ゆるキャラ「イプー」も懐かしいミニバン、イプサム

ゆるキャラ「イプー」も懐かしいミニバン、イプサム

今や日本車の主流となった3列シートのミニバン。5ナンバーミニバンの中で、一世を風靡したものの、今ではなくなってしまったクルマにトヨタのイプサムがあります。「イプー」のCM、覚えていますか?


トヨタは投入した5ナンバーサイズのミニバン

イプサムは1996年5月にトヨタが発売したミニバンです。今では一般的な5ナンバー・乗用車ベースのミニバンですが、当時は日産プレーリーと三菱シャリオが先駆けとしてあったほかは、まだまだ未熟な市場でした。

日本のミニバンの大きな転換点となったのは、1994年に発売されたホンダ・オデッセイです。乗用車ベースで車高の低いミニバンは、スタイリッシュなフォルムで大ヒットしました。トヨタは、一回り小さな5ナンバーサイズに収めることで、扱いやすいミニバンを目指したのです。

悪くいえばトヨタらしい、際立った個性のないデザインだが、3列目のDピラー形状は先駆けとなった。

5ナンバーサイズのボディには、一般的なヒンジドアを使用

Toyota Ipsum (XM10G) 1996–2001 images

サイズは、全長4530㎜、全幅1695㎜、全幅1620mm、ホイールベース2735㎜で、同年発売のコロナプレミオをベースに、衝突安全ボディのGOAを採用。エンジンはガソリン2000㏄、FFと4WDが用意されました。

車内は2+3+2の3列シートで7人乗り。デザインは当時のトヨタらしい平凡なものですが、3列目のDピラーを斜めにしたデザインはイプサムが先駆けたものです。

セダン、ミニバン、ステーションワゴンの3役をこなす「次世代のファミリーカー」として登場した。

まとまったデザインのリアスタイル

Toyota Ipsum (XM10G) 1996–2001 pictures

懐かしいイプーとビビアン・スーのCM

手頃な価格と扱いやすいサイズ、そしてトヨタの販売力もあって、イプサムはヒット車種となりました。販売に貢献したのが、今でいう“ゆるキャラ”の「イプー」でした。丸っこいイプーは、「イプー」と言いながら魔法をかけ、イプサムに乗った家族の夢を実現するというコミカルなものでした。

西村雅彦(現・西村まさ彦)とビビアン・スーが夫婦役で起用されました。ビビアン・スーはまだ20代前半ですがママの役どころ。我々ミドルエッジ世代には懐かしい名前ですね。

この頃から、カーナビが普及し始めた。

室内も平凡なものだった

Photos of Toyota Ipsum (XM10G) 1996–2001

イプサムは、発売翌年の1997年8月に2200㏄ディーゼルを追加。さらにエアロパーツをまとったエアロツーリングと、特装車のウェルキャブが追加設定されました。1998年4月にはマイナーチェンジが施されましたが、好評だったためリファインと使い勝手の向上に留まり、大きな変更は加えられませんでした。

また、1998年5月には、兄弟車としてイプサムよりも高級感を高めたガイアを設定しました。

写真はマイナーチェンジ後で、ウインカーがオレンジ色になり、フロントグリルの本数も変わった。

エアロパーツをまとったエアロツーリング

Pictures of Toyota Ipsum AeroTouring (XM10G) 1996–2001

フルモデルチェンジで3ナンバーサイズに

好評だったイプサムは、2001年5月にフルモデルチェンジ。全幅が拡大されて3ナンバーサイズになり、エンジンも2400㏄に変更。文字通り3ナンバーのミニバンになりました。上級移行に合わせて、CMもコミカルなものからシックなつくりに変更されました。

当初はそこそこ売れましたが、中途半端な大きさやスライドドアではないことが災いして、次第に厳しくなってきました。それでも製造され続け、2009年に生産を終了しました。

2000年代に入ると、スライドドアのミニバンが人気となり、中途半端なサイズもあって、イプサムの人気は衰えてしまった。

2代目となったイプサム

Pictures of Toyota Ipsum (ACM20W) 2001–03

イプサムの後継車はありませんが、2007年に発売されたマ-クⅡベースのミニバン、マークⅡジオが販売店関係からは実質的な後継車といえました。また、2003年にはヒンジドア・5ナンバーのウィッシュが、2004年にはスライドドア・5ナンバーのアイシスが発売されました。販売店の系列は違いますが、サイズ的には初代イプサムに近いクルマといえます。

1990年代は、さまざまなミニバンが試行錯誤的にたくさん登場した時代でした。イプサムもそのひとつです。とりたてて面白いクルマではありませんが、懐かしいCMとともに記憶に残ることでしょう。

イプーとイルカの海

CMで人気のイプーが絵本になった!やさしさいっぱい、ゆめいっぱい、イプーファンタジーワールドへようこそ。ぼく、イプー。ぼうけん、大すき。たのしいこと大すき。おいしいものなら、もっとすき。ぼくのおうちは…ゆめ見る人の心の中。だから、いつだってあえるよ。大きな声でよんでごらん。ほら、イプー、みっけ。 出版社: 旺文社 (1998/12) 言語: 日本語 ISBN-10: 4010691654 ISBN-13: 978-4010691656 発売日: 1998/12

関連する投稿


雑誌『OPTION2025年9月号』が発売!R30スカイライン、Z31フェアレディZなど「ネオクラシック80's」特集!

雑誌『OPTION2025年9月号』が発売!R30スカイライン、Z31フェアレディZなど「ネオクラシック80's」特集!

株式会社三栄より、雑誌『OPTION(オプション)2025年9月号』が現在好評発売中となっています。価格は1200円(税込)。


「クラウン」がついに70周年!『別冊ベストカーTOYOTAクラウンSPECIAL』が好評発売中!!

「クラウン」がついに70周年!『別冊ベストカーTOYOTAクラウンSPECIAL』が好評発売中!!

講談社より、雑誌『別冊ベストカーTOYOTAクラウンSPECIAL』が現在好評発売中となっています。


『頭文字D』より、トヨタ AE86 スプリンタートレノを再現したウェットティッシュケースが登場!!

『頭文字D』より、トヨタ AE86 スプリンタートレノを再現したウェットティッシュケースが登場!!

CAMSHOPより、漫画『頭文字D』で主人公・藤原拓海が数々の伝説を作り上げた「TOYOTA AE86 トレノ」を再現したウェットティッシュケースの予約が開始しました。価格は7700円(税込)。


「ハチロク・ヨタハチ TOYOTAの旧車」を巻頭特集!『月刊Gワークス 2025年2月号』が好評発売中!!

「ハチロク・ヨタハチ TOYOTAの旧車」を巻頭特集!『月刊Gワークス 2025年2月号』が好評発売中!!

三栄より、雑誌『月刊Gワークス 2025年2月号』が現在好評発売中となっています。今月号では、『ハチロク、ヨタハチTOYOTAの旧車』を特集しています。


2000個限定!伝説の名車「トヨタ2000GT」がBluetoothマウスになって登場!!

2000個限定!伝説の名車「トヨタ2000GT」がBluetoothマウスになって登場!!

トヨタ2000GT型を再現したBluetooth無線マウス『「TOYOTA 2000GT」型 Bluetooth マウス』が現在好評発売中となっています。


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。