数々の名作が生まれた「月9」枠。今と昔ではどう違う?

数々の名作が生まれた「月9」枠。今と昔ではどう違う?

1980年代から放送されてきたフジテレビ21時の「月9」枠。トレンディドラマからはじまり、ラブストーリーを中心に様々なドラマが放送されてきましたね。時代とともに変化している月9ドラマの移り変わりをまとめてみました。


草創記

フジテレビの月曜21時は元々、ドラマを放送したり、海外ドラマを放送したり、音楽番組を放送したりしていました。

1980年からはバラエティ番組枠となり、萩本欽一さん出演の「欽ちゃんの9時テレビ」から続く「欽ドン!」シリーズが放送されていました。大変人気の番組だったのですが1985年に萩本さんが休養、そして復帰したころ次第に人気が落ちて行って1987年3月で「欽ドン!」シリーズは終了しました。

当時のフジテレビは、バラエティ番組に強い反面ドラマには弱かったです。「平岩弓枝ドラマシリーズ」、「北の国からシリーズ」など比較的高年齢の方に人気のドラマはあったのですが若者向けのドラマを作りたい、ということでこの枠でドラマを放送することになったのです。

20代の若手社員が企画をして外注、次第に自社制作のドラマを生み出していきました。

最初に放送されたのは岸本加世子さん主演の「アナウンサーぷっつん物語」。こちらはフジテレビを舞台にした物語。このドラマがヒットし1つの業界にスポットを当てた「業界ドラマシリーズ」が次々と放送されていきます。

当時、まだ演技経験の少なかった田原俊彦さんを主役に抜擢した「アナウンサーびんびん物語」がヒットし、学園ものの「教師びんびん物語」へと続いていきます。

トレンディドラマ全盛期

業界ドラマがヒットしていた頃、他局では「男女7人夏物語」などグループ交際を取り扱ったラブコメディがヒットしていました。これに目を付けたプロデューサーの山田良明さんと大多亮さんが、いわゆる「F1層(34歳までの女性)」にターゲットを絞った集団恋愛をテーマにしたドラマが制作されていきます。

その第一作が「君の瞳をタイホする!」。キャストは陣内孝則さん、柳葉敏郎さん、三上博史さん、浅野ゆう子さん、三田寛子さん、工藤静香さん。キャストのほとんどが刑事役でありながら、刑事として仕事をしているシーンはほとんどなく、コンパやナンパのシーンが多かったです。そしてキャストはブランド服に身を包み、おしゃれなお店が登場。これがトレンディドラマの元祖となったのです。男女3:3で恋愛が展開するのもまさにトレンディドラマ!という感じですよね。

また、この作品以降、月9ドラマはワンクール(3カ月)で放送されるようになりました。

この後「君の瞳に恋してる!」、「同・級・生」、「世界で一番君が好き!」、「キモチいい恋したい!」などのトレンディドラマが次々と放送されるようになります。

どれもおしゃれで軽めの恋愛を描いた作品なのでタイトルと内容、キャストが一致せずごちゃごちゃになってしまいます。時代を感じますよね。

黄金期

一世を風靡したトレンディドラマですが、ブームは長くは続きませんでした。だんだんと視聴率が低下してきたため、今度は集団恋愛ではなく、1対1の重めの恋愛ドラマへシフトチェンジしていきます。

その第一作となったのが1990年の「すてきな片想い」。主演は中山美穂さんと柳葉敏郎さん、脚本は野島伸司さんでした。冴えないOLと元一流商社マンの恋愛を描いたドラマで「切ない恋」がテーマでした。

その後、1991年の「東京ラブストーリー」、「101回目のプロポーズ」と合わせて「純愛3部作」と呼ばれています。(個人的には「東京ラブストーリー」は純愛なのか?という気がしますが・・・)

今までのトレンディドラマとは違い、男女2人をじっくり描いた作品に変わっていきます。他には「素顔のままで」、「あすなろ白書」、「ロングバケーション」などの恋愛ドラマがヒットしましたね。

他にも、数分見なかっただけで展開が分からなくなるという「ジェットコースタードラマ」として有名になった「あなただけ見えない」や「あの日に帰りたい」、「この世の果て」などのシリアスなドラマもありました。

恋愛ドラマが多かったですがホームドラマ「ひとつ屋根の下」も大ヒットし、「2」も制作されましたね。

大ヒット作を連発し、この頃に「月9」の地位を確実なものとしていきました。「月曜9時にはOLが街からいなくなる」なんて言われていたこともありましたね。

低迷期~改革期

様々なヒット作を生み出した月9ですが、2002年あたりから視聴率に苦戦していきます。作品はラブストーリーだけでなく、業界ものも増えていました。

この低迷期の中でもヒットした作品は「HERO」、「ガリレオ」、「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」などです。どれも恋愛メインの作品ではないですね。これらは続編も制作されています。逆にいうと人気シリーズ頼みになっていて人気シリーズは高視聴率を取っている一方、視聴率一桁を記録する状態になってきました。もちろん、全体的にTVの視聴率が下がってきてはいるのですが、「月9のドラマはチェックしておこう」という時代は終わったという感じですね。

王道の恋愛ドラマに戻ってみるも視聴率は10%に満たない状況でした。

そんな低迷期を脱出すべく、組織や人員の配置変えを行います。確かに、若者向けに作った枠ですがスタッフが年を取ってしまっては感覚がずれてしまいますもんね。

その第一弾として放送された「コンフィデンスマンJP」は平均視聴率こそ振るわなかったものの、その後スペシャルドラマ、映画が製作され大ヒットする作品となりました。

他にも他の時間帯で放送していたドラマを月9に移したり、「脱ラブストーリー路線」としてミステリーや刑事・医療ドラマを中心に放送。視聴率も平均二桁をキープするようになり、回復の兆しが出てきました。

もしかしたら、若者はこの時間ドラマを見ることは少なく、以前月9を楽しみにしていた世代が戻ってきているのかもしれませんね。

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