
その人気は高く1963年にはフジテレビ系列でアニメ化(全23話)されたほどです。
それにしてもギャグマンガとはいえ、大人の漫画ですからねぇ、ファンであっても、よくアニメ化したもんだと思いますよ。
あひるヶ丘77
これまた連載期間が長い作品「あひるヶ丘77」です。週刊サンケイ に1961年から1987年まで連載されていました。
1ページ7コマ、後には2ページ13コマで出来ている漫画です。
内容としては夫婦と一人の子供という平凡なサラリーマン一家の日常を描いた、まぁ、適度にお色気も盛り込んだホームコメディです。
お色気抑え気味の分かえってエロイ感じがして大好きな作品です。
大好きなのは私だけではなかったようで、1963年にはラジオドラマ化、1968年にはテレビドラマ化されています。
テレビドラマには大原麗子が出ているのがポイントです。また、一人息子役は若き日の真田広之。なんですが、現在では見ることが出来ないようで、とても残念です。

あひるヶ丘77
ウチのヨメはん
週刊現代に1967年から1985年まで連載された「うちのヨメはん」もまたステキな作品です。
1ページ7コマで構成されています。
因みにこの年は他に「コミック忠臣蔵」「日本のかあちゃん」「やとわれ夫人」の連載も始まっていますし、先の「仙人部落」「あひるヶ丘77」の他にも「女中さん美人ネ」「俺たちゃライバルだ!」も絶賛連載中というスゴイことになっています。

ウチのヨメはん
オシャカ坊主列伝
1967年から1973年まで週刊漫画アクションに連載された「オシャカ坊主列伝」。各話4ページでできています。小島功にしては長編です。
物語の時代背景としてはざっくりと江戸時代。お坊さんと美女が繰り広げるお色気たっぷりの時代劇ラブコメディです。
「オシャカ坊主列伝」は、双葉社からのアクションコミックで全8巻発刊されています。1話4ページという構成が良かったのか、小島功としては最も多くまとめて読むことが出来る作品です。
「仙人部落」にしても「あひるヶ丘77」にしても、他にも長期連載された作品は多数あるのですが、全話読むことができないものばかりです。
その点「オシャカ坊主列伝」は貴重なのですが、残念ながら現在では入手困難となっています。

オシャカ坊主列伝
クレオパトラ
小島功は漫画以外にも多くのCMや雑誌の表紙、挿絵などもてがけてきましたが、他に注目すべきはキャラクターデザイン。
中でも1970年に公開されたアニメ映画「クレオパトラ」のキャラクターデザインは流石の一言!

クレオパトラ
「クレオパトラ」は虫プロ制作です。虫プロですから手塚治虫がキャラクターデザインをやっても良かったと思うのですが、ここはあえて小島功を起用したところが素晴らしい。虫プロの懐の深さを感じます。
因みに由紀さおりが歌った「クレオパトラ」の主題歌は、 作曲が富田勲、作詞を中山千夏が担当しています。
ヒゲとボイン
小島功の作品でもっとも知られているのはビッグコミックオリジナル誌に1974年から2011年まで掲載されていた「ヒゲとボイン」かもしれないですね。
3ページ19コマの2色が基本です。
「ヒゲとボイン」とは、なんとも魅力的なタイトルですよね。当初「ヒゲ」とは主人公のヒゲの男、「ボイン」とはその妻の事だったと思うのですが、徐々に妻の登場は減り、ヒゲの男も脇役的な存在に。
それでも男と女のエロチック・ラブコメディは続き、「ヒゲ」は男、「ボイン」は女の総称として多くの読者の共感を得ました。

ヒゲとボイン
「ヒゲとボイン」も短編作品だからでしょうか、人気があったにも関わらず長年単行本化されませんでした。やっとのこと、エンターブレインより初めて単行本化されたのが2004年3月のこと。
結果として2011年に連載が終了するのですが、これもまた打ち切りではなく休載でした。小島功の体調さえよければ、もっと連載は続いていたのでしょう。
小島功の作品はどれもこれもなぜ長期間にわたって掲載され続けたのか?それは男と女の物語には普遍性があるという事ではないかと思います。そして嫌味がなく上品。更には読者はみんなエロが好き!
うまく世相を反映したエロチック・ラブコメディは飽きないんですよね。
「ヒゲとボイン Forever」は、KADOKAWAビームコミックスより 2015年に発刊されました。内容は先の単行本を底本としたリマスター版です。

ヒゲとボイン Forever
「ヒゲとボイン」「ヒゲとボイン Forever」共に例によって入手困難なのですが、現在e bookとかピッコマといった電子書籍で読むことが出来ます。いい時代になりました。
しかしなぁ、いい時代なんですが、やっぱり紙媒体で読みたいよなぁ。と思うのは昭和の男の悲しい性でしょうか。。。
それでは最後に小島功といえば一般的にはこのマスコットキャラクターではないか!?ということで、1974年から長く放送された日本酒メーカー・黄桜のCMで締めたいと思います!
小島功よ永遠なれぇ!