『ガンプラり歩き旅』その33 ~1日ザクではない、旧ザクだ!~

『ガンプラり歩き旅』その33 ~1日ザクではない、旧ザクだ!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする大好評連載の第33回は、『機動戦士ガンダム』(1979年)本編では、既に旧式モビルスーツとして扱われていた、旧ザクことザクⅠの紹介です!


劇場版唯一のザクⅠ登場シーン。こちらもドマイナーな量産型ゲルググと共に、ア・バオア・クーの守りで、キシリアのグワジン級戦艦を迎え防護に立つザクⅠ

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

今回紹介するのは、アニメ本編や初期ガンプラでは「旧型ザク」と呼ばれ、その後は「ザクⅠ」と呼ばれるようになった、アニメ版ではほとんど登場シーンがなかったザクⅠのHGUC版です!


ザク1 1/144 HGUC 064 2006年5月 1050円

テレビ版第3話『敵の補給艦を叩け!』でのガンダムとの激闘肉弾戦をバックに、やはりガデムのショルダーアタックで飾ったパッケージアート!

旧ザクです! いいですか、何度でも言いますけど、旧ザクですから!
決してね、「ザクⅠ」とかいう名前なんてね、本放映でも、劇場版でも存在しなかったネーミングでなんか、絶対に呼びませんよ! お前は旧ザクだ! 百歩譲っても「1日ザク」だ! だがやはり、あくまでも旧ザクだ!

旧ザクなんです!
「いや、兵器の名称ってリアルタイムで付けられるのが常識なんだから、どんな兵器も開発生産開始時は最新型なわけで。最新兵器に“旧”とか付けるわけないだろ?」とか、常識という名の屁理屈をこねるなぁぁあッ!
その正論を認めると、我らがザクを「ザクⅡ」とかって、後付け設定の名前で呼ばなきゃいけなくなるだろう!? だったらだったで、“そっち”は「ザク」そのまんまじゃなくて「ザクプロトタイプ」とかでもよかったじゃねぇか!

完成状態のHGUC ザクⅠ。プロポーションも可動も極めてザクよりも優れている

っていうか、旧ザクでいいんだよ! 少なくとも大河さん的には、およそ『機動戦士ガンダム』(1979年)テレビシリーズの中で、一番思い入れが少ないモビルスーツなんだから。
理由?
簡単だ。
大河さんはガンダムブームの頃、中学生で、当時付き合っていた彼女さんに観ろ観ろと勧められて、再放映から見始めた人なんだけど、せっつかれてから観始めたわけだから、初見の段階で、いきなり第15話『ククルス・ドアンの島』だったんだよ!
すげぇだろ!? 嘘じゃねぇんだぜ?
ガンダムってアニメがすごい、すごいって騒がれて、じゃあって重い腰を上げて、初めて観たエピソードが『ククルス・ドアンの島』なんだぜ!?
しかも、“そこ”からスタートしておきながら、彼女さんが熱狂してるからって最後まで観て、それで改めてガンダムって作品にハマっちゃったんだぜ!?
愛の力って、すげぇよなぁ! オイ!

第3話では、旧ザクはマシンガンを持つことはなかったが、ガデム得意のショルダーアタックのための肩関節引き出し機能は充分

なんの話だっけ……? あぁそう、旧ザク。
でもって、まぁ当時ガンダムは、首都圏地上波では何週もループで再放映がされていて、だから大河さんも、周回遅れで初動を観れたりしたんだけど、当時は部活もあったり外で遊んだり、まだビデオデッキなんてものは庶民の家庭にはなかったもんだから、ちょくちょく見そびれるわけですよ。
そうなってくるとね。何度再放映をやってくれても、同じ話を見逃すという怪現象が起きるって、そういうのって皆さんなかった? 俺はガンダムで、そういう目にあっちゃったんだよね。
“その”必ず毎回、この話だけは見逃しちゃうって話が、今回紹介する旧ザクが、たった1回だけメインで登場する、第3話『敵の補給艦を叩け!』だったんだよね。

両手でマシンガンを構えるポーズも余裕

しかも、この『敵の補給艦を叩け!』の旧ザクの登場シーンは、映画版『機動戦士ガンダム』(1981年)では、シャアのムサイが補給を受けるシーン以外丸々カットされたもんだから、なおさら印象が薄くて。しかも、映像ソフトは長らく劇場版のレンタルビデオしか、無かった時代がこれまた長かったんで、旧ザクの存在すらも忘れちゃうわけ。
だから、大河さん的には、旧ザクはむしろ、その劇場版の3作目の『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』(1982年)の新作画シーンで、ア・バオア・クーで量産型ゲルググと一緒に、ボーっと立哨しているシーンしか印象にない!

ザクⅠのバックショット。ザクⅡとは違いスラスターノズルがパーツ化してある。この辺りはアニメ派のファンと意見が別れるところか

なのに!
なのに、旧ザクは、なんか大河さんより頭一つ年上の、ミリタリーマニアのお兄さん達には、すげぇツボだったらしくて人気があって。
だからってわけじゃないんだろうけれど、プラモデルも、1/144も1/100も、本来のザクよりもよほど出来が良いという。
このロジックは分かりやすいのだけれども。
つまり、曲がりなりにもザクはメジャーメカ。旧ザクはマイナーメカであって。
キャラクタービジネスっていうのはいつだって、売れる商品から先に売り出していく法則がある。

確かに昨今は、ウルトラ怪獣やガンダムプラモや仮面ライダーなどのフィギュアなどで、初期にいきなり「ちょっとマイナーなキャラ」をラインナップに入れておくことで、エンドユーザーの「そんなマイナーなキャラまで商品化されるのであれば、あんなキャラやこんなキャラも商品化されるかも! これは買い支えなきゃ!」っていうツボを押す商法もセオリーにはなってきているが、その商法の重大かつ致命的な欠点は、いざその商品シリーズが当初の期待値を上回れずにジリ貧になってしまった場合、ラインナップが、すっげぇ中途半端なまま、いつの間にか商品シリーズが立ち消えてて、気付いたら、何事もなかったかのように、また改めて、違うシリーズで、最初のキャラから出しなおす……という「血を吐きながら続けるマラソン」みたいな現象が、実際に幾度となく起きているということ……。
オイ! 「ソフビ魂」と「ウルトラ怪獣名鑑」と「HDMウルトラ超兵器コレクション」と「ガシャポン円谷倉庫」のバンダイ担当! お前ら絶対に忘れないからな!

腰の可動が増えて、スカートの可動範囲も増えたので、ザクⅡよりもポージングの幅が広がる

……まぁ、話が横道に逸れ過ぎましたが……。
ガンプラに話を戻せば、そういった変化球ラインナップ商売があっても、まぁ当たり前のビジネス順序として、旧ザクがザクより先に発売される可能性は限りなく低いワケだ。
そうなると、プラモデルやフィギュアの技術やコストなんてものは、日進月歩、常に進歩し続けているわけで、そうなれば当然、先発のザクより、後発の旧ザクの方が、可動面やパーツ分割等でより高品質になるのは、80年代のガンプラ時代からの伝統でもありルーティンでもあるのだ。
今“伝統”という書き方をしたが、まさに80年代の、腕に覚えのあるガンプラモデラーは、皆こぞって『月刊ホビージャパン』等の作例を参考に、旧ザクを使ってザクを作ったりしたもので、実際、1/144でも1/100でも、旧ザクはザクより出来が良かったのも事実(当時の大河さんは、ガンプラの改造なんて夢のまた夢だったので、そういうお約束で偏重される旧ザクに、良い印象がなかったというのもある。要するにやっかみと捻くれなのだ(笑))。

イマドキの、HGUCやMGでも、その辺りの伝統を“ワザと”意識しているところはあるようで、このHGUC 旧ザクリリース当初は、その肘の二重関節や、捻られる腰、広がるスカートなどを、HGUC ザクに移植しよう!みたいなセールス文句も散見されたが、いざ両方を手にして言えるのは、実はこのザクと旧ザク、イマドキのデザインリファインで情報量が共に増えたことが仇になったのか、細部までが似ているようで全く違い、関節機構も、各部の構造概念からして異なるため、当初思い描いていたように、旧ザクの二重肘関節を、簡単にザクに移植、というわけには全くいかないのである。
むしろ、関節部分がABS樹脂であったりする分、HGUCでザクと旧ザクをニコイチするのは、初期ガンプラブームの頃のニコイチよりも、タイトで難しくハードルは高い。

進化した可動領域の恩恵で、より自然に、迫力あるポーズが可能に! いつの時代でも「ザクのプラモ」より「旧ザクのプラモ」の方がワンランク上に仕上がるのだ

初期発売分のHGUC 旧ザクの箱の下には「パーツを利用して量産型ザクのカスタムが楽しめる」とか書いてあったが、だったらせめて、前腕カバーと肩アーマー基部ブロックぐらい、互換性を付けとけよ! でなきゃ、前腕とかそれもう、ただのセミスクラッチじゃねぇか! としか……。

……いや、まぁ、あくまでこのキット自体の出来は良い。素晴らしい仕上がりである。
しかし、HGUC ゲルググの項で述べるが、細かいパーツが組み合わさって形成している肘関節とかが、こともあろうにABS樹脂製なんで、今回はいつものように、関節を四肢の色で塗装することもあきらめざるを得ず、もうね、完全な素組です、手癖で接着剤を使ってるだけの、ただ組み立てただけ! 塗装箇所は無し! ゼロ! 皆無!

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