不滅の人気を誇る、記念すべきファーストの主題歌
モンキー・パンチによる漫画『ルパン三世』の連載スタートは古く、今から50年以上前に遡ります。青年漫画雑誌『漫画アクション』(当時は「週刊漫画アクション」)誌上で、1967年8月から1969年5月にかけて連載されていました。
最初にアニメ化されたのは、1971年(テレビ第1シリーズ)。オープニングテーマは、現行のジャズピアニスト・大野雄二によるもっともポピュラーな楽曲ではなく、数々のテレビドラマ・アニメを手掛けた音楽家として知られる、山下毅雄の作曲・編曲となっています。
レコードで発売されていながら、第1~3、9話という、都合4話しか放送されていないという幻のこの曲。しかしながら、原作のダークな雰囲気をまとったファーストシリーズが、ファンから支持されていることもあり、かなり知名度は高いようです。
第1シリーズで使用された佳曲、『AFRO "LUPIN '68"』と『ルパン三世主題歌3』
たった23話ながら、第1シリーズは3回主題歌の変更を行っています。『AFRO "LUPIN '68"』が使用されたのは、第4~8、10~15話の計11話。『ルパン三世主題歌3』は、第16~23話の計8話使用され、“初期ルパン”を大いに盛り上げました。
人気を確立した第2シリーズ
当時は大人向けの作風がウケず、半年あまりで終了した第1シリーズ。しかし、再放送をきっかけに、次第に『ルパン』は市民権を得ていきます。人気を決定づけたのは、第2シリーズ(1977年10月~1980年10月放送)。ルパン=「赤いジャケット」「おちゃらけたキャラ」という、現代まで続く一種のステレオタイプ的アイコン化が確立されたのは、このシリーズから。今に続く人気のルーツといえるでしょう。

誰もが知る「ルパン像」が確立された
ルパン三世 2nd series 1977 - iPhoneアプリ | APPLION
音楽は山下毅雄から大野雄二へ。そして、あの曲が登場
このシリーズより、前任の山下毅雄から大野雄二へとバトンが渡され、以後、ルパンの音楽は大野へ一任されるようになります。そして完成したのが、国民的アニメ主題歌として名高い、「ルパン・ザ・サード♪」でお馴染みの『ルパン三世のテーマ』です。
ジャズ・ファンクテイストの強いアップテンポなこの主題歌は、ルパン三世という作品を引き立てるうえで、これ以上ないほど重要なスパイスとなっていることに、異論をはさむ余地はないでしょう。
真っ赤な~♪バラは~♪でお馴染みの、ボーカル・バージョンも登場!
先述した『ルパン三世のテーマ』は、第2シリーズ第1話〜第26話まで使用されました。続く第27話〜第51話まで使用されたのが、アメリカ系日本人の歌手・藤原喜久男ことピートマック・ジュニアによるボーカル入りバージョン。歌詞は、なかにし礼の弟子で、山口百恵や麻丘めぐみ、殿さまキングスの作詞もつとめた千家和也が手掛けました。
「真っ赤な~♪バラは~♪あいつの~♪くちびる~♪」という印象的なフレーズは、当時、多くの子供たちがマネしたものです。
本当は水木一郎が歌うはずだった、ボーカル・バージョン
なお、このボーカル・バージョンには余談があります。なんでも、最初に録音したのは、アニソンの帝王“アニキ”こと、水木一郎が歌ったバージョンだったのだとか。しかしながら、水木の歌唱は採用されず。代わりに起用されたのが、ピートマック・ジュニアだったというわけです。
オープニングは担当できなかったものの、主題歌と同じ作曲・編曲:大野雄二×作詞:千家和也のコンビによるエンディングテーマ『ルパン三世 愛のテーマ』の歌唱は、水木が担当。同曲はEDにピッタリなしっとりとしたスローバラードで、ルパンや次元が醸し出すハードボイルドな男の色気を歌っているかのような名曲です。
好きか、嫌いか…意見が分かれる『ルパン三世 PARTIII』
1984年3月3日から1985年12月25日にかけて放送された『ルパン三世 PARTIII』。ファンの間で通称“パースリ”と呼ばれる本作は、作画の統一性がなく、また、第1、第2シリーズと比べて大きく絵柄が変わっていることもあり、ちょっと受け付けないという人も多いようです。
けれども、大人向けの話が多い同シリーズに愛着を抱くファンも少なくなく、もっとも意見がわかれるシリーズといってもいいでしょう。

パースリ作画スタッフにかかれば、クールな次元もこんなにお茶目に…。
作画の統一性の無さでお馴染みルパンのパースリで、特に作画が崩壊してると思うのが柳野龍男さんが担当の回(http://p.twipple.jp/3Gbt3)だと思うのだけど、この次元の可愛さだけは認めざるを得ない…!しかも「ん?」って言いつつこの顔! |薮井の投稿画像
あまり知られていないパート3のオープニング『セクシー・アドベンチャー』
『ルパン三世 PARTIII』のオープニングテーマは、『セクシー・アドベンチャー』という楽曲。こちらも相変わらず、大野雄二の作曲・編曲ですが、作詞は千家和也ではなく、梅沢富美男、弘田三枝子などに詩を提供する作詞家・宮原芽映が担当。80年代ならではの歌謡ロックテイストムンムンの、メロディアスな曲に仕上がっています。
以上のように、良曲だらけのルパンシリーズ。再放送やDVD、動画コンテンツなどで過去の作品を見るならば、これらのテーマソングも飛ばさずにじっくりと聴いて、ルパンの世界観にどっぷりとつかりたいものです。
(こじへい)