7人乗りの元祖ミニミニバン、スバル・ドミンゴ

7人乗りの元祖ミニミニバン、スバル・ドミンゴ

トヨタ・シエンタとホンダ・フリードの相次ぐフルモデルチェンジで、活況を呈しているミニミニバン市場。扱いやすいサイズと、いざというとき役に立つ7人乗りは非常に便利で、人気なのも頷ける。しかし1980年代、その先駆けともいえるコンパクト1BOXカーがあった。スバル・ドミンゴである。


スバル初の多人数車、ドミンゴ

【画像提供:カーセンサーnet 】

初代スバル・ドミンゴ。サンバーがベースなのは、車にちょっと詳しい人なら、一目見ただけで分かるだろう。写真はサンサンウィンドゥを採用した後期型。

スバル ドミンゴ 1.2 GXサンルーフ サンサンウィンドゥ 4WDの基本スペック|中古車なら【カーセンサーnet】

1983年に発売されたスバル・ドミンゴは、富士重工業(現・スバル)初の多人数車であった。

当時、同社の普通車はレオーネしか発売しておらず、2車種目の普通車でもあった。しかし、一からの開発ではない。ベースとなったのは、前年にフルモデルチェンジした軽1BOXカーのスバル・サンバー。ノーズを伸ばしただけのボディなのは、外観から一目で分かった。

エンジンは直列3気筒1000cc・48馬力。駆動方式は2WD(RR)と、当時の1BOXでは珍しい4WD(パートタイム式)が用意された。ただし変速機は5MTのみである。車内は7人乗りで、前から2+2+3人掛けのレイアウトだった。

【画像提供:カーセンサーnet 】

小さな車内に3列シードが配されたドミンゴの内装。2列目は2人掛け、3列目は3人掛けで、リクライニングはいずれも一体式になる。

ドミンゴ(スバル)のカタログ|中古車なら【カーセンサーnet】

1986年には、4WD車がフルタイム式に変更されるとともに、エンジンが直列3気筒1200cc・52馬力に強化された。また、サンルーフ車にはスライドドア上部の肩部に窓を配したサンサンウィンドゥが追加され、RVらしさが高まった。上級グレードには回転対座シートが設定され、セカンドシートを畳んでテーブルとし、1列目と3列目で向かい合わせに配することができた。

家族は多いけど自家用車の予算を抑えたい人、車庫は狭いが普通車がほしい人、山里の小道の先にある旅館の送迎用など、このサイズならではの需要に応えた。

初のフルモデルチェンジで2代目に

ベースとなったサンバーは、1990年にモデルチェンジして5代目になったが、ドミンゴは引き続き生産が継続された。

そして、初代の登場から11年を経た1994年、ようやく2代目に移行した。引き続きベースはサンバーであるが、安全性の向上が社会問題になっていた時期のため、シャシーを強化して前面衝突に対する安全性能を強化。前後ともに大型バンパーが採用された一方、ボディはサンバーのままとなった。

【画像提供:カーセンサーnet 】

ベースとなった5代目サンバー。RVブームもあり、軽1BOXのデザインも華やかになった。

スバル サンバーディアスバン 660 Sサンサンルーフの基本スペック|中古車なら【カーセンサーnet】

引き続き2WD(RR)と4WDが設定されたが、エンジンはどちらも直列3気筒1200cc・61馬力で統一。変速機は5MTのほか、ECVT(無段変速機)が選べるようになった。昨今、各社でCVTは普通に採用されているが、当時は日本ではスバルのみが採用している技術だった。

サンルーフ&サンサンウィンドゥは、サンバーと同様に運転席上部をガラスとし、サンルーフ部分は肩部から開口するサンサンルーフに変更された。シート配置は引き続き2+2+3列配置を採用。上級グレードには回転対座シートが引き続き設定されたが、3列目中央のアームレストは廃止された。

【画像提供:カーセンサーnet 】

大型バンパーが特徴の2代目ドミンゴ。1・2列目がガラス天井になるサンサンルーフや、大型バンパー上部のバーがRVらしさを演出する。

スバル ドミンゴ 1.2 アラジン キャンパーの基本スペック|中古車なら【カーセンサーnet】

RVブームは初代の時代以上に高まっており、1996年には屋根を430mmリフトアップできる特装車「アラジン」を追加。ロフト風のルーフベッドにでき、これをベースにしたキャンパーも発売された。

特装メーカーの桐生工業が製作したアラジン。天井が430mmリフトアップする。

スバル・ドミンゴ - Wikipedia

ライバル不在のまま2代15年製造される

【画像提供:カーセンサーnet 】

2代目ドミンゴのリアデザイン。バンパーが長いほかは、普通のサンバーと同じである。

スバル ドミンゴ 1.2 アラジン キャンパーの基本スペック|中古車なら【カーセンサーnet】

1998年10月、ドミンゴの製造が終了した。これには、同年度の軽自動車の規格変更で、サイズや安全性がほぼ同等になることが背景にあった。

15年間ライバル不在で、独自のポジションを築いたドミンゴだったが、製造中止をした翌99年には、ドミンゴと同様に軽1BOXをベースにした7人乗りが各社から発売された。三菱・タウンボックスワイド、スズキ・エブリイ+(プラス)、さらに2000年発売のダイハツ・アトレー7である。これらは、軽自動車の規格変更で普通車エンジンを搭載するようになったもので、ドミンゴとは逆のスタンスであった。

三菱(MI) タウンボックスワイド

三菱 タウンボックスワイド 1.1の基本スペック|中古車なら【カーセンサーnet】

しかし、ライバルの乱立、さらにホンダ・モビリオ(フリードの前モデル)や日産・キューブ・キュービック、トヨタ・シエンタなど本格的な小型普通車の7人乗りが登場したこともあり、いずれも2005年までに姿を消した。

初代ドミンゴが出た頃は、1BOX車は珍しく、ハイエースやキャラバンでさえ、世間の受け止め方は「豪華なライトバン」という程度のものだった。ましてやドミンゴに至っては、軽自動車とどこが違うの?という人も多かっただろう。

その後、1980年代後半にRVブームとなるが、バブル経済とともに訪れたため、格安のミニミニ1BOXは残念ながらヒット作とはなれなかった。当時はトヨタ・タウンエースや三菱デリカのような200万円以上の1BOX車、さらには三菱パジェロやトヨタ・ハイラックスサーフのような300万円以上のクロカン四駆がよく売れていた。

一方でトヨタ・カローラや日産ブルーバードのような100万円台のセダンがまだまだ元気だったため、予算やサイズによほどの制約がある人でない限り、ドミンゴを買う理由はなかったのである。

しかし、状況が大きく変わった現在、ホンダ・フリードとトヨタ・シエンタがミニミニバンの二強としてしのぎを削る市場にスバル・ドミンゴがあったら、どう評価されるだろうか……?

ドミンゴは地味な車種ではあったが、ライバル不在だったからこそ、小さな市場に於いて15年もの長寿をまっとうできた。幸せなクルマである。

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