【キッズ・リターン】と続編【キッズ・リターン 再会の時】を振り返る

【キッズ・リターン】と続編【キッズ・リターン 再会の時】を振り返る

1996年に公開された『キッズ・リターン』は若者のの心情を繊細に捉えた作品だったと思います。そしてそのストーリーは【キッズ・リターン 再会の時】へと継承されました。両作ともに振り返ってみたいと思います。


キッズ・リターンとは

『キッズ・リターン』は1996年に公開された映画で、北野武監督の6作目となる作品でした。

監督・脚本共に北野武さんが務めました。

あらすじ

この作品は、高校で落ちこぼれていたマサル(金子賢)とシンジ(安藤政信)の2人が中心となり描かれた物語です。
周りは受験で忙しくなっていくなか、落ちこぼれた2人は学校で悪戯やカツアゲなどをして過ごしていました。
ところが、ある日カツアゲの報復としてボクサーに一撃でやられたマサルは、ボクシングに憧れを持つ様になります。しかし、皮肉なことにボクシングの才能があったのはシンジの方でした。

マサルは自分にはボクシングの才能が無いと見切りをつけてヤクザの世界に入ります。
2人は違う世界で快進撃を続けていくのですが、やがて挫折を味わうことになり・・・

青年が大人の世界に踏み込み、さまざまな現実に直面する模様を描く青春映画です。

劇場予告編の動画

印象的だったシーン

やはり何といってもラストシーンではないでしょうか?
挫折を味わった2人が、昔居た高校の校庭で自転車に乗りながらのセリフ。

「マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな?」
「バカヤロー、まだ始まっちゃいねぇよ」

これは良かったですよねぇ・・・
もしかしたら北野武監督には、このセリフとシーンが最初から頭の中で描かれていたのではないでしょうか?
忘れられないラストシーンだったと思います。

キッズ・リターン 再会の時

『キッズ・リターン 再会の時』は2013年に公開された映画で、清水浩監督の作品でした。

前作の北野武監督は、ビートたけしとして原案にクレジットされています。

あらすじ

前作から10年の時が流れており、その間2人は会う事がありませんでした。
マサル(三浦貴大)は刑務所から出所したばかりで結局ヤクザの道に戻るしかなく、シンジ(平岡祐太)はボクシングでかませ犬にされており、2人ともうだつの上がらない日々を過ごしていました。
そんな時、偶然2人が再開し、マサルはシンジに対してもう一度ボクシングを頑張れと励まします。またマサルは極道としてやっていく決意を固め、2人はもう一度胸に火を灯すことになります。

マサルとシンジはお互い精神的に支え合っていくのですが、2人ともトラブルを抱えることに・・・

『キッズ・リターン』の続編として観る価値のある作品だと思います。

劇場予告編の動画

本作の見どころ

監督は違いましたが原案にビートたけしの名義があり、ストーリーは完全に続編となっていたこの作品は、『キッズ・リターン』のファンとしては見ないわけにはいかない作品だったのではないでしょうか?
レビューを見ると酷評もありますが、見どころとしては10年の歳月が過ぎた2人が出会い、その2人がどの様になっていくのかに尽きると思います。
ラストは「そうかぁ そうなるよなぁ・・・」といった内容でしたが、是非観て確認して頂きたい作品です。

2作を振り返ってみて

2作共に共通していたのは、うだつの上がらない若者が大人の壁にぶつかり、挫折しもがきながらもこの日本という社会でどの様に生きていくかという姿だったと思います。
現代社会の拝金主義に戸惑う若者が、少しずつ大人になっていく様子がうかがえる作品だったと思います。

多くのレビューにある通り、確かに『キッズ・リターン』が強烈なインパクトを残す作品であった為、『キッズ・リターン 再会の時』はやや物足りなさがあったかもしれません。
ただ、北野武監督は「映画は監督のものだから」とコメントを残しています。きっと清水浩監督も『キッズ・リターン』の大ファンであり、自分の手で続編を撮ってみたいと思ったのだろうなぁと思います。

2作共に共通していたのは、昔の自分を投影し胸に響く内容でした。

監督北野武の世界観

北野武監督の作品は『アウトレイジ』シリーズなど極道もののインパクトが非常に強いのですが、個人的には『キッズ・リターン』や『菊次郎の夏』といった人間模様が描かれた作品が印象に残っています。
スポットライトの当たる人間だけじゃないく、うだつが上がらなかったり落ちぶれたりした人達の生き様が絶妙に表現されているのが心に残ります。

今では世界の北野と言われている北野武監督。
多くの作品を残されてきていますが、まだまだこれからも北野武監督の作品が観たいと思います。
次回作もその次も、ずっとずっと期待しています。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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