『ゾンビ屋れい子』って?
『ゾンビ屋れい子は』1998年から2004年に、ぶんか社の『ホラーM』に連載された少女向けホラーマンガです。ホラーの中でも、死体をゾンビ化して蘇らせることができるのでオカルト色が強く、そして敵も味方も含めてたくさんのキャラクターが血まみれで死ぬことから、スプラッターホラー(映画で言うと、これも懐かしい『13日の金曜日』シリーズなどです)というジャンルに入るものだと思います。
コミックス版は全11巻、文庫版は全7巻となっています。
『ホラーM』
『ホラーM』は、「ホラーミステリー」と読みます。1993年に別誌の増刊号として発行され、後に月刊、さらに隔月刊となりました。2010年には休刊し、以降は『デジタルホラーM』としてweb雑誌になっています。
仕事は「ゾンビ屋」!主人公・姫園れい子
主人公である姫園れい子は女子高生。呪文を唱えることによって悪魔サタンの力を借り、死体をゾンビとして蘇らせる「ゾンビ屋」として働いています。そんな凄い能力がありながら、報酬が極めて安いのは謎だったりします。お金が何よりも大事と言っているわりには、第1話ではたったの20万円でした。
話が進むに連れて、両親や双子の姉、前世の因縁の敵などの設定が盛り込まれていきます。好物はラムレーズンのアイスクリーム。
なぜかゾンビを召喚!?
スタート時は1話完結で「依頼主から報酬を貰って、訳ありの死体を蘇らせる」という話が続くのですが、それもたったの1巻まででした。主人公であるれい子は、1巻の最後で首を切断されて死んでしまうのです。
そして2巻になると突然、展開がまったく変わってしまいます。今までは「死体をゾンビとして蘇らせる能力」だったのに、何もないところから「ゾンビを呼び出す」召喚マンガになってしまうのです。これもマンガを例にして申し訳ないのですが、荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』のスタンド能力のようなものです。
そしてたくさんのゾンビを召喚する能力を持ったキャラクターたちが、もちろん復活したれい子も含めて、召喚したそのゾンビたちを使って熱いバトルを繰り広げるのでした。
キャラクターたちが血まみれで死ぬ、というのはホラーマンガとして変わらないのですが、1巻とはかなりテイストが違って来ています(ただし、ときどき1巻のような1話完結もあります)。
個性豊かなゾンビたち
呼び出されるゾンビたちですが、これもみんな個性的です。本来のターゲットである少女たちは、これを当時どう思って読んでいたのでしょうか? かなり青年向けの、バトルマンガのテイストを持ったキャラクターたちなのです。
ゾンビ名:ロビン・デーヴィス将軍
1455年バラ戦争により戦死。金属の鎧を着た騎士で、剣で戦う。
ゾンビ名:リヒャルト・ハイドリヒ
ナチスドイツ機甲部隊兵。1941年ソ連への侵攻の際、味方の誤射により死亡。マシンガンを撃つ。
ゾンビ名:ジャック・ガンズ
アメリカ西部開拓時代の無法者であり賞金首。列車強盗の際、待ちぶせた保安官に撃ち殺される。なぜか木製の十字架を背負った両手拳銃のガンマン。
ゾンビ名:餓蛇羅(ガダラ)
アマゾン奥地の巨大アナコンダ。死因は餓死ゆえ、すべての行動理由は空腹を満たすことにある。
切り刻む!殴る!百合川姉妹
そんな変わったゾンビたちが召喚されて戦う中で、主人公であるれい子が使うゾンビはさらに強烈になっています。
百合川サキ
白池町で起きた幼女29人連続殺人の犯人。れい子によりその犯行が暴かれ、戦いにやぶれて死亡。以降、れい子が召喚できるゾンビとなる。ナイフを使って敵を切り刻む。片手になった時にはエンジンチェーンソーを振り回し、両腕を失った時は足の指にナイフを挟んで戦っていた。
百合川みどり
百合川サキの妹。神経に異常があり、怪力で運動神経が抜群。やっぱりたくさん人を殺してしまい、その後に死亡。れい子の召喚するゾンビとなって、敵を殴って戦うことに。ちなみに姉とは仲が悪いので、一緒に召喚できないという謎の設定があります。
女王!姫園リルカ
ゾンビたちも強烈なのですが、それを召喚する者たちも、もちろん負けてはいません。たくさんのキャラクターたちが登場し(そして、ほとんどが死んでしまう)のですが、その中でも一番個性が強いのは、れい子の双子の姉であるリルカで間違いないでしょう。
彼女は敵も部下も、容赦なく殺します。れい子と同じく死体をゾンビ化させる能力を持っていて、殺した後も自分のために働かせます。そのゾンビたちを使って地上にゾンビ帝国を作り、女王として世界に君臨するという野望を持っているのでした。
世界征服! やはりマンガの悪役は、これくらいスケールが大きくないと面白くないのではないでしょうか。
学校に行ってないのでQUEENをキュエーンと読み間違えるという可愛い?一面もあります。
冷酷な女軍人!雪女(ゆきめ)
このキャラクターもかなり個性的です。政府直属の生物兵器研究班の女軍人で、女性扱いされるのが大嫌い。冷酷で、自分が助かるためには部下を犠牲にしたりします。女王リルカを捕獲するべくやって来ました。復讐の鬼と化し、リルカと繰り広げる戦いは、この作品の中でもかなり熱い展開のひとつとなっています!
マルチメディア展開も!
そんな『ゾンビ屋れい子』なのですが、世間一般的な認知度はともかくとして、一部のマニアたちには人気があり、マルチメディア展開も行っていました。
実写作品は秋山莉奈主演で『ゾンビ屋れい子』『ゾンビ屋れい子 Vol.2 惨劇の呪文』『ゾンビ屋れい子 Vol.3 狼の血族』の3本です。
他には、ドラマCDも出ていて、限定版には百合川サキのフィギュアが付いていました。
巨乳化するにもほどがある!?
という訳で、いつの間にか血まみれバトルマンガになってしまった『ゾンビ屋れい子』なのですが、しかしただのゾンビの力比べマンガではないのです。相手の弱みをついた心理戦もあれば、先の先を読むような頭脳戦もあります。バトルマンガとして、凄く面白い作品になっているのです。きわめて青年マンガ的な、裏切りもあり復讐もありの、熱い展開があるのです。
そして青年マンガ的な理由を、もうひとつご紹介しましょう。1巻から絵柄がどんどん変わり、女性キャラクターたちが、みるみるグラマラスになっていくのでした。かなりの巨乳化をしてしまうのです。本当に、本来のターゲットである少女たちは、これを当時どう思って読んでいたのでしょうか?
ちなみに百合川姉妹は、最初は死んだ時の姿で召喚されていたのですが、いつの間にか露出度が高いビキニにホットパンツなどになっていました。帽子もなぜかアメリカンポリス?風です。もちろん巨乳化しています。
あと本作は、ギャグ要素も結構あるということも付け加えておきたいです。
ホラー、バトル、エロ、ギャグと様々な要素が混ざり合って、少女向けなのか青年向けなのかさえ良くわからなくなってしまった怪作が『ゾンビ屋れい子』です。
現在は電子版でも読むことができますので、血まみれに耐性がある方は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
規正がまだまだ緩かった約20年も前には、こんな変なスプラッターマンガがあったのでした。