『バイオハザードシリーズ』について
『バイオハザード』の名の通り、生物災害を軸として展開されるホラーアクションゲームです。その代表的なクリーチャーが、ジョージ・A・ロメロ監督の映画シリーズに代表される「ゾンビ」ですね。
第1作『バイオハザード』は発売当初こそ目立たなかったものの、口コミで徐々に売り上げを伸ばし、最終的にはミリオンセラーを達成しました。
3Dゲームの黎明期においてホラーアクションというジャンルを確立した立役者であり、自社、他社問わず多くの後続作品に影響を与えることになります。
第1作にしてその完成度は非常に高く、ハードスペックの制限を固定カメラ切替方式、ラジコン操作、ロード中の扉を開ける演出といった工夫でカバーしつつ、数多くの謎解きと効果的な恐怖演出が盛り込まれています。これらは基本的なゲームシステムとして続編にも受け継がれ、本シリーズの特徴として定着していきました。
『バイオハザード2』について

『バイオハザード2』パッケージ
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本作品の概要
基本的なゲームシステムは前作を踏襲しつつ、多数の敵に襲われるという「数の恐怖」を追求する方向にシフト。2人の主人公によるザッピングシステムや、クリア後のエクストラゲームなど、続編らしい新要素も多数追加されています。
ザッピングシステムとは、2人の主人公の時系列的に同時進行しているシナリオをプレイすることで、一部アイテムの取得情報などが共有される他、互いの物語が補完され、主人公同士が邂逅する場面などの整合性がとられるというシステムです。
現在では珍しくないゲームスタイルですが、当時としては革新的と言って良いシステムであり、特に、2人の主人公の物語がパラレル化していた第1作と比べると、大きな飛躍でした。
後にこのシステムは、続編『コード:ベロニカ』へと引き継がれることになります。
ザッピングシステムについてもう少し詳しく
ややこしいですが、つまり本作には「表シナリオ」と「裏シナリオ」が存在し、『レオン表』『レオン裏』『クレア表』『クレア裏』の4種類のシナリオが用意されているというわけです。
カプコンが発売前から売りにしていた新要素であり、この手のゲームとしては破格のボリュームを誇ります。『レオン表』と『クレア裏』で1つ、『クレア表』と『レオン裏』で1つの、2つのストーリーが存在することになります。
最初は表シナリオしか選べず、クリアすると対応する裏シナリオがプレイ可能になります。「レオン(クレア)が行動していたとき、クレア(レオン)は何をしていたのか」という視点を味わうことができるというわけですね。
開発から発売まで
当時のTVCM
プロローグ
アメリカ中西部、広大な森林地帯に囲まれた小さな街「ラクーンシティー」。
大手一社の薬品産業に支えられ、普段はほとんど人の訪れることのない、静かなこの街が奇妙な猟奇事件で取り沙汰されて2ヶ月…。街は今、新たな惨劇の舞台へと変わろうとしていた。
ラクーンシティーに向けて夕日に染まったハイウェイを走る一台の車。
レオン・S・ケネディー。 ラクーン市警に新しく配属が決まった新米警官だ。
配属初日を派手な遅刻で飾ることになりそうだが、市警察からは何の音沙汰も無い。
というより、何度となく交信を試みているのだが、まったく繋がらないのだ。
レオンは呑気に構え、愛車を走らせる。
同じ頃、女子大生クレア・レッドフィールドは、音信の途絶えた兄の消息を追っていた。
ラクーン市警に身を置く兄、クリスからの連絡がなくなって2ヶ月…。
兄の身に何が起こったのか、未だ解明されないあの猟奇事件と何か関係があるのか?
異様な胸騒ぎを感じながら彼女はラクーンシティーを目指してバイクを飛ばす。
圧倒的な恐怖と絶望の支配する世界が待つことを二人はまだ知らない…。
主要キャラクターの簡単な紹介
レオン・S・ケネディ(Leon Scott Kennedy)
クリスと並ぶ『バイオシリーズ』の中心的主人公の1人であり、本作の男性主人公です。
21歳の新人警察官で身長178cm、体重70.2kg、血液型はA型。正義感が強く行動力とサバイバル能力に優れるものの、時間にはとてもルーズです。専用アイテムはライター。口癖は「泣けるぜ」。
クレア・レッドフィールド(Claire Redfield)
本作の女性主人公で、前作の主人公クリスの妹です。19歳のバイクが好きな女子大生で、身長169cm、体重52.4kg、血液型はO型。連絡の途切れた兄クリス・レッドフィールドを訪ねて、ラクーンシティを訪れます。護身として普段からクリスの教えを受けていたため、素人ながらピッキングや銃の扱い、果てはロケットランチャーやガトリングガンといった大型火器まで操ることが出来ます。 専用アイテムはキーピックです。
エイダ・ウォン(Ada Wong)
レオン編のパートナーキャラで、素性や目的など全てが謎に包まれているミステリアスな東洋系の美女です。スレンダーな体つきからは想像も出来ない一流の戦闘技能と驚異的な身体能力を持っています。 年齢は推定24歳で、血液型はAB型。専用アイテムは恋人、ジョンの写真です。
シェリー・バーキン(Sherry Birkin)
クレア編のパートナーキャラで、本作の鍵となる重要人物の一人です。母アネットからの電話の指示で身を隠す場所を探している最中、警察署に避難してきたクレア・レッドフィールドとレオン・S・ケネディに保護され、危険地帯と化した警察署やラクーンシティから共に脱出することになります。12歳で、血液型はO型。大きなペンダントを身に着けています。
プレイ動画
実際のゲーム画面を見てみましょう。
OPムービーから始まります。5分半くらいからゲーム画面になります。
システムの評価点
主人公の能力の平均化
前作では主人公によって体力などの性能が異なっていましたが、本作では差異が全く無く、専用武器、アイテムやストーリーなどで差別化されています。
これにより、初心者でも自分の好みで主人公を選択でき、ストーリー展開の違いが際立つようになりました。
ただ、レオンは改造の際弾薬数が最大になるというメリットがあり、クレアはキーピックで机の引き出しなどの簡単な鍵を解錠出来るため、アイテム「小さな鍵」を必要とせず気楽に引き出しの弾薬や救急スプレーなどを入手することが出来るという差はあります。
難易度の簡易化
前作と比べて難易度が抑えられてプレイしやすくなりました。難易度選択もできるようになり、「EASY」と「NORMAL」から選んで遊べます。
出現数こそは増加したものの、個々の敵の弱体化が図られ、特に火力面で下方修正されています。
ゾンビの噛みつきに関しても簡単に振りほどけるようになったうえ、一度振りほどくと周りを巻き込んで倒れるので追い打ちを喰らいにくく、振り切りやすくなりました。また、前作よりも攻撃範囲が狭くなり、捕まりにくくなっています。
ただ前作は敵の対処法さえ知っていれば難易度が大幅に緩和できたため、一概に易しくなったとは言えないかもしれません。もっともこれは前作が極端だったのであり、ゲームバランスという面では今作のほうが優れていると言えます。
大量の敵
技術的な面の改善により同時に多数の敵を表示できるようになったため、多くの敵に襲われるシチュエーションが増えました。
前作では控えめだったショットガンの威力が上がり、敵の同時出現数が増えたため多数の敵をなぎ倒す爽快感もあります。
ただし、ショットガンでゾンビを撃った場合、下半身のみ吹っ飛び上半身が這いずり襲ってくるというデメリットも追加されています。この仕様は続編である『3』『CODE:Veronica』にも引き継がれています。
演出面の強化
残りHPによって主人公の移動モーションが変化し、腹部を抑えたり足を引きずったりします。移動速度も低下し、瀕死状態では通常時の50%程になってしまいます。
ステータス画面を開かなくてもHPの減り具合が解るようになり、同時にHPの減少による危機感や緊張感を味わえるようになりました。
ゾンビの腕、目の前でゾンビ化する警官、ボスの各形態の登場シーン、大型クリーチャーの壁破り、天井から落ちてくる敵など、敵の登場シーンや、パニック映画でよく見るビックリ系演出が凝っており、多くのプレイヤーに恐怖を与えることに成功しています。

ゾンビに囲まれる主人公のクレア。
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多彩な隠し要素とエクストラゲームの追加
本作は特定の条件を満たす事により、2種類の隠しシナリオをプレイできるようになります。
「The 4th Survivor」は、Gウィルス奪取のために敵組織に雇われた傭兵の一人「ハンク」を操作してゴールを目指すというものです。
後の作品でもゲストキャラクターとして操作できたり、作中の文書に登場したりします。
「The 豆腐 Survivor」は、Gウィルス奪取のために組織に雇われた…訳ではない「豆腐」を操作してゴールを目指すというものです。冗談や比喩ではなく、本当に豆腐です。
「4th(フォース)」と「とーふ」を掛けたダジャレが由来ですね(笑)
シリーズを通しても珍しいお笑いシナリオですが、その分出現させるのはかなり面倒です。
ルートや敵の配置はハンクと同様ですが、武器がナイフのみのため難易度は非常に高くなっています。移動中の効果音、関西弁のダメージボイス、関西弁の断末魔などが非常に特徴的で、HPの減少に応じて体色が赤くなっていきます。
凶暴な敵が跋扈する警察署内を豆腐が駆け抜ける姿は、非常にシュールであり、クリア後のランク画面も必見です。
この「豆腐」、元々はデバッグ用のオブジェクトを流用したものであり、独特なボイスは開発スタッフによるものだそうです。
ちなみに、彼?は後の作品で「トーフサバイバー」としてまさかの復活。敵としての登場でゾンビ全てが豆腐に変化するかなりシュールなホラーに(笑)
火の中から焼き豆腐となって登場したりと、やけに演出が凝っています。
前述のエクストラゲーム以外にも、多くの隠し要素や小ネタが存在するのですがここでは割愛します。あしからず。

と う ふ 。
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賛否両論点、難点
ホラー性の減少
本作はハリウッドホラー映画に見られるビックリ系の演出にやや偏っており、前作にあった「雰囲気重視の恐怖感」が感じられる場面は少なめです。
ただ、『1』とは舞台そのものが異なる上に同様の演出に執着してしまうと「進歩がない」とも受け取られるので、こういった変更は妥当だったとも言えますね。
ゾンビの数が大幅に増加したことを、数の恐怖というよりも、恐怖の安売りと受け止めたユーザーも少なくありません。
ただ、ホラー作品はジャンル問わず、大概慣れとの戦いになるものであり、特に本シリーズに限ったことではないでしょう。方向性はともかく、演出の質自体はハード性能に伴ってこの後も向上していきます。
実際、完全に開き直って(?)アクションに重きを置いたシリーズ作品が『4』であり、それまでの殻を破った名作として評価されています。
また、ハードの進化やクリーチャーの設定で恐怖を演出する描写は『BIOHAZARD REVELATIONS』等に受け継がれています。
簡単になったとはいえ、それでも高い難易度
前作経験者にとっては妥当ですが、未経験者にとっては難しすぎる難易度と言われています。
前作と比べると個々で見れば敵は概ね弱体化しているものの、全体の出現数や同時出現数はかなり増加。また、中ボスに相当する新たな強敵も追加されています。にも関わらず弾薬数はほとんど増えていないため、弾数管理はよりシビアになりました。
前作の敵は今作より強かったものの強力な武器で一撃撃破していけば安全に攻略することができたのですが、出現数が増えた今作ではそんなことをすれば当然弾薬が足りなくなるため、どの武器を使うか考えながら攻略しなければなりません。
さらに敵の種類も増え、まだ武器が揃わない序盤から中級のザコ敵が登場したりするため、武器の選択に関してはより難しくなっています。
しかも回復アイテムに至っては数を減らされています。特に序盤が苦しいですね。
つまり「倒す必要のない敵は放置する」ということを前作以上に意識しなければならなくなっているのですが、ここで初心者にはラジコン操作という壁が立ち塞がります。
前作ではゲーム開始時にある程度操作を練習する余裕があったのですが、本作ではいきなり複数のゾンビに囲まれた状況からスタートするため、操作に慣れないままにゾンビの餌食となったプレイヤーは数知れないでしょう。私も犠牲者の一人です。
ただ、序盤のシビアさを乗り越えると、中盤以降はむしろ余剰弾薬が出てくるほどのゆとりが生まれるようになります。
飛ばせないイベント
各シーンでのイベントはCGムービーと本編準拠のポリゴンキャラの演技によるリアルタイムムービーに分かれるのですが、後者は全てスキップ不可となっています。
また会話は全てフルボイスなので、たいてい数分の間が発生し、何度もプレイしているとイベントでテンポを削がれて苛立ちやすいかもしれません。
隠し要素の出現条件
ロケットランチャーとコスチュームチェンジ以外の隠し要素が全て裏シナリオでしか条件を満たせないのでコンプリートする場合は表シナリオが消化試合と化してしまいます。
また「The 豆腐 Survivor」に関しては事前情報無しだとほぼ解らず、かつ偶然発生させるのも困難な条件であり、コンプリートに関してはシリーズでもかなり面倒な部類となります。
お約束、面倒な謎解き
攻略本などの情報源に頼らないと解き方が解りづらいものが大半を占めています。
特に警察署に関しては謎解きが多いので行ったり来たりが多く、警察署以降はそういった要素が無くなってやや戦闘面が重視されるようになるので(ここまで進めるなら大抵装備なども整うので)プレイが楽になっていくなど、難易度の緩急がイマイチでした。
総評とまとめ
前作から正当進化を遂げた続編です。ゲームシステムを発展させつつ不評だった部分に調整を施し、多彩なシナリオやおまけ要素といった新要素も追加された。
数の恐怖を追求しすぎたことでホラーテイストが幾らか薄れた部分はありますが、演出面でカバーしており、前評判に違わぬ完成度の高い作品と言えるでしょう。
シリーズのゲームシステムは本作をもって完成されたとみることもできる。
グラフィックやアクション面でのシステムに難があったり、リメイク版においても難易度が上がってしまった第1作よりも、難易度が比較的抑えられプレイしやすい本作をシリーズの入門編としてプレイしてみるのもいいかもしれませんね。私はオススメします!

クリーチャーと戦う主人公レオン。
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本稿で記載しております情報は、ゲームカタログ@wikiから引用させていただきました。
出典元はコチラです。
BIOHAZARD 2 - ゲームカタログ@Wiki ~クソゲーから名作まで~ - アットウィキ