今回は、こちらの書籍を参考にさせていただきました。
この号では、表紙に東北・上越新幹線200系と、おそらく「新幹線リレー号」と思われる185系電車が同時に映っています。
おそらく、新幹線は大宮ー上野間の開業前の試運転列車であると思われます。新幹線とリレー号が同時に映りこむという貴重なショットですね。
急行「こまがね」号。
長野県南部を走っていた急行列車(イメージ)。
国鉄165系電車 - Wikipedia
現在は完全に高速バスの独占区間となっている、東京・新宿と長野県南部の都市・飯田、駒ケ根とは、かつて飯田線と中央本線を経由した急行「こまがね」号という列車が結んでいました。
そのレポートからご紹介します。
急行「こまがね」号とは。
Nゲージとして今も人気の急行「こまがね」号。
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飯田線から新宿に向かう準急列車が1963年に「急行」に格上げされ、1968年10月、さらに再編成され、かの有名な「ヨン・サン・トオ」改正で、急行「こまがね」は誕生しました。
しかし20年もたたない1986年11月には、急行「こまがね」は廃止されてしまいます。
この20年たらずの期間に、いかに急速にモータリゼーションが進んだかがわかります。
この号は1985年5月号ですので、その翌年に廃止ということですから、本当にラストランに近い時期の記事ですね。
飯田ー新宿間5時間半の長旅。
記事によると、レポートされた急行「こまがね2号」は、飯田を朝6:02に出発し、新宿を11:43に到着するという、実に5時間半を超す長旅の列車だったようです。
1984年12月に登場した高速バスの影響をもろに受ける。
現在は飯田駅から1時間ごと、ラッシュ時は30分ごとに出る新宿行き高速バス。
長野県南部のこの都市と東京とを結ぶこの高速バスは、現在4時間15分、4,200円で結んでいます。
対して急行こまがねは、消費税のない当時でも5,400円、時間も1時間以上余分にかかるとなると、昼間でも1時間ごと、ラッシュ時は30分ごとに発車するこの高速バスには、急行「こまがね」が勝てるわけがありません。
今やバスの現在情報がネットですぐわかるようです。
現在位置をネットで見られます。
Bus-Vision ハイウェイバス ドットコム
ガラガラの車内、単線で時速30キロで走行。
レポートによると、高速バスが登場した途端にあまりにも乗客が激減したため、編成を減らし3両にしたようですが、それでも乗客の数は、1台のバスの半分程度だったようです。
車掌さん自身が、「あまりにも(人が)乗らないのでびっくりしている」と述べていたそうです。
そこをカーブの多い単線でノロノロ走る急行「こまがね」。そのスピードは30キロ。
中央線との接続駅辰野駅では、松本から来る急行「アルプス」号と連結するため16分も停車。
中央本線に入るとスピードアップしたそうですが、それでも、この速達性、運賃の高さでは、高速バスには勝てないでしょう・・・。
対する高速バスのほうは。
6社が共同で運行する飯田発の高速バスたち。
鉄道ジャーナル 1985年5月号 13ページより引用。
6時に飯田を出る高速バスは、平日のラッシュ時ということもあり、予約で満席とのことです。
当時の最新鋭の「ハイデッカー」バスからの眺めもよく、快適なバス旅だったというレポートでした。
国鉄が運輸省に「陳情」したという異例の事態。
いくら経営に影響が大きいとは言え、地元住民にとって「便利で安いもの」を「頼むから作らないでくれ」と陳情するというのは、やはり無理がありますね。
いかに当時の国鉄が切羽詰まっていたかがわかるようなエピソードです。
南アルプス・中央アルプスに囲まれた駒ヶ根市。
駒ヶ根市 アルプスがふたつ映えるまち
その後、急行こまがねは廃止になり、中央高速バス飯田線は前述のように、ラッシュ時30分に1本発車という、ベストセラー路線に成長しました。
そして、この時代を境に、高速バスは徐々に日本に浸透していき、替わりにブルートレインがすべて廃止に追い込まれるということになります。
一方で、同じ中央高速バスでありながら、新宿ー甲府、新宿ー松本間は、JR特急と高速バスとが完全に共存しており、鉄道とバスとは、必ずしもどちらが有利ということは言い切れません。
バスは大渋滞に巻き込まれると、際限なく遅れるということもあります。
この1980年頃から始まった、高速バスの急速な発展は、利用者には明らかに便利で快適なものになりました。選択肢が増えるのはいいことでしょう。
そして、「ここをかつては急行電車が走っていたんだなあ」という思いで、美しいアルプス山脈を見ながら旅行するのも、なかなかオススメだと思います。
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