東映魔女っ子シリーズの異色作、主人公はサイボーグ少女なのに使う力はミラクルパワー『ミラクル少女リミットちゃん』

東映魔女っ子シリーズの異色作、主人公はサイボーグ少女なのに使う力はミラクルパワー『ミラクル少女リミットちゃん』

東映魔女っ子シリーズ六作目にあたる本作は、もしかしたら一番マイナーで異色な作品かもしれません。 なにせ主人公はサイボーグ。使う力は「ミラクルパワー」といって、胸のダイヤルをひねる事でサイボーグパワーを切り替えるという、もうそれは魔法じゃないような……。そんな「表向きは」女児向けの本作を振り返ります。


概要

この娘が主人公「リミットちゃん」(サイボーグ)
後ろのパンダみたいなやつは愛犬の「グー」(サイボーグ)

「リミットちゃん リマスター版DVDボックス」

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本作は、手塚プロアシスタント経験者らで構成された企画集団「ひろみプロ」が企画した「少女版SF変身物作品」を具体化したものである。月曜19時の放送枠での「女の子を視聴中心対象とした児童一般向けの企画」として、対案に『キューティーハニー』が出されていたが、コンペの結果、本作が月曜19時の放送作品に採用された。(『ハニー』は土曜20時30分枠にて放送された)当初の企画書には「正義を貫くと、一年しか延命できない寿命がさらに縮まる」といったハードな設定が存在していた。NETサイドはこうした設定がともすれば作品を陰鬱にすると考え、「女子児童向け」として少女物の要素を強くし、魔法少女物にみられる学園ドラマを物語の主軸として再構築した。キャラ原案として漫画家の永島慎二を迎え、小松原一男のデザインワークを経て、現行の形にまとめられた。 「サイボーグ少女」という画期的要素をもった本作であったが、先に述べたように、サイボーグの設定は延命や人間に戻すといったSF要素は薄められ、「リミット」の性格や心情に影を落とすことに向けられた。またサイボーグ化によって得られた「ミラクルパワー」は、単に魔法に代わる超能力のような扱いとなる。これが発揮されなくとも話が成立する平凡なドラマ作りが行われることになってしまい、結果、視聴率的にも振るわなかった。だが本作でみられた作劇の実験的手法は、のちの『魔女っ子メグちゃん』にて開花することになる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%AB%E5%B0%91%E5%A5%B3%E3%83%AA%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93

ミラクル少女リミットちゃん - Wikipedia

1972年 放送の東映魔女っ子シリーズ第五作「魔法使いチャッピー」と
1974年~75年まで放送されたシリーズ第七作「魔女っ子メグちゃん」の間に位置する本作、
「ミラクル少女リミットちゃん」は、1973年~74年まで放送された東映魔女っ子シリーズ第六作です。ただ、上記の概要にもありますが魔女っ子というよりどちらかと言えば『新造人間キャシャーン』みたいな感じです(笑)。

諸事情によるオープニングの冒頭の「ご挨拶」変更の経緯

上記の通り、初期のOPナレーションでは自分のサイボーグ化された体を卑下するようなセリフがあったそうで、その後すぐに改変され、現在流通しているバージョンに差し替えられたのですが、これは当時NETと東映側が配慮した結果とのこと。同時期に同局で放送された時代劇に身障者差別と取れる描写にクレームがついたため、それを受けての変更だったということらしいですよ。

ストーリーの一部を紹介

リミットちゃん サイボーグ化の経緯

西山理美はつい最近まで普通の女の子でした。ところが父と旅行に出かけた際、乗っていた旅客機が墜落。理美は瀕死の重傷を負ってしまうのです。サイボーグ手術の国際的権威でもある父、西山博士は急遽理美にサイボーグ手術を敢行。全身にサイボーグ化を施すことで理美は一命を取り留めたのでした。

サイボーグとして生きるリミットちゃん

こうして父の手により、死の淵からサイボーグとしてよみがえった少女、理美改めリミット。元来明るく心やさしい少女であるため、学園や身近に起こるトラブルを、自身がサイボーグ化された際に手に入れた「ミラクルパワー」と「七つ道具」でそれとなく解決していました。同級生たちとは、時にはけんかや仲違いもありますが、今までと変わらない日々を過ごしていました。しかし身の回りに起こる事件が不思議な解決を見せることに、内心疑問を抱く者もありました。それは、リミットが自身の正体がばれて仲間外れになるのを恐れ、正体を秘密にしていたからでした。

リミットちゃんとコンプレックスと

人間ではないというコンプレックスに苦しみ悲しみにくれるリミット。父に自らの境遇を憂い、「ミラクルパワーは要らない、普通の人間になりたい」と当たることもありました。
「どうせあたしは機械人形よ!」と、 なにかにつけてスネる始末。父親が授業参観に来なかった事を「あたしが機械人形だから授業参観にこなかったんでしょ!」と吐き捨て、怒った父親に張り倒されるなんてことも。「パパなんか大嫌い!」と泣きながらサイボーグボディを嫌がるリミット…
そのたびに、父の温かい励ましを受け、また身体への改良も加えられ、日々を明るく過ごすよう努めていました。そして父もまた、娘の願いを叶えるべく研究に尽力するのでした。

打ち切りに近い終わり方

「リミットちゃん」は全25話と、東映魔女っ子シリーズの最短記録を更新し(現在も記録保持者)終了と相成ります。当初の予定では西山博士と助手の湯木みどりとの結婚を中盤のイベントとして用意。その上でリミットが人間に戻れるか否かを描く予定だったのでしょう。が、結局それらは全部積み残し終了してしまいました。

本編の最終回は、担任の女の先生が結婚するので、教師を辞めてリミットたちの学校を去る話。
…なのですが、ここから先はネタバレになってしまうので今回のストーリー紹介はここまで!

簡単なキャラクター紹介

西山 理美 / リミット 声 - 栗葉子

飛行機事故で瀕死の重傷を負い、科学者である父親の西山博士によってサイボーグ手術を受け、一命を取り留めるとともに、数々のミラクルパワーを得ることになったサイボーグ少女。
現在は小学五年生として過ごしています、お転婆ですが心やさしい少女です。自身がサイボーグであることは秘密で、カモフラージュ用に食事を摂る機能もあり、食べた物は超小型核融合炉の反応源として利用されています。
赤いベレー帽に、白い幅広カラーを付けたノースリーブの黄色い上着、青いホットパンツと赤いロングブーツというコスチュームを愛用。ベレー帽、上着に付けたペンダント、ブーツ、通学用ナップザックなどのコスチュームは実はそれぞれ七つ道具の一部になっています。

西山博士 声 - 柴田秀勝

リミットの父です。サイボーグ研究の第一人者であり「西山科学研究所」の所長として後進の指導や研究に忙しい日々を送っています。リミットのことは一人娘として大変可愛がっており、彼女の再人間化の研究のため、世界的研究機関「ロックフォラー研究所」所長へのスカウトを断るほど。
リミットを身体的のみならず精神的にも支えています。妻は、リミットが7歳のころに亡くしています。

トミさん 声 - 野沢雅子

妻、母のいない西山家に住み込みで働く家政婦さん。割烹着で過ごす姿は昔ながらのお手伝いさんを想起させます。博多弁を話すのですが38年間ハワイで過ごしており英語も時折混ざります。また結婚経験もあるらしく、大変な博学でもあります。

グー 声 - 千々松幸子

ロボット犬です。もともとはリミットの愛犬で、リミットと同じく航空機事故に遭い絶命、ロボット犬としてよみがえります。
耳に当たる部分はアンテナと、太陽電池の機能を持っています。このため太陽光がないとエネルギーを失い機能停止して眠ってしまいます。足は伸縮自在で、プロペラに変形し空も飛べます。また、嗅覚に優れ、どんなにおいも嗅ぎ分けます。さらに変身能力があり、腰の変身ベルトにあるスイッチを押すと変身することができます。

湯本 みどり 声 - 千々松幸子

「西山科学研究所」の所員で博士の助手。秘書も務めています。所内でリミットがサイボーグであることを知る数少ない人間の一人で、博士やリミットの信頼も厚い人物です。

リミットの「ミラクルパワー」と「七つ道具」

本作ではリミットがサイボーグ化したことにより得た能力を「ミラクルパワー」と呼んでおり、能力を使う都度リミットは、「ミラクル、(能力名)」と呼称して力を使用しています。また、七つ道具を装備し、場面に応じこれら道具も合わせて使用していました。
ちなみに七つ道具といわれますが、この場合は「幾多の道具」の意味であり、作中では8つ出てきます。

これら能力や道具が、従来の「魔法少女物の魔法」に相当するものとして、劇中で扱われています。

ミラクルパワー

「パワー」
大人の男性の3倍以上の力を発揮できますが、金庫の扉は破壊できませんでした。また、フルパワーでも熊には歯が立たないらしいです。

「ジャンプ」
垂直跳びで3mは楽に跳ぶことができます。(作中ではフルパワーで10m程度跳んでいるようにも見える描写もあります)。

「ラン」
フルスピードの自動車を追い越すことができます。

七つ道具

「マジックペンダント」
ミラクルパワーの使用に使うほか、「チェンジフェイス」機能により、ドレスチェンジや変装ができます。婦人警官となって悪漢を懲らしめたり、ボスを指導したりしていました。

「フライングバッグ」
通常はショルダーバッグですが、本体より羽が生え、ロケットを噴射し、バッグのひもを持って空を飛ぶことができます。
「マジックベレー」
赤いベレー帽ですが、後頭部にはナイトキャップやサンタ帽を思わせる大きく突き出た部分があり、その先端は丸い意匠を持っています。やわらかいですが、内部に小型テープレコーダー機能と、イオンロケットエンジンによる飛行能力をもち、超小型コンピューターにより自立航行・判断を行います。つまり「ロボット伝書鳩」ですね。
先端の丸い意匠は、音声録再時はマイク兼スピーカー、飛行時は丸さが消えロケットノズルとなります。リミットが、研究所にいる西山博士に連絡を取りたい際に頻繁に使用します。ベレー帽の正面部にペンダントと同じ意匠があり、機能の切換や発動に用いられます。

「ダンシングブーツ」
赤いロングブーツですが、つま先付近の外側のスイッチを押すと、ワルツなどのダンスのステップを踏むことができます。また、サーチライト機能もあり、つま先内側のスイッチで作動します。踵の部分に黄色いリングが巻かれています。

「フラワーリング」
宝石の周りを花形のダイヤルで囲んだ指輪です。ダイヤルを合わせると、花の香りや催眠作用のある香りなど、さまざまな作用をもたらす香りを芳香させることができます。宝石の台の部分は石の周りにペンダントと同じ意匠があしらわれています。普段着けていられない時は、バッグなどに忍ばせていることもあります。

「びっくりコインパース」
ガマ口タイプの小銭入れです。泥棒に取られた際、犯人が開封しようとすると小銭が大量に射出され、犯人を撃退するブービートラップ付き。留め金部分がトラップの発動キーになっています。本編では第9話にフライングバッグの中身として一瞬登場しているのみですが…。

「透視コンパクト」
コンパクト形の透視装置です。コンパクトのふたから透視光線を照射し、30cm程度の壁を透視することができます。

「リップクリーム」
一見普通のリップクリームですが、これを使って何か書くとあぶり出しをすることができます。第16話で誘拐された際、手紙に暗号を書き添えるために使用しました。

当時のグッズを紹介

浮き輪とか

ソフビとか

ぬり絵とか

お弁当箱とか

着せ替え人形とか

未開封 ビンテージ アンティーク レトロ タケミ ... - ヤフオク!

トランプとか

ミラクル少女リミットちゃん トランプ - ヤフオク!

オークション等で探してみるとまだまだ結構あるようで、(お値段も結構しますが)
今一つ人気が無かったわりにはグッズ自体は手に入りそうな感じです。もっとプレミアついてるかと思ってました。

第一話だけ見られます

【公式】ミラクル少女リミットちゃん 第1話「おてんばさん こんにちは」

まとめと感想

魔女っ子アニメの試行錯誤期の異色作。
いや、本当、オープニングの軽やかなテンポと違って、なんかもう…なんかのドキュメント見せられてるような生々しいものがあって…。胃が痛くなりました。女児向けとはいったい…。

本作は東映魔女っ子シリーズに名を連ねていますが、厳密にはマジカルな魔法少女ではなく、
人工的に身に付けたスーパーパワーと秘密のアイテムで事件を解決するアニメです。
内容が地味でハードだった為か、少女向けアニメとしては今一つ人気がないですね。

小さい時に見ていたけれど、再放送も少なく記憶に無い。
という人は、CSとかでやってたら一見の価値はあると思いますよ。

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