そもそも、なんでバス釣りはブームになったのか?
90年代中ごろ、突如として巻き起こったバス釣りブーム。流行した最大の要因といえば、芸能人の釣り好きたちが、メディアでその魅力を喧伝したからに他なりません。
それまでは、どちらかというと「おやじの趣味」だった釣り。ミミズやワームなどのグロテスクな虫を針に付け、大きなクーラーボックスに釣った魚を入れていき、家へ帰ってカミさんに調理してもらう…。そんな釣りバカ日誌的イメージも、ルアーロッドの普及により払拭されます。
エサは不要で、基本的にはキャッチ&リリースなため、クーラーボックスいらず。さらには、ルアーの種類や動かし方によって、釣果が変わるという、ゲーム的操作性も兼ね備えていました。
多種多様なバス釣り用ルアー
What are the types of baits for walleye fishing? - Quora
ブームの発端はキムタクの一言?
こうした、スタイリッシュかつスポーツ感覚でできるバス釣りに、いち早く飛びついたのが、誰あろう、木村拓哉その人です。1995年、キムタクは『笑っていいとも!』にゲスト出演した際、バス釣りの魅力を熱弁。タモさんにはイマイチ伝わらなかったものの、「触れたものを黄金に変える男」キムタクの神通力もあって、瞬く間に注目を浴びるようになります。さらには、反町隆史、奥田民生など、当時、「イケてる」とされていた有名タレントたちが、次々と趣味だと公言したしたことにより、バス釣りは社会現象となっていったのです。
当時、キムタクがやっているものは、何でもカッコよく見えたものです
_台词网
キムタクに便乗して、ブームに乗った糸井重里
糸井重里もバス釣りブームをけん引した有名人の一人。彼は木村拓哉と一緒に釣りへ行くことで、うまくブームの最先端に自分の居場所を確保。『SNEEKER FISHERS』という番組では、定期的にキムタクとのバス釣り対決企画まで放送されていました。
リアルさがアダとなった?『糸井重里のバス釣りNo.1
すっかりバス釣りに魅せられた糸井重里が監修を務めた任天堂のゲームソフト。それが『糸井重里のバス釣りNo.1』です。
このゲームの特徴は、とにかく、リアルさを重視していること。実際のバス釣り同様、ルアー・アプローチの種類が実に多様であり、実戦さながらのルアーフィッシングを楽しめるのがポイントでした。さらには、季節や水温によって変化する魚の活性・深度、産卵期・回遊の周期なども再現して見せ、玄人の釣り好きを唸らせたものです。
糸井重里のバス釣りNo.1
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しかし、バスがヒットするまでBGMもなく無音、大物がかかった際、釣り上げるのに数十分を要するなど、あまりにも現実へ忠実であるがために、ライトにゲームを楽しみたい層には浸透していかなかったのも事実。結果、値引きシールが貼られた大量の在庫が、大手百貨店のおもちゃ売り場並びにゲームショップのワゴンコーナーに、山積みされることとなったのでした。
見たことありませんか?この釣りゲーム!
『糸井重里のバス釣りNo.1』とは対照的に、簡易的にバス釣りを体感できるおもちゃとして、流行ったのが、この形状のゲーム機。
『バスチャレンジャー』『バスフィッシャー』『Bass Fishin’』など、さまざまなメーカーから名称をアレコレと変えて発売されていましたが、操作性はどれも一緒。ルアーを数種類の中からセレクトし、湖に投げ入れ、バスが引っかかったら、右側のリールでグルグル巻くというシンプルな仕様です。ゲームソフトよりも比較的安価で購入できたこともあり、かなり流行りました。
バスマスターズ
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Bass Fishin’
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月刊コロコロコミックで連載されていた『グランダー武蔵』
釣り漫画の元祖と言えば、1973年から10年間にわたり『週刊少年マガジン』で連載された『釣りキチ三平』でしょう。その平成版とでもいうべき釣り漫画が『スーパーフィッシング グランダー武蔵』です。
バス釣りブームに乗っかって、1996年11月号~2000年2月号にかけて連載を開始した同作。アニメ化された後に、バンダイから作中で登場するルアーが発売されるなど、けっこうな人気を博していました。
そういえば、『地獄先生ぬ~べ~』の作者も、あの時期、バス釣り漫画を連載していたものです。すぐに打ち切りになっていましたが…。
グランダー武蔵
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1995年から2009年まで放送された、ガキ使の『芸能人釣り選手権』
年に1回の恒例企画として、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』で放送されていた『チキチキ芸能人釣り選手権』。糸井重里はもちろん、奥田民生、江口洋介、浅野忠信など、かなり豪華な顔ぶれが河口湖や山中湖に集結し、毎年、バス釣りに興じていました。
チキチキ芸能人釣り選手権の様子
ガキの使いで一番おもしろいシリーズ | おすすめ速報|おすすめ情報まとめブログ
他にも、吉井和哉や徳永英明、哀川翔など、「えっ、この人もバス釣りするんだ…。というか、ガキ使出るんだ…」と思うような、意表を突くゲストの人選も楽しかったりしたものです。
(こじへい)