90年代に描かれた「同性愛」を扱った作品

多様性を尊重する今、心と性別が一致しない性的少数者の総称のことを、LGBTと呼ばれています。女性同性愛者、男性同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーの頭文字をとって名付けられたとのことです。
かつては差別的な風潮もありましたが、今でこそLGBTの理解は深まりつつあります。そして近年では、特にBLを題材としたドラマが数多く制作され認知も広まっている現状です。
ここまでLGBTの認知が広まったのも、ドラマや映画といったメディアの影響も大きいのではないでしょうか。
今回は90年代に、男と男の恋愛、いわゆる同性愛を扱ったドラマや映画を紹介したいと思います。
当時は異色であったラブストーリーも、大人になった今は違った視点で見ることができるかもしれません。
同窓会

1993年に放送された「同窓会」は、高校時代の同級生たち男女が再会し、そこから始まる人間模様が描かれています。
男性同性愛を主なテーマとし、ベッドシーンなどの大胆な演出が繰り広げられ、当時にとって珍しいストーリーでした。
衝撃を与えたドラマの1つであり、同性愛者からも高い支持を得たようです。
斉藤由貴さん、西村和彦さん、TOKIOのメンバーなどが出演しています。
あすなろ白書

1993年に放送された「あすなろ白書」は、平成の月9にLGBTを加え、人を愛することで大人へと成長していく姿を描いたドラマです。
出演者は、石田ひかりさん、筒井道隆さん、木村拓哉さん、鈴木杏樹さん、西島秀俊さんといった錚々たるメンバー。
かつての同性愛ドラマは、悲劇で終わることが多く、同性愛者は苦悩する演出が多かったように思います。
そしてこのドラマで、男を好きな男の役を演じた西島秀俊さん。
当時は切ない恋をしましたが、時を経て「きのう何食べた」では、ほんわか同性愛を演じることになりました。

あすなろ白書を知っている方にとっては、「きのう何食べた」での“あすなろ抱き”に感動したのではないでしょうか。
ロマンス

1999年に放送された「ロマンス」は、つかこうへいさんの舞台「いつも心に太陽を」を基にした同性愛ドラマです。
1人の男を、女と男が奪い合う異色の三角関係。
男女の恋愛と同性愛を加えた、異色のラブストーリーに当時は話題になりました。
水泳の世界を舞台に、同性愛を交え、本当の愛とは何かをテーマに描かれています。
出演者は、宮沢りえさんや池内博之さん、
吉田智則さん、加藤晴彦さん、雛形あきこさんといった豪華な役者さんたちです。
人間・失格-たとえばぼくが死んだら-

1994年に放送された「人間・失格-たとえばぼくが死んだら-」です。
男性教師が少年に、少年が少年に恋愛感情を持つといった同性愛が含まれていて、虐めや、虐待、自殺や復讐などが描かれています。
特に前半は虐めによるショッキングな演出に、かなりの衝撃を受ける内容です。
そんな過激な内容に、視聴者からの批判も多かったようですが、今でも語り継がれる話題作の1つ。

堂本剛さん、堂本光一さんが出演されていて、KinKi Kidsの知名度がさらに上がったドラマでもあります。
らせんの素描

1991年に公開された「らせんの素描」は、男性同性愛カップルを描いたドキュメンタリー映画です。
同性愛者の、恋愛や人生に悩む姿が映し出されており、気持ちは理解はできなくとも共感はできるかもしれません。
人を想う気持ちは、誰しも平等にあるのだと思わせてくれます。
「同性愛者の側から見た社会」をテーマに、映像作家の小島康史が、3年かけて製作した作品とのこと。
きらきらひかる

男性同性愛を描いた「きらきらひかる」は、1992年に公開されました。
主な出演者は、薬師丸ひろ子さん、豊川悦司さん、筒井道隆さんです。
ベストセラー小説が原作となっているとのことで、同性愛者の夫とアルコール中毒の妻、そして男性である夫の恋人、そんな奇妙な三角関係を描いています。
同性愛者の偽装結婚、同性愛者の尽きない悩みなど、まだまだ理解されにくい時代にかなり攻め込んだ内容となっています。
出演者の3人がとても美しく、男性同士の恋愛も爽やかに映し出されていて、なんとも言えない不思議な気持ちにさせてくれます。
悩みながら葛藤しながら、人を愛し生きていくことを教えてくれる作品です。