ドラゴンボール終了後にジャンプに連載した鳥山明の短編『COWA!』『カジカ』『SAND LAND』を知っているか?

ドラゴンボール終了後にジャンプに連載した鳥山明の短編『COWA!』『カジカ』『SAND LAND』を知っているか?

1995年に『週刊少年ジャンプ』での連載を終了した『ドラゴンボール』。その後、当時編集長だった鳥嶋和彦氏に懇願され、ジャンプに戻ってきた鳥山先生が1997年に『COWA!』、さらには、1998年に『カジカ』、2000年に『SAND LAND』という3つの短編を連載していたことを覚えているでしょうか?


1995年、世の少年たちは「ドラゴンボールロス」に襲われていた!

今やすっかり定着した「~ロス」という言葉。2013年、記録的な大ヒットを飛ばしたNHKの朝ドラ『あまちゃん』の終了時、その世間に流れる喪失感が誰からともなく「あまちゃんロス」と呼ばれるようになって以来、「いいともロス」「SMAPロス」「逃げ恥ロス」、直近では「五輪ロス」など、大規模なメディアコンテンツが終焉を迎えるたびに、「とりあえず語尾に付けとけ」的なノリで、「~ロス」とワードドロッピングされるようになって久しいのは、ご存じの通りです。

さて、今から23年前の少年たちの間では、間違いなく「ドラゴンボールロス」が巻き起こっていました。もちろん、筆者もその「ロス」をリアルタイムで体感したうちの一人。週刊少年ジャンプ第25号を購入し、巻頭カラーのドラゴンボールを読み、最後のページで「もっと強くなるぞー!」と言って飛び立ってしまった悟空を見送った時の喪失感といったら、表現のしようもありません。嗚呼、これでもう、永久に過去のコミックスやビデオを見返すしか、ドラゴンボールを楽しめなくなってしまったのか…そんな気持ちになり、しばらく落ち込んだものです。

ドラゴンボール (巻42) (ジャンプ・コミックス) コミックス – 1995/8/1

ドラゴンボール (巻42) (ジャンプ・コミックス) | 鳥山 明 |本 | 通販 | Amazon

ドラゴンボールファンに希望を与えた、鳥山明の新連載『COWA!』

そんなガックリ肩を落とした筆者のような全国のドラゴンボールフリークたちの光明となったのが、アニメ終了1ヶ月後に始まった『ドラゴンボールGT』と、そして、1997年の上半期に連載された鳥山明の新作『COWA!』でした。

デカデカと「鳥山明 新連載!!!」と印字された表紙に、お馴染みの鳥山テイストで描かれた真新しいキャラクター…。この『COWA!』の第1話が掲載された『週刊少年ジャンプ』1997年48号の表紙を見た時の胸躍る感覚は、今でも忘れられません。『ドラゴンボール』の連載開始は1984年。物心ついた時には既に人気漫画・アニメとしての地位を確立していた同作と違い、『COWA!』はスタートアップ期から物語を追えるため、その嬉しさは格別でした。また、あの冒険活劇が見られる…しかもそれが始まる瞬間に立ち会える!…と。

週刊少年ジャンプ 1997年(平成9年)48号 表紙・新連載=鳥山明『COWA!』

まんだらけ通販 | 週刊少年ジャンプ 1997年(平成9年)48号 表紙・新連載=鳥山明『COWA!』

鳥嶋和彦氏に懇願されて、鳥山先生はジャンプに戻ってきた

また、この表紙にはこんな煽り文句も書かれていました。

「新連載・BØY・封神・BASTARD!!どうだ!!超ゴーカ漫画のカラー4連発っ!!」

当時の『週刊少年ジャンプ』といえば、『ドラゴンボール』『SLAM DUNK』『幽☆遊☆白書』の三大看板を擁し、当時の産経新聞よりも多い発行部数600万部を超えていた黄金期を終えて、著しく発行部数を落としていた不遇の時代。この責任を取る形で編集長の堀江信彦氏が更迭され、後任に選ばれたのはDr.マシリトとピッコロ大魔王のモデルとしてお馴染みの鳥嶋和彦氏が就任。鳥嶋氏は、ジャンプの窮状を救うべく、『Dr.スランプ』と『ドラゴンボール』の編集担当だったよしみで、半ば漫画家を引退していた鳥山先生へ新連載を依頼したのでした。

鳥山明の編集担当だった鳥嶋和彦がモデルとなった「Dr.マシリト」

Dr.マシリト

Amazon | Dr.スランプ アラレちゃん Dr.マシリト世界征服計画 ~集まる!キャラメルマン~ キャラメルマン9号入9種セットB | フィギュア・ドール 通販

鳥嶋氏の依頼を断りきれず、しぶしぶ、単行本一冊分のみの短期契約で連載を承諾した鳥山先生によって書かれた『COWA!』は、オバケの少年・パイフーとその仲間たちが、流行病に襲われた人とオバケが暮らす故郷の村を救うため、西に住む魔女へ薬をもらいに行くというストーリー。『ドラゴンボール』よりも『Dr.スランプ』に近いほのぼのテイストの作品になっていました。

COWA!

COWA! (ジャンプ・コミックス) | 鳥山 明 |本 | 通販 | Amazon

1998年には『カジカ』、2000年には『SAND LAND』が連載

この『COWA!』、短期契約のためたった半年で終わってしまい、また、前述のように絵本チックなほのぼの系作品だったため、ドラゴンボール的なアツいバトル展開を望んでいた筆者のような読者からしたら、少々、物足りないものでした(もちろん、内容的には面白かったのですが)。その点、1998年に連載された『カジカ』と、2000年に連載された『SAND LAND』は、見るからにアドベンチャー色強めな作品だったので期待感を抱かせてくれたものです。

『カジカ』は、キツネを遊び半分で殺してしまったため「千の命を救わなければならない」という呪いをかけられた少年・カジカが、命を救う旅の道中で泥棒の少女・ハヤに出会ったことにより、彼女が盗んだ絶滅寸前の竜の卵を悪党から守りながら、竜の生息地・ロンロン島を目指すハメになるという物語。

カジカ

カジカ (ジャンプ・コミックス) | 鳥山 明 |本 | 通販 | Amazon

一方の『SAND LAND』は、タイトル通り砂漠を舞台にしたアドベンチャー。「老人をメインに描きたい」という鳥山先生の希望を飲んだため、冒険のパーティー3人中2人がおっさんという絵的にはあまりワクワクしない構図で展開されていました。

サンドランド

サンドランド (ジャンプ・コミックス) | 鳥山 明 |本 | 通販 | Amazon

2作品とも、どことなくドラクエ的なRPGの風味を感じさせるストーリーで、ひじょうに次の展開が気になる良作だったものの、鳥山先生の中で長編を描く意欲がなかったため、やはり、どちらも半年程度で終了してしまいました。しかし、鳥山先生が、こうした短編をちょこちょこ連載してくれたおかげで、私たち読者は少しずつ「ドラゴンボールロス」の状態から、段階的に「ドラゴンボール離れ」が出来たのかも知れません。

鳥山明

鳥山明 - Wikipedia

(こじへい)

最新の投稿


アニメ『プロゴルファー猿』不朽の名曲が初の7インチ復刻!水木一郎が歌うテーマ曲がアナログ盤で蘇る

アニメ『プロゴルファー猿』不朽の名曲が初の7インチ復刻!水木一郎が歌うテーマ曲がアナログ盤で蘇る

藤子不二雄Ⓐ原作のTVアニメ『プロゴルファー猿』のテーマ曲が、初の7インチアナログ盤として復刻発売決定。アニソン界の帝王・水木一郎による「夢を勝ちとろう」と「マイウェイ猿丸」を収録。当時のジャケットデザインを再現し、2026年5月27日にリリース。名台詞から始まる伝説の楽曲がアナログならではの音響で蘇ります。


日本唯一の乗り物「カーレーター」が還暦!須磨浦山上遊園で60周年記念イベント開催

日本唯一の乗り物「カーレーター」が還暦!須磨浦山上遊園で60周年記念イベント開催

山陽電気鉄道が運営する須磨浦山上遊園の「カーレーター」が3月18日に営業開始60周年を迎えます。これを記念し、赤いちゃんちゃんこを纏った記念車両の運行や除幕式、限定グッズの販売、記念ハイキングなど多彩なイベントを開催。日本でここだけの“独特な乗り心地”と共に、昭和レトロな節目をお祝いします。


国民的ゲーム『ぷよぷよ』が介護福祉向けに進化!『ぷよぷよトレーナー』開発開始と説明会開催決定

国民的ゲーム『ぷよぷよ』が介護福祉向けに進化!『ぷよぷよトレーナー』開発開始と説明会開催決定

松竹ブロードキャスティングやセガなどによる製作委員会が、国民的アクションパズルゲームを介護福祉向けに最適化した『ぷよぷよトレーナー』の開発を開始しました。専門家の監修により高齢者が無理なく楽しめる工夫が施されています。現場の負担軽減にも繋がる新しいツールとして5月より施設向け説明会が開催されます。


手のひらサイズの昭和レトロなミニラーメン鉢で薬味を育てる栽培キットが発売

手のひらサイズの昭和レトロなミニラーメン鉢で薬味を育てる栽培キットが発売

聖新陶芸から昭和レトロなミニチュアサイズのラーメン鉢で薬味を育てるユニークな「ラーメン薬味栽培キット」が発売されました。本格的な陶器製の小さな鉢に土や種だけでなくミニサイズの割り箸もセットになっており発芽から成長まで手軽に楽しめます。デスクやキッチンを彩る遊び心に溢れた癒しの栽培アイテムです。


あの「マッピー」が令和に帰ってきた!2月22日“ねずみの日”よりSNSショートアニメ「まっぴーちゅう!」配信スタート

あの「マッピー」が令和に帰ってきた!2月22日“ねずみの日”よりSNSショートアニメ「まっぴーちゅう!」配信スタート

1983年にアーケードゲームとして登場し、80年代を風靡した伝説のアクションゲーム『マッピー』が、令和の時代にまさかの大復活!2月22日の「ねずみの日」に合わせて、SNSショートアニメシリーズ「まっぴーちゅう!」としてTikTokやYouTubeでの定期配信がスタートしました。お馴染みのキャラクターたちがポップでキュートな姿に生まれ変わり、忙しい現代人に「1日30秒のクスッと」をお届けする、誰も傷つかないハートフルなドタバタコメディの魅力に迫ります。