【1987年】ゴッホの絵画『ひまわり』を50数億円で安田火災海上が落札!バブル景気の財テクとしての価値も!

【1987年】ゴッホの絵画『ひまわり』を50数億円で安田火災海上が落札!バブル景気の財テクとしての価値も!

1987年3月30日にロンドンで行われたオークションで、ゴッホの絵画『ひまわり』が50数億円で落札された。安田火災海上(現・損保ジャパン日本興亜)が落札者となり、バブル景気の日本を象徴する出来事となった。


1987年3月30日、安田火災海上(現・損保ジャパン日本興亜)が、ゴッホの『ひまわり』を50数億円で落札!

1987年3月30日に、普段アートとは縁遠い人々をも、アッと驚かせたニュースが飛び込んできた。
安田火災海上(現・損保ジャパン日本興亜)が、50億円(当時のレート)を超える大金で、フィンセント・ファン・ゴッホの絵画『ひまわり』を購入したのだ。

イギリス・ロンドンで行われたクリスティーズ主催のオークションでの出来事だった。

『ひまわり』

『ひまわり』は、同年7月20日に成田空港へ到着。”芸術の秋”である10月13日から、東郷青児美術館で一般公開されている。
同美術館の年間入館者数は、多い年で約3万人であったが、一般公開から半月で3万5千人を超え、その注目の高さが窺えた。

そもそもゴッホの『ひまわり』って?

『ひまわり』は1888年から1890年にかけて描かれ、タイトルからもお分かりのようにキク科の向日葵がモチーフとなっている。日本では夏を強烈にイメージさせる向日葵を、色合いを変えながら7点(11~12点という説もある)制作している。

最初に制作されたと考えられている作品(1888年8月制作)

作品によっては本数も異なり、3本~15本までの向日葵が花瓶に挿された構図が共通である。一説によるとゴッホのアルルでの生活・制作の拠点であった「黄色い家」の部屋を飾る目的で制作されたと言われている。

ゴッホにとっての向日葵は明るい南フランスの太陽、ひいてはユートピアの象徴であったという。
『ひまわり』はその色鮮やかなイメージが投影されたような作品だが、精神が破綻し精神病院での療養が始まってからは描いていないとされている。

ゴッホ自身が気に入ったとされる「12本のひまわり」(1888年8月)

当時はバブル真っ只中!「財テク」としての絵画

『ひまわり』が高額で取引された背景には、当時のバブル景気が大きく関係している。

1986年末から始まったとされるバブル景気は、潤沢な資金を背景に、大都市の再開発の動きが活発になった事による「地上げ」や好業績をもとに就職希望者を多数雇用した「就職売り手市場」など、現在では考えられない現象を次々と生み出した。

バブリーな人々!皆さんはバブルを経験されましたか?

取引された1987年3月末頃には、同様に好景気を背景にしての「財テク」と呼ばれる資産運用が注目されていた。

所有する土地や株式、債券を運用して大きな収益(キャピタルゲイン)を上げる運用方法は、当時を強くイメージさせるが、『ひまわり』の高額購入もこの流れで生まれたニュースのひとつとなった。

ちなみに他には、フェラーリやベントレーなどの高級輸入車などが財テクの”アイテム”となっている。

絵画のイメージ

また、安田火災海上(現・損保ジャパン日本興亜)は、2001年に安田火災人形劇場「ひまわりホール」の活動で「メセナ大賞」(メセナとは企業による文化・芸術支援)を受賞している。

バブル期に広がりをみせたメセナ。当時は金に糸目をつけない派手なメセナ活動が多くあったが、バブル崩壊後の失われた10年にあっても、文化・芸術をサポートしていた事は特筆に値する。

ゴッホの生涯

1853年3月30日 生まれ。1890年7月29日没。オランダ 北ブラバント州出身。
印象派の後のポスト印象派を代表する画家。

創作期間は10年程度とされ、その間に2000点以上の作品を残している。また、作品の多くは精神を病み、自殺する37歳までの数年間に描かれている。孤独と悲しみを背負った画家のイメージも強い。

また、エドモン・ド・ゴンクールの小説「シェリ」を読み、ジャポニズム(日本趣味)に影響を受け、浮世絵を数多く収集し、部屋に貼っていたという。

信ぴょう性は不明だが、”絵画は生涯で一枚しか売れていない”という定説も有名。

※『自画像』(1887年春)より

フィンセント・ファン・ゴッホ

高額で取引される絵画

ゴッホの『ひまわり』が高額取引された、1987年以前の絵画の最高額はレオナルド・ダ・ヴィンチの「ジネーヴラ・デ・ベンチの肖像」の5百万ドル前後(現在の37百万ドル)であった。

以降、ゴッホ作品のように比較的モダンな作品が高額取引の対象となっていった。

ゴッホと同様に高額取引の常連となったのが、キュビスムの創始者であるパブロ・ピカソだ。高額取引された作品には「パイプを持つ少年」(1905年)や「 ドラ・マールと猫」(1941年)など、数多くの作品が並ぶ。

パブロ・ピカソ

なかでも「ヌード、観葉植物と胸像」(1932年)は、1億650万ドル(オークション手数料を含む)で取引され、2012年5月にムンクの「叫び」が1億2000万ドルで売られるまで、絵画作品のオークションにおける最高売買額となっていた。

「ヌード、観葉植物と胸像」

バブルの頃には、世界的な作家の絵画を所有する事が一種のステータスであった。今ではそうした世界的な絵画を一瞬で検索し、印刷も可能であるが、当時はそういった事も出来ず、実物の鑑賞がより価値を持っていたのだろう。

本稿では『ひまわり』を通して、バブルに思いを馳せてみた。少しでも当時を想起して頂けたら幸いです。

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