快盗ルビイって、どんな映画?
快盗ルビイは、1988年11月12日に東宝にて公開されたコメディー映画です。第62回キネマ旬報ベスト・テン第10位を獲得しました。
監督・脚本 : 和田誠
原作 : ヘンリー・スレッサー
・主な出演者
加藤留美:小泉今日子
林徹:真田広之
徹の母:水野久美
食料品屋の親父:天本英世
買物帰りの女:高見恭子
銀行の係の女:吉田日出子
マンションの住人・男:岡田真澄
マンションの住人・女:木の実ナナ
アパートの主婦:富士真奈美
白衣の男:名古屋章
留美の恋人:陣内孝則
・主題歌
小泉今日子「快盗ルビイ」(作詞:和田誠、作曲:大瀧詠一、編曲:八木正生)
同名シングルとはアレンジが異なっている。
挿入歌
小泉今日子・真田広之「たとえばフォーエバー」(作詞・作曲:和田誠、編曲:八木正生)
ストーリー
真田広之扮する林徹は、さえないサラリーマン。自由が丘のマンションで母と暮らしています。同じマンションの上階に引っ越してきたのが、小泉今日子扮する加藤留美。留美は普段はスタイリストをしているが、自称『天才犯罪者』だと徹に言い、嫌がる徹を相棒に、詐欺や強盗をしようとします…が、それのどれもがことごとく失敗。
恋人と喧嘩した留美、別れの手紙を書いて送るのですが、後から後悔して、その手紙を取り戻してくるように徹に頼む留美。徹は郵便受けの前に張り込み、手紙を盗む事に成功。喜んだのもつかの間、あっという間に通報されて刑事に連行されてしまうのですが、鑑定医?なのか白衣の男の機転で釈放されます。話を聞いた留美は、徹にキスをし、また新しい犯罪?の計画を練り始める…という内容です。
(個人的)感想
当時アイドル全盛期のキョンキョンの、可愛いところだけ、存分に楽しめるように、という趣旨の映画。でも、すごくカッコよくて、面白いんです。
まず、キョンキョンの衣装が、意味不明に豪華w
スタイリストだからって、自分がこんないつも着飾っていることはないかな、と思うんですけど、いつも可愛い。ヘアスタイルも毎回変わりますし…。
真田広之が、ダサい眼鏡をかけてチェック柄のシャツ着て、ぼさぼさ髪のさえないサラリーマン、徹役なところも、良かったです。パッと見では、彼とわからないくらい、一生懸命ださサラリーマンになりきっています。鍛えていそうな体も、チェックのださシャツがサイズがあってないのか、むちむちして小太りのような印象。牛乳瓶の底みたいな眼鏡に、彼の精悍な顔立ちにフィットせず、ただただ暑苦しくむさくるしい印象。
実現不可能なことを、平気で提案して、けっきょく徹にやらせようとする留美に振り回される徹…急にミュージカルタッチになってみたり、非現実的なんですけど、そこが面白い。そして、豪華キャストなんですが、そのみんなが、いわゆる『名もない』役。
要するに、留美と徹の、二人だけの世界。なんですねー。
ラストのエンディングロールで、牛乳瓶底メガネを外して、かっこよくかけようとするんですけど、メガネを外した顔のカッコよさに、ドキッとときめいた(当時の)女子は多かったに違いない!?いや、普通に、真田広之ですよ、かっこよくないわけないじゃないですか、それが、それまでのダサい役のおかげで?余計にかっこよく見える…という。
おしゃれな小物やセリフたち
この映画の原作は、アメリカの推理小説作家ヘンリーストレッサーが書いた『怪盗ルビイ・マーチンスン』
原作では、ルビイは男で、ルビイに振り回される従兄弟の視点から描かれた内容、ということで、だいぶニュアンスが違いそうなのですが。
ところどころで、セリフの言葉選びが、外国小説の日本語訳版っぽかったり、出てくる小道具がお洒落だったりするところも、この作品のキモだと思います。
そのあたり、監督で脚本の和田誠氏のセンスが光っているところなんでしょう。
 
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例えば、食料品店に強盗するために入った徹が、天本英世が扮する食料品屋の親父に、「何かお探しですか?」と声をかけられ、慌てて、何か買ってごまかそうと、小さな缶詰を選んでレジに持っていくと…
食料品屋の親父「5300円です」
徹「ごせ…」
言葉も出ないほど、驚く徹。だけど、怪しまれないように?自腹で購入してしまう、というシーンがあります。その小さな缶詰は、キャビアの缶詰だったのですが、徹が白いご飯にキャビアをのせて、キャビア丼にして、旨そうに食べるところ、印象的でした。
いつかキャビア丼食べてみたいなーと夢見たものでした。
 
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戦略会議をしながら、徹が飲む缶ビール。バスペールエールの缶ビールでした。何気にオシャレな缶の缶ビールで、ステキだなと思いました。
窓際で話す二人を、窓側から撮っている絵面も、ヒッチコック映画のようで素敵でした。
大胆で堂々とした留美に振り回される徹が言う「心臓が持たないよ…」というセリフも、洋画の日本語吹き替えっぽくないですか?文字としては見るけど、実際に口に出して言う人はあまりいないような…。
監督、脚本の和田誠氏について
快盗ルビイの監督、脚本の作家である和田誠氏は、日本を代表するイラストレーターとして有名な方です。残念なことに2019年10月に83才にてお亡くなりになりましたが、生前はタバコ、ハイライトのパッケージのデザイン、阿川佐和子さんのエッセイ本の表紙絵など、作品を見れば、たいていの日本人は、見たことがあると思う人が多い、大変有名なイラストレーターでした。
この作品では、テーマソングや挿入歌の作詞なども手がけました。
テーマソング「快盗ルビイ」(作詞:和田誠、作曲:大瀧詠一、編曲:八木正生)
伸びやかなサビの部分が印象的なこの曲。大瀧詠一さんの曲だったんですね…。なんか納得。映画版のエンディングはジャズアレンジでゴージャスなバージョンでした。
挿入歌「たとえばフォーエバー」(作詞・作曲:和田誠、編曲:八木正生)
いかにも、ミュージカルらしい二人の掛け合いが小粋なラブソング。作曲も和田氏が手掛けています。
奥様の平野レミさんとは、声を聴いて一目ぼれ?ひと耳ぼれして、いろんなツテをたどって紹介してもらい、出会ってから1週間で結婚したというエピソードは有名です。ちなみに息子の和田唱さんはトライセラトップスのボーカルとして活躍しています。ちなみに、息子嫁?は上野樹里さん…豪華な家族だ。
 
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まとめ
どうでしたか?
快盗ルビイ、あらゆるところに、おしゃれなエッセンスがちりばめられた、大人の絵本のような、軽妙洒脱な映画です。
イラストレーターとして有名な和田誠さんの監督作品の中でも、特に、アイドル映画という事で、『食わず嫌い』をしていた方も多いのでは?
でも、今なお渋い大人の俳優としてイケメンとして活躍している真田広之さんが、こんなさえない、ださサラリーマン役(からにじみ出るカッコよさが、また味があるw)なのも、見ものです。
そして何より、可愛い小悪魔的キャラクターにぴったりはまっているアイドル全盛期のキョンキョンが、まるでフィギュアのようにかわいらしい。お洒落だけど、お洒落過ぎない素敵な映画。かなり有名な方たち(天本英世さん、名古屋章さん、岡田真澄さんなど)が、名もなき役で出演しているところも面白い。
現代版にリメイクしても、きっと流行る事間違いないストーリーではあるのですが、見れば見るほど、1人1人がハマり役で、これに変わるキャスティングは考えられないような作品です。
現代でも、古さを感じさせないオシャレで素敵な映画、ぜひ、ブルーレイで、再度鑑賞することをお勧めいたします。
 
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