世代ごとに変化する「変体少女文字」とは?

世代ごとに変化する「変体少女文字」とは?

社会的にも問題になった変体少女文字。まんが文字やギャル文字、丸文字と様々ですが、多くの若い女性が書いたであろう文字を調べてみました。


変体少女文字とは

1970年代から1980年代の女子学生の間で広く用いられたのが、変体少女文字です。特徴は、文字の角を丸くして書きます。丸文字(まるもじ)やルンルン文字、ネコ字、まんが字、ブリッ子文字とも呼ばれています。

アイドルの酒井法子さんも変体少女文字を使っていましたね。のりピー文字と呼ばれることもありました。そのほかにもおニャン子のメンバーなど若い女性が書く文字として認識されていました。

現在は、書体として捉えられ、丸文字調の手書き文字フォントなども出ており、生活の中に溶け込んだ書体となっています。

ジャーナリスト山根一眞の調査

変体少女文字について、獨協大学経済学部特任教授であり、ノンフィクション作家でもあるジャーナリストの山根一眞が調査し、1986年に「変体少女文字の研究 文字の向うに少女が見える」を著しています。

それによると1974年までには変体少女文字(丸文字)は誕生していて、1978年に急増したと書かれています。なぜ急増したかと言うと70年代前半に創刊された若い世代向けのファッション誌「an・an」や「non-no」の中で使われていたフォント「ナール」が、文字の先端が丸くふっくらとした丸い字体だったからではないかとされています。

この「ナール」は、1970年にデザイナーの中村征宏が発表した書体で、広告や雑誌、新聞などの見出しなどに使うディスプレイ書体として多く使用され、ポスターや広告のキャッチフレーズ、テレビの字幕、道路標識などに幅広く使われました。

ナールを使用していた阪急電鉄旧型駅名標

ナール - Wikipedia

学研のマル字五十音コンテスト

1986年に学研は「文字文化への愛着を広げよう」という趣旨で「マル字五十音コンテスト」なるものを開催しています。なんと1位は賞金は10万円。応募期間の2か月間に2500点を超える作品が全国から集まりました。

1位は高校3年生の女性の作品で、新書体「イクール」として学研から発売されました。書体名は入賞者の名前から取られたそうです。2位と3位の作品もコンクールの翌年に「エツール」「ヨシール」として発売されています。

また「イクール」と同時期に、おニャン子クラブのメンバーだった永田ルリ子による手書き文字も「ルリール」として写研から発売されています。

学研は翌1987年に「第2回マル字五十音コンテスト」を開催しています。応募者数は2253人。この時の1位は19歳の女性で、「ノリール」として書体化されています。

丸文字公用化問題

変体少女文字が流行したことで新聞に「”丸文字はやめて”」「”公用文字ではない”」といった記事が掲載されました。

これは、小学校の教師の書く文字が丸文字だったことで、それを子どもが真似ることを危惧した内容でだったのですが、読者からの大きな反響がありました。この反響により再度「丸文字」について掲載されましたが、そこでは「角張った文字の癖が問題とされず、なぜ丸文字だけが問題視されるのか」などの反論も合わせて掲載されたのでした。

それほど、影響力のある文字と化した変体少女文字。なんと1991年発売の「広辞苑」第4版に語「丸文字」が新しく追加されました。

長体ヘタウマ文字???

広辞苑に「丸文字」が追加され、丸文字の認知度が上がったところに新たな文字が出現。パルコ出版「アクロス」1993年7月号に「長体ヘタウマ文字」という記事が掲載されました。これは女性投稿誌のはがきや街頭インタビューをもとにした調査で、丸文字が姿を消しつつあり、「トメのしっかりしたカクカクした文字」である「長体ヘタウマ文字」が増加しているとリポートされていたのです。

この現象は、新人類世代と言われた1960年生まれを中心とした80年代のぶりっ子文化が終わり、90年代の自然・日常を重視する1970年代後半生まれ以降の「脱・女の子」的な文化が主流になったのが原因ではないかとされているそうです。

おしまいに

文字の変化は、むかしからあることで、変体少女文字が特別ではないのです。古典仮名文字を見ればわかります。かな文字は少しずつ変化し、時代の流行り文字として書かれました。女性は生きる時代背景を文字として残していく生き物なのかもしれません。

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