雨に唄えば

1952年公開の『雨に唄えば』(原題:Singin' in the Rain)は、ミュージカル映画の傑作として知られ、サイレント映画からトーキー映画に移り変わる時代を背景に、そこで活躍するスターたちの舞台裏をコミカルに描いたハリウッドを代表する名作の1つです。
特にジーン・ケリー演じるドンが雨の中を、歌いながらタップダンスを踊るシーンは、映画史に残る伝説として、今もなお語り継がれていますよね。
シェルブールの雨傘

1964年のフランス映画『シェルブールの雨傘』(英題:The Umbrellas of Cherbourg)は、大女優カトリーヌ・ドヌーヴの出世作として知られ、全編にわたり台詞を歌で表現するという、斬新で画期的な手法を使い、これまでになかったミュージカル映画の革命として高い評価を受けています。戦争によって引き裂かれてしまった2人の切ない愛の物語。主題歌も世界中で大ヒットしました。
オズの魔法使

『オズの魔法使』(The Wizard of Oz)(1939年)は、ライマン・フランク・ボームが1900年に発表した児童文学小説『オズの魔法使い』を原作に、1940~50年代のハリウッドを代表する大女優ジュディ・ガーランドが子役時代に主演し大ヒットを記録したファンタジー・ミュージカル映画の傑作です。また一部で当時としては珍しかったカラーフィルムを用いるなど、映像演出の視点からも高く評価されました。
メリー・ポピンズ

1964年公開の『メリー・ポピンズ』(原題: Mary Poppins)は、ウォルト・ディズニーが製作を務め、それまで舞台やテレビなどで活躍していたジュリー・アンドリュースの長編映画デビュー作としても知られる往年の名作です。
美人で賢く魔法も使える乳母メリー・ポピンズが、ロンドンに住むバンクス家を訪れ、歌と魔法を通して家族の絆を深めていく物語。同作は世界中で大ヒットを記録し、アカデミー賞では13部門にノミネートされ、5部門を受賞しました(アンドリュースは主演女優賞受賞)。2018年には54年ぶりとなる続編『メリー・ポピンズ リターンズ』がエミリー・ブラント主演で公開されましたよね。
サウンド・オブ・ミュージック

1965年に公開された『サウンド・オブ・ミュージック』(英:The Sound of Music)は、1959年に初演し大成功を収めたブロードウェイ・ミュージカルを映画化した作品。また『メリー・ポピンズ』に続き主演を務めたジュリー・アンドリュースの代表作としても知られ、今でも映画史に燦然と輝く伝説のミュージカル映画です。
修道女見習いのおてんば娘マリアは、修道院長に勧められ、妻を亡くした退役軍人ゲオルク・フォン・トラップ大佐の7人の子供たちの家庭教師をすることに。そして彼女が来たことにより、頑固な大佐とヤンチャな子供たちは音楽を通して家族の絆を深めていくのです。
『サウンド・オブ・ミュージック』は世界中で大ヒットし、『風と共に去りぬ』(1940年)が持っていた歴代興行収入世界記録を更新!(現在は第3位)。そして本作の空前の大ヒットにより当時倒産の危機にあった20世紀フォックスは財政を立て直したと言われています。
マイ・フェア・レディ

1964年に公開された『マイ・フェア・レディ』(My Fair Lady))は、往年の名女優オードリー・ヘプバーンの代表作の一つとして知られるミュージカル映画の傑作です。本作は初演でジュリー・アンドリュースがヒロインを務め、6年にも及ぶロングラン公演となった大ヒット・ブロードウェイ・ミュージカルの映画化。言語学者ヒギンズ教授と、下町生まれで訛りもきつい花売り娘イライザが、ひょんなことから出会い、教授のレッスンによってイライザがみるみるうちに美しく成長していく様を描いた物語です。
グリース

1978年公開の『グリース』(Grease)は、71年にシカゴで初演を迎えた同名ミュージカルの映画化で、学園ミュージカル映画の決定版です。主演はすでに『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977年)の世界的な成功により人気俳優となっていたジョン・トラボルタ。またサウンドトラック・アルバムも大ヒットを記録し、第51回アカデミー賞では本作のヒロイン、オリビア・ニュートン=ジョン演じるサンディが歌った「愛すれど悲し」が歌曲賞にノミネートされるなど高い評価を受けました。
シカゴ

2002年に公開された『シカゴ』(Chicago)は、1975年に初演され伝説的な振付師ボブ・フォッシーによってトニー賞も受賞している大人気ブロードウェイ・ミュージカルを映像化した作品です。日本では米倉涼子さんがブロードウェーで主演を務めたことでも大きな話題となりましたよね。映画版のメインキャストは、レニー・ゼルウィガー、リチャード・ギア、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ。
1920年代のシカゴを舞台に、主人公の波乱に満ちた人生と、それでもスターダムへと上り詰めていく様を描いた秀作です。また当時のアメリカはミュージカル映画冬の時代。しかし『シカゴ』は見事そのジンクスを覆し、第75回アカデミー賞で6部門を受賞しました。
あとがき
再び多くのミュージカル映画が製作されるようになり、すっかり活気を取り戻している近年。『オペラ座の怪人』をはじめ『レント』『ヘアスプレー』『レ・ミゼラブル』『グレイテスト・ショーマン』『ラ・ラ・ランド』など新たな名作が次々と誕生しています。皆さんも我慢の多いこの時代だからこそ、ぜひミュージック映画で心躍らせてみてはいかがでしょうか。