『ガンプラり歩き旅』その19 ~初期ガンプラのラストを飾る戦艦サラミス!~

『ガンプラり歩き旅』その19 ~初期ガンプラのラストを飾る戦艦サラミス!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする大好評連載の第19回は、地球連邦軍の量産型戦艦・サラミスの紹介!


今、ソロモンを前に集結する、サラミス艦隊!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。
今回は、地球連邦艦隊を支えた量産型戦艦サラミスの、1/1200キットの紹介です!


サラミス 1/1200 1983年3月 300円

やはり最終決戦をイメージして描かれたボックスアート。マゼラン、ジム、ボールという布陣の中に浮かび上がるサラミスの艦姿!

『機動戦士ガンダム』(1979年)とガンプラが、初動において込めた怨嗟と保険が混濁し、それゆえガンプラ第1シリーズのトリを飾った宇宙巡洋艦、それがサラミスだ!

サラミスから発進するジム小隊!

テレビのガンダム後継枠では、既に『聖戦士ダンバイン』(1983年)の放映が始まろうとして、バンダイのプラモデルもダンバインをはじめとしたオーラバトラーへ主力が移り、ガンプラも、さすがにもう、アニメ制作時のデザインやラフスケッチネタも、逆さに振っても出てこないということで、これ以降は「ジョニー・ライデン少佐専用高機動型水中戦用デザートザクキャノンプロトタイプ」みたいな「ねぇよ!」っていうMSVへ移行していくのだけれども。

真横から見たサラミスのシルエットは、典型的な没個性的宇宙戦艦である

某宇宙戦艦ヤ〇トっぽい角度から。同じ角度でも、こちらはあまり強そうには見えない(笑)

おそらく1/60量産型ゲルググと共に、この月に発売されたこのサラミスが、90年代のリメイクガンプラ以前の“第一次ガンプラブーム”においては、最後の「アニメ『機動戦士ガンダム』登場メカのプラモデル化」だったという。
ある意味、ガンダムとムサイで始まったガンプラがゲルググ(ジオンモビルスーツで一番ガンダムに性能が匹敵する)とサラミス(ガンダム世界で一年戦争当初から、ムサイと戦艦同士で両雄だった連邦軍の戦艦)で終わるというのは、象徴的で粋だなぁとは思ってみたり。

連邦軍の戦艦同士、マゼランと共に主砲攻撃!

ちなみに、1983年に株式上場に向け、バンダイは本社を存続会社としてグループ8社の合併を行ったため、合金ブランドのポピーがバンダイに統合されて消え(後に復活するポピーは事実上別ブランド)、合金とプラモデルが自社グループ内で競合することがリスクととらえられたのか、ガンプラはこの時期までずっとベストメカコレクション(かいつまんで言えば、超合金のプラモデル版ブランド)の一ラインナップという立ち位置を崩していてはいなかったが、ここへきてガンプラだけは単独でMSVシリーズへ移行継続。

アニメロボットのプラモデルシリーズは、そのMSVと、1983年放映中の『聖戦士ダンバイン』の展開に絞り込み、ベストメカコレクション自体は、サラミス発売後の、『科学戦隊ダイナマン』『光速電神アルベガス』(共に1983年)の、ダイナロボとアルベガスで終了している。

ア・バオア・クーでの最終決戦。サラミス艦隊の集中砲火がジオンを襲う!

余談だが、旧ポピーのヒット商品怪獣ソフビのキングザウルスシリーズが1981年春に終了し、1983年から改めてバンダイから、ウルトラ怪獣シリーズなるソフビ怪獣シリーズが始動したのも同じ事情からである。
またこの1983年に、『機動戦士ガンダム』の放映時のメインスポンサーだったクローバーが倒産している。

俯瞰で見るサラミス。主砲や銃座の配置が良く分かる

さてこの1/1200 サラミスキット。
シリーズ最後半での発売という、完全に時機を逸したタイミングといい、マゼランやザンジバルといった「名有りキャラ搭乗」もなかったマイナー雑魚戦艦だからか、出荷数はガンプラとしては最少クラスの11万個。
これがどの程度かっていうと、戦艦ガンプラ中最低であるばかりではなく、むしろ腐女子要素のある女子ぐらいしか買わなかったかもしれない、1/20キャラコレのガルマ・ザビとほぼ一緒という数字。

艦橋付近のディテールとパーツ構成の完成度は高い

1/144モビルスーツガンプラでは、最低記録がゾゴック(アニメ未登場)の39万個なので、数値的にはアニメの没モビル・スーツに、トリプルスコア以上の格差で負けたという現実。
1/100でようやく、リアルタイプ・ジムがほぼ同じ出荷数という残念さが涙を誘う。

サラミスのリアビュー。ノズルは単発。マゼランより下位の戦艦であることがデザインでも分かる

しかし、キットの出来そのものの方は、さすが円熟期のガンプラ。バンダイ得意の戦艦キットということもあって、2005年発売のEXモデル版にもひけをとらない、いやアニメデザインにおいてはむしろこっちの方が忠実な出来と言い切ってもいい。
艦前後に3門ずつある主砲は、全て回転と砲の上下可動が可能。
6座12門ある機銃もパーツの抜けが良く、艦のシルエットも、没個性的かつスパルタン“ではない”サラミスの特徴を巧みにとらえて再現してある。
パーツの合いに関しては、金型が作られてから30年以上経っての再販品だからか、元からなのか、艦底部のあずき色のヒレ(?)のようなプレートパーツのラインが、接着するべき艦底のラインと全く合わず、四苦八苦の末に艦前方に大きな隙間を残して、他の面をすり合わせて接着した苦労がある。
その他は、艦橋部分のパーツの分割や精度など、スケールモデル級の出来栄えは、この時期のガンプラ戦艦シリーズの水準で成り立っていて組みやすかった。

艦前方の真上から見下ろしたサラミスの全体像。艦体両脇のミサイルランチャーの発射角度が、すぐ前の主砲を避けるように設置されている等、芸が細かい

ちなみにサラミス艦は、マイナーチェンジを繰り返して、『機動戦士Vガンダム』(1993年)の、宇宙世紀0153年にも登場していることから、70年以上現役の戦艦として、ガンダム史の中でも唯一この部分でだけスポットが当たっているメカであったりする。

キット製作に関しては、今回もキット成型色を残して、他の赤茶色や黄色部分だけを追加塗装。
砲塔の可動は、かなり金型にガタがきているのか、ゆるゆるではあるのだけれども、重力に負ける方向へ傾けて撮影することもないとは思い、砲身を砲台に接着はしたが、砲台を艦本体には接着はしていない。

これまでにも書いてきたが、ガンプラはこのタイミングでの、1/1200 サラミスと、1/60 量産型ゲルググの発売を以て、アニメ版『機動戦士ガンダム』(1979年)及びその劇場用映画に登場したモビルスーツや艦船、モビル・アーマーのキット化を一度終了する。
ガンプラブームの流れは既に、よりプラモデルマニアやミリタリーファン向けに特化した、架空の設定のモビル・スーツ・バリエーション(MSV)へと、ガンプラの主力は移動し始めており、『プラモ狂四郎』等の漫画や、プラモデル雑誌メディアとコラボしたオリジナルモビルスーツが商品化され、そして1985年のアニメ続編『機動戦士Zガンダム』の満を持した登場を迎えるのである。

ちなみに『Zガンダム』始動直前の1984年末には「1/100 ガンダム」の最終リベンジともいうべき、1/100 パーフェクトガンダムが、MSVから発売された。パーフェクトガンダム自体は『プラモ狂四郎』漫画内のキャラだが、専用装甲を全て取り外すと、4年間の技術の進歩を全て注ぎ込んだ、フルアクションのRX-78 ガンダムが完成するという仕様で、これもガンプラの一つの区切りだったのかもしれない。

Zガンダムのガンプラ群は、MSVや『重戦記エルガイム』(1984年)のヘビーメタルプラモデルで蓄積してきた、可動関節システムやポリキャップなどが標準装備されるようになり、その後も次々にガンダムは新作が作られ、それと共にガンプラもリリースされ、進歩を辿っていくことになる。

とりあえず、『ガンプラり歩き旅』は、あくまで「初作『機動戦士ガンダム』の立体物を追い求める旅」であるため、このキットを最後に、第一期ガンプラブームの商品の製作と紹介を終えて、後は90年代以降の、HGUCや完成品フィギュアアイテム、EXモデルなどの紹介に移行していこうと思っている。

『ガンプラり歩き旅』新展開の次回はまず、今や幻となってしまった、37年間のガンプラの歴史の中で、唯一公式アナウンスで絶版を宣言された“あのガンダム”が登場する!
乞うご期待!

市川大河公式サイト

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