『ガンプラり歩き旅』その73 ~動かざるごと山の如し!『ガンダムZZ』版ギャンのR・ジャジャ~

『ガンプラり歩き旅』その73 ~動かざるごと山の如し!『ガンダムZZ』版ギャンのR・ジャジャ~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、メカ単位での紹介をする大好評連載。 新展開では『機動戦士Zガンダム』(1985年)『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)まで、旧キットから最新のHGUCまで、商品の発売順に、再現画像と共に網羅紹介していこうという趣向になっております!


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モビル・スーツに乗ると興奮してしまうキャラ・スーンが乗ったR・ジャジャが、宇宙でライフルを乱射して大暴れ!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、 再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

今回紹介するのは、デザインした出渕裕氏が、あえて『機動戦士ガンダム』(1979年)の不遇なモビル・スーツ、ギャンをリメイクした、R・ジャジャの1/144の放映当時キットを紹介していきます。

R・ジャジャ 1/144 5 1986年7月 600円(機動戦士ガンダムZZ)

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ボックスアートでは躍動感溢れるポーズでキメているだけに、キットが完成した時のガッカリ感が半端ない

『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)初動では、出渕裕氏と伸童舎というタッグが敵モビル・スーツのデザインをコーディネートしていた。
それは前作『機動戦士Zガンダム』(1985年)の、メカデザイナーの個性百花繚乱状態よりは単純明快で、それゆえに出渕メカの「狙い」のようなものも、ガンダムマニアは感じ取っていた。

「それ」は、ガルスJやガザDに顕著であったが、同時に物語も転がり始めたこのタイミングで登場する、R・ジャジャとハンマ・ハンマというコンビにも、明快な意図を仕込んでみせたのが出渕流であったといえるだろう。
かつて『機動戦士ガンダム』(1979年)内で、マ・クベという優男が、しかし自分もまた漢の軍人であることを歴史に刻み込むために乗り込んだ、騎士専用のモビル・スーツ、ギャンの系譜を真正面から受け継いだ、ある意味「男らしさ」の象徴のR・ジャジャが、赤く塗られて巨乳の女性リーダーが乗り込み、一方で開花した花束のような異形の姿に、オールレンジ攻撃の両腕を持つハンマ・ハンマが、典型的ジオンのツートングリーンに塗られ、それに騎士を名乗る優男が駆って宇宙を駆け巡る。

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完成したR・ジャジャ。プロポーションそのものはむしろ出来が良い方

そこへ、新主人公のジュドーが、タイトルどおりの新ガンダムZZに乗り込むという流れで、『ガンダムZZ』は序盤のギアをセカンドに入れることに成功した。

ただし、この演出と仕込みの巧さは「アニメ作品内で」のことで、さて、それをビジネスとして展開させるガンプラは、というと、まだまだシリーズ初頭のこの時点で、R・ジャジャ、ハンマ・ハンマ、共に1/144キットは大失敗作になってしまった。

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今、出撃の時を待つ、ネオジオン最新の騎士モビル・スーツ!

特にR・ジャジャの場合、そのぼってりしたボディと華奢な腕という、およそ騎士らしからぬ(デザイン段階からの)プロポーションアレンジと共に、R・ジャジャのオリジナルギミックでもあった「バリアブル・シールド(肩アーマー後部の、三角形の突き出たシールド)の回転可動」をなんとしてでも実現させるために、結果、肩の軸の受けにポリキャップが仕込まれているものの、肝心の肩が全く開かない(見た目の誤差と、軸の揺らぎ程度の可動はするが)という本末転倒を生んでしまった。

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真正面から見た状態。驚くかもしれないが、肩の開き可動と開脚は、この状態で精一杯両側に開いた角度でコレである

また、これは初動『ガンダムZZ』1/144キット全般に言えるのだが、出渕デザインによってディテール細かくなった設定画を、その独特の描線自体から再現しきれない技術面の限界論もあり、『ガンダムZZ』関連キットの総合セールスが伸び悩んだのは事実らしい。

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サイドビューとバックビュー。出渕デザインらしくメリハリがきいている

実際、『ガンダムZZ』のガンプラは、このR・ジャジャとハンマ・ハンマの直後、1/144 ガ・ゾウムと、大傑作の1/100 完全変形合体ZZガンダムを送り出すのだが、その後はMSV時代のキットの箱替え、金型流用キットばかりになってしまい、シリーズ後半には、ドライセン、ドーベンウルフ、ジャムル・フィン、ザクⅢ等の佳作キットでクオリティを盛り返すのだが、前作のように大型モビル・スーツを1/220で商品化する体力もなく、クイン・マンサ、ゲーマルク等の印象的な大型モビル・スーツは商品化されず、シリーズ自体が尻すぼみっぽく終わってしまった感は否めない。

さて、今回紹介する、そんな「イッちゃってる系女性士官」キャラ・スーンが乗る、ギャン系モビル・スーツのR・ジャジャの1/144キットであるが。

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商品構成は、4枚のランナーとA、Bのポリキャップ、デカールが1枚と、この時期標準の仕様になっている。これはマルーン色ランナー

ランナーは、オレンジとマルーンの物が一枚半ずつと、この時期基本仕様のA、Bのポリキャップが一枚、あと、ジオン紋章の水転写デカールが付属している。

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こちらはオレンジのランナーとポリキャップとデカール

キットの仕様自体は、各関節にポリキャップを仕込み、武器はライフルとサーベル(ちなみに騎士用モビル・スーツらしく、腰には鞘があり、鞘に納める柄だけのぱーつもある)という、平均的なフォーマットで作られているが、とにかくデザインが仕様の邪魔をしているのか、設計側がデザインを上手く咀嚼できていないのか、1/144 Zガンダム以上に「関節は仕込まれているのに、実際は動かない」完成品になってしまっている。

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オプションはライフルとサーベルのみ。サーベルの形状が、このモビル・スーツがギャンの系譜だということを明確に主張している

まともに動くのは、首を左右に振るのと、上腕のロールと肘の曲げ、そして開脚ぐらいで、それすらも、首はデザインの関係で左右30度ずつ程しか曲げられないし、肘もZガンダムとは違って、80度ぐらいまでしか曲げられない。肩は回転する以外は、前述のとおり、ブレる程度に開いたり、前後にスウィングするのが精一杯で、脚部は、開脚も膝関節も足首も、ほぼ固定と思って良い出来で、なんのためにポリキャップが仕込まれているのかが謎と思ってしまうほど。

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唯一まともに稼働する肘。それでも90度は曲がらない。これと上腕ロールがあるおかげで、ギリギリ「スタチュー固定モデル」にならずに済んでいるというレベル

プロポーションも、既に書いたようにボディと腕のバランスが悪く、加えて、左手首が平手しかないので躍動感のあるポーズなど付けようがない。

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ライフルの銃剣は取り外しが可能だが、そんなところに凝るよりも先に考えなければならない案件は山積みのような……

武装は、ライフルのストック可動や銃剣の取り外しギミックなど凝ってはいるが、一番の売りのはずのバリアブル・シールドの回転展開も、肩軸へのクリアランス穴が、基本状態でしか確保されていないので、回転させようにも基本以外の角度だと、肩アーマー自体が浮いた状態で違和感のあるシルエットになってしまい、本当に、この程度のギミックのせいで、脇が完全に開かないキットになったのかと思うと、そりゃキットとモビル・スーツの個性を盛り込まなければ売りがないガンプラとはいえど、ここまでデクノボーだと、開いた口が塞がらない。

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脚部の前後開脚と膝の関節の曲がり具合。膝に至っては、1/144 ゼータガンダム並みに「そもそも曲がらない」レベル

以前、バンダイのメカニックコレクション版勇者ライディーンを紹介した時に、現代バンダイキットワースト3を「HGABズワァース」「メカニックコレクションライディーン」「RGガンダム」としたが、80年代までのガンダム作品リアルタイム化キットでいうと、このR・ジャジャ、ハンマ・ハンマ、そして『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)の「肘が内側にしか曲がらないトリオ」の、ジェガン、ヤクト・ドーガ、サザビーが、ワーストに入るだろうと言い切れる(『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』(1991年)キットは、あえて狙った廉価版キットリリースビジネスなので、ここでは評価から除外する)。

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サーベルを持たせて、騎士の名乗りっぽいポーズをとらせてみた

とりあえず、まぁ再現画像での出番も少ないというのもあるので、今回はそのまま素組。
しかし、大河さんには珍しく、合わせ目消しと表面処理はしてある。
塗装は、ピンク部分はシャアピンクに若干オレンジを足した方向で色を作り、マルーン部分はシャアザクの赤茶色を使用。
イエローにはダークアースを少しだけ混色して色味を落ち着かせ、グレー系はニュートラルグレーとガンダムカラーのファントムグレーを使い分けた。

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それ以外の持ち方をさせても、どうにも決まらない

完成したR・ジャジャであるが、一年前の1/144 Zガンダムが、デザイン優先の結果可動領域が確保できず、しかしその代償としてデザインワークスに近い立体を再現できたことを考えると、今回のこのR・ジャジャの「デザインからかけ離れたシルエット」「可動を犠牲にして組み込んだギミックがピント外れ」「デザインを曖昧に咀嚼しているのに、ほぼ動かない他の関節部分」と、余りにも残念な要素が目立つキットになってしまった。

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ライフルを構えさせても、大きすぎる肩と干渉して、カッコいい構え方に全くならない。ボックスアートのカッコいい大胆なポージングはなんだったのか

このキットもある意味でギャン系なのだが、思えば最初のガンプラの1/144 ギャンも残念な出来であった。ギャンはHGUCでも、まずは初動でキット化され、その時は誰もがその進化に驚いたが、徐々にHGUCシリーズのフォーマットが浸透化していくに沿うように、相対的に他の後発HGUCの評価が上がっていったという流れがある。
そういう意味では「ドムにハズレなし。ゲルググに当たりなし」という格言にすら入れられないほどに、ギャン系キットにも当たりはなく、ギャンはようやく2016年にHGUCでREVIVE化されて面目躍如を果たし、R・ジャジャの「他人の空似」のR・ギャギャも2014年にHGBFシリーズでキット化された。

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モビル・スーツに乗って興奮したキャラ・スーンが、ジュドーのZガンダムにしがみつくシーンの再現。デクノボーキットなので、アングルと絡みで誤魔化す演出で活かすしかなかった

せめてR・ギャギャの金型を流用したR・ジャジャの発売をと待ち焦がれていたファンは少なくなかっただろうが、今回の『機動戦士ガンダムを読む!』再現画像制作までには、最新型の1/144 R・ジャジャ発売されなかったので、今回は旧キットをそのまま使用した。

市川大河公式サイト

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