マーチってどんな車?
1982年から35年間に渡って販売されている、日産のコンパクトカー。
日本車としてはモデルチェンジの周期が長く、一般にもそのデザインと名前が認知されやすい、日本の国民的な車種とも言えるでしょう。
それまでの実用一辺倒なコンパクトカーの中にあって、オシャレで可愛い外見を持ち、比較的女性受けの良い車種でもあります。
数々のバージョンや派生モデルが存在しているのも特徴です。
初代マーチ(K10系)

初代マーチは1982年に発売。コンパクトで洗練されたリッターカーとして登場しました。
デザインが先に発表されて、名前を一般から公募するという斬新な手法も話題となり、500万通を超える公募の中から、マーチと名付けられました。
イタリアの巨匠ジウジアーロ氏デザインの、直線的でシンプルで、スタイリッシュなフォルム。コンパクトなのに室内空間は広く、ボディーは軽いのにしっかりしていて、瞬く間に市場に受け入れられて行きました。
因みにヨーロッパでは「マイクラ」の名前で販売されています。
コンパクトなファミリーユースの車として親しまれていましたが、1985年にはターボ車が登場。1989年にはスーパーチャージャーとターボを搭載した、スーパーターボも登場するなど、レースにも人気のある車種となっていきます。

スーパーターボ
また1987年にはBe-1、89年にはパオ、91年にはフィガロと、マーチをベースとしたレトロなパイクカーが派生。マーチの世界は幅広く広がっていく事になります。

Be-1

パオ

フィガロ
初代マーチのスペック

i・z:703,000円
型式:E-K10
全長×全幅×全高:3,735×1,560×1,395mm
エンジン型式:MA10
最高出力:52ps/6,000rpm
最大トルク:7.6kg・m/3,600rpm
種類:水冷直列4気筒OHC
総排気量:987cc
車両重量:670kg
燃費:10モード/10・15モード:19.6km/L
1989年1月カタログより
2代目マーチ(K11系)

先代が10年ものロングランを果たした後、1992年に2代目マーチ発売になりました。先代のコンセプトはそのままに、フォルムは全体的に丸みを帯び、親しみやすくかわいい印象に。女性受けのいい感じになりました。
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時代はちょうどバブルがはじけた頃。世間の車のニーズが急激に、ハイソカーからコンパクトで低燃費なものへと変わっていった時期と重なり、2代目マーチは以前にもまして大ヒット商品になりました。
エンジンは従来の1,000ccに加えて1,300ccもラインナップ。
1992年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。そして日本車としては初めて、欧州カー・オブ・ザ・イヤーをも受賞しました。

カブリオレ

ボレロ

ルンバ
1997年には幌付きのカブリオレ、チョッとレトロな装いのボレロ、ルンバもラインナップに加わり、マーチの世界をより一層楽しく拡大していきます。
そして98年には、マーチをベースにしたキューブが派生してく事になります。

キューブ
2代目マーチのスペック

i・z:848,000円
型式:E-K11
全長×全幅×全高:3,695×1,585×1,425mm
エンジン型式:CG10DE
最高出力:58ps/6,000rpm
最大トルク:8.1kg・m/4,000rpm
種類:水冷直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量:997cc
車両重量:750kg
燃費:10モード/10・15モード:19.4km/L
1993年1月カタログより
3代目マーチ(K12系)

マーチ誕生20年を経過した2002年、3代目マーチが発売になりました。
先代にもまして丸っこいフォルムとカエル顔の愛嬌のあるルックスで、カラーバリエーションも豊富。可愛くて個性的なインテリアなど、遊び心が溢れる新しいタイプのコンパクトカーとして人気を博しました。
2年目から、これまでマーチの顔として存在していた1リッターエンジンが終了。1,200~1,500ccのラインナップになります。
2004年にはボレロとラフィートが登場。レトロ感のある個性的な顔立ちで、マーチを選ぶ楽しみを豊かにしていきます。

ラフィート
3代目マーチのスペック

12c:1,050,000円
型式:UA-AK12
全長×全幅×全高:3,695×1,660×1,525mm
エンジン型式:CR12DE
最高出力:90ps/5,600rpm
最大トルク:12.3kg・m/4,000rpm
種類:水冷直列4気筒DOHC
総排気量:1,240cc
車両重量:890kg
燃費:10モード/10・15モード:21.0km/L
2003年7月カタログより
4代目マーチ(K13系)

4代目マーチは2010年に発売されました。
このモデルから日本では生産されなくなり、タイ・インド・中国・台湾・メキシコ・ブラジル産のマーチが町を走る事になります。
1,200ccクラスのエンジンには、新たに直列3気筒を導入。
マーチシリーズではお馴染みのボレロの他に、スポーティーなNISMOが加わり、より幅広い層へ、マーチの世界を浸透させていっています。

マーチNISMO
4代目マーチのスペック

12s:999,600円
型式:DBA-K13
全長×全幅×全高:3,780×1,665×1,515mm
エンジン型式:HR12DE
最高出力:79ps/6,000rpm
最大トルク:10.8kg・m/4,400rpm
種類:水冷直列3気筒DOHC
総排気量:1,198cc
車両重量:940kg
燃費:10モード/10・15モード:24.0km/L
2011年6月カタログより
日本の町に馴染むマーチ
1982年に初代が発売されたマーチは、日本車としてはモデルチェンジの周期が長く、その分それぞれのモデルが印象に残り、日本の風景によく馴染むのでしょう。

2017年ヨーロッパでは、欧州版マーチと言うべきマイクラがモデルチェンジされたのを受け、日本でもそろそろされるのでは?と囁かれています。
ただ新型マイクラは少し車体が大きくなっているので、コンパクトカーと言えるのかどうか、3ナンバーのマーチってどうなのか、という疑問は残るところです。
ただ画像を見る限りは、やたらとカッコイイ。売れそうですね。

近年はハイブリッド車や電気自動車など、より低燃費の車に押され気味ではありますが、マーチには、これからも日本の国民的なコンパクトカーとして、確かな存在感を示していって欲しいものです。