「珍遊記」の連載打ち切り後に発表された!『まんゆうき〜ばばあとあわれなげぼくたち〜』とは?

「珍遊記」の連載打ち切り後に発表された!『まんゆうき〜ばばあとあわれなげぼくたち〜』とは?

週刊少年ジャンプを代表する漫画「珍遊記」を連載していた漫☆画太郎が、1994年に発表した「まんゆうき」について特集してみたいと思います。


「珍遊記」の連載終了後に発表された!『まんゆうき〜ばばあとあわれなげぼくたち〜』

90年代における週刊少年ジャンプを代表する漫画「珍遊記」を連載していた漫☆画太郎が、同作に続く商業誌連載作品として、1994年に『まんゆうき〜ばばあとあわれなげぼくたち〜』という漫画を発表したのを皆さん覚えていますでしょうか?この記事では、「珍遊記」の陰に隠れることも多い「まんゆうき」にスポットを当ててみたいと思います。

連載開始時のジャンプの表紙!

「まんゆうき」話のあらすじは?

物語の舞台は、古代中国の片田舎のような農村地帯。そこに「くいもんにありつく」ために、クソザル、クソデブ、クソハゲ、クソボーズという4匹の妖怪が訪れ、村人たちを襲い始めるところからストーリーは始まります。村人たちは妖怪に抵抗したのですが、「ハゲフラッシュ」「モンキーマジック」といった奇怪な術によりあえなく撃沈。まるで歯が立たなかったため、村の長老は嘘くせー伝説の仙人「萬々様(まんまん様)」を呼び出すことを思いつき、萬々様が住むというポ●チンの形をした「萬々山」に使者を送りました。

幾多の苦難を乗り越え、使者が萬々様の住む家に到着すると、その入り口には一人の少女がいました。この娘は「娘々(にゃんにゃん)」といい、部屋で寝ている萬々様を起こそうとしたのですが一向に起きる気配がありません。その結果、業を煮やした使者に「ぶべらっ!」と殴られつつ、萬々様の代わりに娘々が村へと向かうこととなりました。

無事に村に到着した娘々。足の裏に貼ることで速く走ることの出来る「お札」しか特に術を持っていなかったものの、妖怪に小便をかけられたり、妖怪同士が共食いするといった、よくわからない展開が進むうちに4匹が勝手に死亡したため、一件落着となりました。

妖怪を退治して一件落着となった後も、「会社をクビになってムシャクシャしていた男(現代で言うところのニートでしょうか?)」をその母親とともにすまきにしてぶん殴ったり、ババアが「キツネが化けたジジイと本物のジジイ」を鑑定するために萬々様のもとに行くと、本物の方が萬々様に食べられてしまったりとストーリーは進んでいき、最後には脱サラ親父・ゴッドベイダーが首領を務める「悪の秘密結社」と戦うなど、世界観が無駄に壮大になっていきます。

珍遊記をぼちぼち踏襲したキャラクター!!

娘々(にゃんにゃん)

「まんゆうき」に登場するキャラクターですが、特筆すべきは主人公である「娘々(にゃんにゃん)」の存在です。珍遊記の画風とは一線を画した美少女キャラであり、「アシスタントが描いているのでは?」と当時言われていたのを思い出します(実際のところは知りません!)。なお、一応美少女の風貌はしているのですが、殴られて「ぶべらっ!」といった画太郎作品特有のセリフを発したり、頭にタンコブを作って「プスプス」と擬音を発したりと、他のキャラと差別化はされていません。

萬々様(まんまん様)

萬々山の主である「萬々様(まんまん様)」。数十メートルはある巨体のババアであり、かつては妖怪退治を行っていたものの、作中においては「サンタクロースを殺害しトナカイを食べる」「間違ってジジイを食べる」といった、むしろ自分が妖怪であるかのような言動を行っています。

クソボーズ

それ以外のキャラとしては、例えば「クソボーズ」が挙げられます。これはストーリーの初期に登場した妖怪であり、珍遊記の「玄じょう」を妖怪化させたらこのような姿になるかもしれません。その他、村人や老人、ババア、アル中の親父、酒場の親父など、珍遊記にも登場しそうなキャラクターが多数登場しており、前作をまあまあ踏襲したキャラクターデザインを採用したと言えると思います。

人気が急降下。21週で無事打ち切られる!!

相変わらずの画太郎ワールドが繰り広げられた「まんゆうき」ですが、「珍」に対する「まん」という安直なネーミング、独特な画風や強引な展開、コピーの多用といった要素が散見されたためか、案の定人気は芳しいものではなく、掲載順は話数を重ねるごとにどんどん後ろへと追いやられていきました。「週刊少年ジャンプ」1994年第29号から連載が始まった同作ですが、1994年第50号をもって無事打ち切りとなります。わずか21週での出来事でした。

「週刊少年ジャンプ」1994年第33号

第5話の時点では「ドラゴンボール」などに速やかに追い抜かれる程度でしたが…

「週刊少年ジャンプ」1994年第47号

人気連載陣には遠く及ばず、この時点でかなりの危険水域に!

こうして約半年で闇に葬られた「まんゆうき」。以降、漫☆画太郎の作品が週刊少年ジャンプで連載されることは無くなり、月刊少年ジャンプ(地獄甲子園)、週刊ヤングジャンプ(つっぱり桃太郎)、ヤングチャンピオン(ブスの瞳に恋してる)など、他の漫画誌へと追いやられることとなりました。

月刊少年ジャンプで連載された「地獄甲子園」

なお、「まんゆうき」における21週での打ち切り記録ですが、実は後年になって更新されています。それは2017年に発行された「週刊少年ジャンプ」第42号でのことで、画太郎が「珍ピース」という漫画を掲載したところ、わずか3ページで打ち切られるという快挙を成し遂げました。

打ち切りから10年以上…「まんゆうき」のキャラが『珍遊記2』でまさかの復活!!

前述の通り、半年で闇に葬られた「まんゆうき」ですが、2009年に入り新たな動きを見せました。それはビジネスジャンプで連載された「珍遊記2〜夢の印税生活編〜」であり、この作品は「珍遊記」「まんゆうき」それぞれの続編として描かれています。

「珍遊記2」においては、萬々様と娘々が前作に引き続いて登場。作中では、亀をうっかり助けてしまい龍宮城へ連れ去られた娘々を萬々様が捜索し、龍宮城の乙姫や他の妖怪たちを見て、「ここは妖怪の宝石箱か?」と彦摩呂ばりのセリフを放ちながら瞬殺していくなどの活躍を見せていました。なお、「珍遊記2」においても山田太郎の一行は天竺へと向かうのですが、案の定未完のまま打ち切りとなっています。

このように、21世紀に入ってからも動きを見せている「まんゆうき」。2016年には、珍遊記がまさかの実写映画化されるなど大きな動きがありましたので、「まんゆうき」についても何か動きがあるかもわかりません。漫☆画太郎先生の次回作に期待しましょう!

「まんゆうき」を読み返してみたくなった方はこちらで!

第1巻

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第2巻

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