軽妙洒脱なストーリー
インチキ霊媒師のブランチは、恋人のジョージが調べた情報を元に依頼人の過去を伝えて金銭を得ていました。
ある日、ブランチが資産家のジュリア・レインバードを相手にインチキ霊媒を行い、彼女が未婚の妹が生んだ子供を世間体を気にして養子に出したこと、その子供に全財産を譲ろうとしていること、そして「子供を見付け出してくれれば1万ドルの報酬を渡す」つもりであることを告げられました。
調査の結果、子供の名前が「エドワード・シューブリッジ」であることを突き止めましたが、彼は義父母と共に火事で死んでいたことが発覚します。
しかし、ジョージは彼の墓が義父母の墓と比べ新しいと気付き、マロニーという男がエドワードの死亡証明申請を行っていたことを知ります。
ジョージの訪問を受けたマロニーは、街の宝石商アダムソンの元を訪れます。
ブランチは教会のウッド司教がエドワードの過去を知っていることを掴み、ジョージを教会に向かわせますが、ウッドは彼の目前でアダムソンと彼の妻のフランに誘拐されてしまいます。
そしてアダムソンは、二人を危険視してマロニーに始末を依頼します。
果たしてブランチとジョージの運命は…?
なぜ アダムソンは執拗に二人の事を狙うのか…?
監督生活50年を迎える53作目にして最後の作品
アルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock, KBE, 1899年8月13日生)は、イギリスの映画監督、映画プロデューサーです。
イギリス、ロンドンのレイトンストーン生まれです。
「たかが映画じゃないか」「私は俳優を家畜だと言った覚えはない。家畜のように扱うべきだと言ったのだ」など数々の警句を残し、自作の映画に自身がちらりと姿を見せることでも知られています。

1980年1月3日にエリザベス2世よりナイトの称号を授けられたものの、ちょうどその4カ月後に腎不全を起こし、ロサンゼルスで息を引き取りました。
満80歳で、遺体は火葬に付されました。
個性的な面々ばかりが顔を揃える
インチキ霊媒師のブランチ役はアメリカ・イリノイ州エヴァンストン出身のバーバラ・ハリス(バーバラ・デンスムーア・ハリス,1935年7月25日生)が演じました。
その後も多数の映画に出演していましたが、1997年「Grosse Pointe Blank」を最後に銀幕から遠のきます。

2018年8月21日にアリゾナ州スコッツデールで83歳で肺癌のため亡くなりました。
遅咲きの名バイプレーヤー
インチキ霊媒師ブランチの片棒を担いでいたタクシー運転手のジョージ役にはアメリカ・イリノイ州シカゴ出身の俳優、ブルース・ダーン(Bruce Dern, 1936年6月4日生)が演じました。
1982年『栄光の季節』ではベルリン国際映画祭男優賞を受賞し、2013年には『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞しました。

演出家で、映画監督のエリア・カザンはブルースを「決して主役を演じるタイプではないし、これからも決してないだろう。でも、君は演じる役になりきれるから素晴らしい」と評し、「業界の誰ひとりとしてダーンが60歳になるまでその才能に気付くことはないだろう」と言いました。
訳ありな人物を演じさせたら右に出る者なし
アダムソン役はアクの強いマスクと舞台出身の確かな演技力で1960年代後半から息の長い活躍を続けているアメリカ・ニューヨーク州オールバニの俳優、ウィリアム・ディヴェイン(William Devane, 1940年9月5日生)が演じています。
2000年代にはテレビドラマ『24 -TWENTY FOUR-』の第4シーズンから第6シーズンにかけてジェームズ・ヘラー国防長官役で出演し、2014年放送の第9シーズン『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』では大統領となったジェームズ・ヘラーを演じています。

40年近くのキャリアを持つ個性派俳優
クールな殺し屋マロニー役はアメリカ・ニューヨーク州ロングアイランド出身の俳優のエド・ローター(Ed Lauter 本名:Edward Matthew Lauter II 1938年10月30日生)が演じました。
元々はスタンダップ=コメディアンとして活動していましたが、その後は40年近くのキャリアを持ち、多くの映画、テレビドラマに出演しました。

2013年10月16日、中皮腫のためロサンゼルスの自宅にて74歳で死去しました。
ゴールデングローブ賞助演女優賞受賞の名女優
アダムソンの妻、フラン役はアメリカ・イリノイ州パークリッジ出身の女優、カレン・ブラック(Karen Black 本名:Karen Blanche Ziegler 1939年7月1日生)が演じました。
彼女は1969年、『イージー・ライダー』での売春婦役で注目を集め、第28、32回のゴールデングローブ賞映画部門助演女優賞を受賞するなど、かなりの実力派の女優です。

2010年より癌を患い、2013年には治療費をクラウドファンディングで募り話題となりました。
その後2013年8月8日、膀胱癌により74歳で死去しました。
あの「ジョーズ」のテーマ曲で一躍有名!!、ジョン・ウィリアムズ
アメリカ・ニューヨーク出身の作曲家、指揮者のジョン・タウナー・ウィリアムズ(John Towner Williams, 1932年2月8日生)が担当しました。
本作を担当した頃、ウィリアムズはスティーヴン・スピルバーグ監督の『ジョーズ』の作曲家としてアカデミー作曲賞を受賞したばかりでした。
ヒッチコックはウィリアムズに対し、暗い場面には軽快な音楽をあてるべきだと主張するとともに、「ウィリアムズさん、殺人は楽しいものであり得るのですよ」とのアドバイスを告げたといいます。

その後、1984年のロサンゼルスオリンピック以降計3回行われているアメリカでのオリンピックで、楽曲を提供しています。
まとめ
この作品はヒッチコックの遺作ということで有名になりましたが、作品自体もスピーディーでブルース・ダーン、バーバラ・ハリス、カレン・ブラックという悪役が似合う3人の起用はいかがわしさを漂わせてとても面白いと思います。
上映時間121分と長いですが、その長さを感じさせない軽妙洒脱なストーリーとなっています。