今回はなんと「お人形さん(まだフィギュアなんて単語は浸透してなかった)」です!

『機動戦士ガンダム』キャラクターコレクション

バンダイ1/20 ガンダムキャラクターコレクション
最初に書いておく!
今回の、大河さんの作例はUPで撮った写真は一枚もない!
例え撮っても載せない! っていうか、UPで載せたらあかん出来のレベルやさかい!(なんで関西弁?)
というわけで、とにかくとっとと解説を始めよう。
今回のガンプラは、メカ系ではなく、登場人物の固定ポーズ、今でいう「組み立て式フィギュア」の、キャラクターコレクションシリーズの紹介です!
アムロ・レイ 1/20 1981年6月 100円
セイラ・マス 1/20 1981年6月 100円
カイ・シデン 1/20 1981年8月 100円
フラウ・ボウ 1/20 1981年8月 100円
イセリナ・エッシェンバッハ 1/20 1981年10月 100円
ブライト・ノア 1/20 1981年10月 100円
時は1981年6月。
もう既にガンプラは「『ガンダム』シリーズの冠があるプラモデルであれば、ロボットだろうと戦艦だろうと武器セットだろうと、なんでも売れんじゃねぇの?」状態に突入していてて、なんていうかランナーズハイみたいな状況に、バンダイ全体が包まれてたんじゃないかって気がしないでもない。それはまぁ、あの当時をユーザーど真ん中で体感していた大河さんの主観でしかないんですけどね。
というか、大河さんが知る限り、70年代のアオシマだかイマイだかの、マスコット系のオマケプラモデルや、4個パック300円系の商品を黎明期以前と捉えると「アニメ登場の、非人間系キャラじゃない、リアル人間キャラの、固定ポーズプラモデル」というカテゴリって、この『ガンダム』のキャラクターコレクション、通称キャラコレがパイオニアなんじゃなかろうか?

時代はまだ、ガレージキットもレジン製品が主流になる前で、僅かにバキュームフォーム製のガレキが手販売されていたレベルの時期。
むしろこの『ガンダム』ブームが終わった辺りから、今の時代にも通ずる「アニメ美少女フィギュア」なんて商品カテゴリも生まれてきたわけで。
1983年ごろになると、『ガンダム』から続いた富野サンライズアニメのスポンサーのクローバーが、『聖戦士ダンバイン』(1983年)に登場した妖精のチャム・ファウのドールだか人形だかフィギュアだか玩具だかを発売しちゃって、挙句にゃ倒産しちゃうし(笑)、翌1984年にはツクダが、今じゃ模型界の黒歴史扱いされている、ジャンボフィギュアシリーズっていう、スケールも1/6だったり1/4だったり半端だわ、チョイス作品やチョイスキャラも、『うる星やつら』(1981年)『魔法のプリンセス ミンキーモモ』(1982年)とかから始まっておきながら、いきなり180度回頭で『大アマゾンの半魚人』(1954年)の半魚人とか『宇宙水爆戦』(1955年)のメタルナ・ミュータントとか、え?「そっち」へ行くの?と思わせておいて、『メガゾーン23』(1985年)とか『幻夢戦記レダ』(1985年)とか、OVAの美少女キャラへシフトするとか、わけわかんないシリーズもあったわけで(この商品カテゴリに関しては、黒い話とか都市伝説とかを、コラム一回書ける分のネタはてんこ盛りなんだけど、この連載自体がガンプラネタなんで、これ以上知りたい人は、ぜひミドルエッジ担当へリクエストを(笑))、そういう意味でもあらゆる意味でも「一足早すぎた」商品といえなくもないのが、この『ガンダム』のキャラコレシリーズなのである。
さて、この1/20キャラコレシリーズ。
まずはガンプラが1/144でガンタンクやリック・ドムを発売し続けて、ノリに乗ってる1981年の6月に「お試し販売」みたいな枠で、アムロ、シャア、マチルダ、セイラの4人が発売。
一応共通フォーマットとしては、「造形ポーズは、設定書でのメインの立ち姿そのまま」であることと、「メーカーサイドのプロが作って塗ってみせたお手本の見本を見ても、仮面で目が隠れてるシャア以外は他人の空似にしか見えない」ところ(笑)

箱裏の完成見本
まぁアニメ系フィギュアなんてものは、その後90年代になって『美少女戦士セーラームーン』(1992年)のガレージキット系フィギュアが一気にクオリティを増すまでは、「アニメは二次元なんだから、三次元でフィギュア化しても限界がある」と洗脳されていたわけで、あまつさえ前例がない黎明期のキャラコレ時代であれば致し方なし、というのがまぁまっとうな反応であった。
だから、なのか。これもいける、と謎の判断をしたからなのか、キャラコレは2か月後のカイとフラウの発売を経て、さらに2か月後の10月には、ガルマ、イセリナ、ブライト、ララァとラインナップを一気に倍増させて、そして、発売されたときのように、また突然、ガンプラの歴史から消え去ったカテゴリなのである。

それでも、シミルボンの再現では、『機動戦士ガンダム』オープニングのアムロの、この青いノーマルスーツの画像を

こう再現してみたり(ポーズが固いねぇ)

同じくオープニングから、コア・ファイターのコックピットから、決めポーズでサムズアップ!

でもまぁ、このキャラコレだと、こんな感じになります。あ、頭部はPEPSIペットボトル版の物と挿げ替え合成してあります。
結局、なんだかんだと僅か10人の商品化で終了。当時のアニメフィギュアの技術的限界と、およそ1/20ってスケールでアニメフィギュアの瞳まで塗装しろとか、ガンプラユーザーを買いかぶり過ぎた仕様のためか、そりゃもう、田宮人形改造コンテスト入賞レベルのユーザーが数万単位でいるわけもなく、つつがなく「売れなくて」シリーズも10点で終止符を打つのだが(というか、それでも10個商品が市場に送り出された事実の方が驚きだが)、そこでの10人のラインナップの選び方が、あからさまにおかしい。
今の目で見てもおかしいし、当時現役のガンダムオタク、ガンプラヘビーユーザーだった大河さんの記憶で考えてもおかしい。
第一弾の、アムロ、シャア、マチルダ、セイラは、まぁ鉄板というか、定石だろう。
第二弾の、カイとフラウ・ボゥも、そりゃレギュラークルーだから納得もいく。
問題は10月の第三弾だ。
ガルマは、まぁ妥当だろう。ブライトとララァも、シリーズのウェイトとしてはアリだろう。
しかし、残る一人。残った一枠が、なにゆえ、イセリナ・エッシェンバッハ!?
イセリナって、当時そんなにアニメファンとかガンダムファンに人気あったっけ!?
確かに「せっかくガルマが出たんだから、その脇に並べたくなる女性キャラを」っていうプレゼンコンセプトは分からないでもない。
でも、イセリナの前に、出すべきキャラはもっといるでしょう! 優先順位的に!
仮に「キャラクターのフィギュアなんだから、“お人形さん”ってぇことで、女性ユーザー獲得を狙ってみよう」だとしても、確かにガンダム人気を初期に広げたのは、シャア×ガルマとかが好きな、女性アニメファンだったかもしれないが、あのお嬢さん達はむしろ、美青年同士のカップリングにしか興味はねぇ生き物だぞ!?
っていうかそもそもイセリナって、贔屓目にみても、決して女性受けがいい女性キャラじゃねぇだろう!
“そういう意味”でも、“発売された男性キャラとのカップリング”って意味でも、“ホワイトベースのレギュラークルー”って意味でも、そこはまずは先にミライさんなんじゃないんすか?
バンダイが、フィギュア展開でのお得意の「シリーズ初動でマイナーキャラを出す商法」を覚えたのは、90年代後半のフィギュアバブル期以降でしょう?
イセリナが悪いって言ってるんじゃない! そりゃ「そんなキャラ出しても売れないよ」っていうんだったら、レギュラークルーのリュウやハヤトだって売れなかっただろうよ!(暴言)
けどさぁ! なんていうか、イセリナを出す前に、ランバ・ラルを出すとかすれば、カップリングでハモンさんも出せたかもしれないし、ギレン・ザビだって、キシリアとセットで出せたでしょう? っていうか、ザビ家からガルマしか出ないって、この後シリーズ続ける気があったのか!?
でもまぁ、ブームってすごいもんで、こんなキャラコレでも、メカには疎い女子系に、組むだけで持てはやされたのか、アムロとシャアは一応、44万個の出荷数を記録している! 続いてセイラとマチルダのヒロインコンビが28万個で、カイとフラウのレギュラーコンビが21万個で、ララァとイセリナの単発敵側女子キャラが12万個で、結果、ガルマとブライトさんが11万個でビリを分け合った結果となった(笑)
当時のガンプラで44万個の出荷数ってどの程度の成績なのかというと、1/144では、量産型ゲルググと同数。ちなみにその下には、ゾゴックなる「アニメには出てねぇよ、お前!」しかおらず、栄えあるトップの1/144 ガンダムの585万個の1割にも満たない。
1/100で見てみると、アッガイの50万個と旧型ザクの43万個に挟まれる位置。
アムロとシャアでさえ、1/100アッガイに負ける数字というのが現実だった。

というわけで、今回作ってみた6人。これ以上のUPには耐えられない……

女性陣の方がさらにハードルが高いわけで。イマドキの食玩フィギュアとかのアイプリとかが羨ましいですよ、えぇ
で、まぁ。
話を進めれば、なんで今回、模型製作技術も、塗装技術も37年前の中学生レベルの大河さんが、キャラコレなんかに手を出したかというと。
シミルボン『機動戦士ガンダムを読む』連載での再現で、まぁ当初はガンダムVSシャア専用ザクとかグフとか、トリプルドムとかのメカシーンだけで終わらそうと思ったんだけど、イマドキは食玩とかで、アムロやセイラやシャアのフィギュアで良いのが出ていて、それらでドラマシーンも出来るじゃないかと。
また、他方でバンプレストが、ガンダムビネットコレクションなるプライズ品を出していて、これが地味に、登場人物たちの名シーンをビネットで再現してくれている。
そんでもって、またまた一方でPEPSIボトルキャップからは、ギレンやランバ・ラル、ララァなどとともに、ノーマルスーツのアムロとかも出てたんで、これ、上手く使えばコックピットの会話や名台詞のシーンも再現できるなとか思い出したんで、さぁもう止まらない(笑)

本当にね、ブライトやカイはともかく、アムロのノーマルスーツを来たお兄さん、あんた誰やねんという……
あれやこれやと集めていくうちに、ザビ家はそろった、アムロやシャアはあまるほどいる(笑) 意外とブライトさんもあったし、サイズは小さいけどミライさんもいる。
マチルダさんは集めても集めても「敬礼ポーズ」しかないので意味がないのだが(笑)、スレッガーさんはチェスピースコレクションがあるし、レビル将軍とワッケインさんには出番をあきらめてもらうが(ひでぇ)、レギュラーで名場面出演も多かったのに、フィギュア人気もありそうなのに、意外となかったのがフラウ・ボウ。そしてカイ・シデンさん!

キャラ設定画の、嫌な奴的表情が気になるカイ

セイラさん。若干目つきがリアルハリウッド女優のスパルタンな人みたいになっちゃった……
フラウはまだ、チェスピース版があったが、アレはほっかむりをしてるので『哀・戦士編』冒頭でしか使えず、あとFEコレクション版は、腰に手を当てて怒ってるポーズなので、こちらも“出撃を嫌がるアムロを叱咤するシーン”以外で使えない。
カイさんに至っては、ビネットコレクションで、ミハルが死んだときの名場面はあったんだけど、他にはマスプロ商品では存在しないらしく、カイを演じた声優の古川登志夫氏が、カイ関連のフィギュアを片っ端から集めてると伺ったが、その古川氏のフィギュア棚をネットで見ても、そのビネットコレクションの他はカイじゃなく、カイが乗ったガンキャノンばかりが並んでいるので、どうやら本当に存在しないっぽい(ここまでの話、今風にアレンジされた美少女フィギュアやパロディフィギュア、ベアブリックなんかのディフォルメフィギュアや、基本入手困難な一日版権のガレージキットなんかを抜かします)。

ブライトさん。うん、一番最初に手を出したのがブライトさんで、だってブライトさん、「目を描く」のが楽そうだったから(笑)
そうなると、カイとフラウに関しては、むしろ30年以上前のキャラコレにまでさかのぼった方が、ポーズも素立ちだし、汎用性が高い。
実はこのキャラコレ。
ガンプラに思い入れがある人には忘れられないインパクトだけはあった商品枠だったもんだからか(笑)1999年の年末に「20th Anniversary ガンダムキャラコレボックス」として、クリア成型で10体セットで復刻?再販?されている。
それでもまぁ、プレミア価格までは(復刻後17年経ってる今でも)いかないので、腹をくくって大河さんこれを購入。
まぁ、実はこのシリーズ、アムロとカイにはヘルメットも付属しているので、首をヘルメットに挿げ替えて、塗装を変えれば、ノーマルスーツ姿のアムロをリペイントした「首から下だけカイ」や「首から下だけスレッガーさん」になることも可能だし、セイラさんのフィギュアはイマドキはいくらでもあるが、どれもポーズが凝り過ぎているので、ホワイトベースの女性制服の素立ちはキャラコレが一番無難なので、ミライさんの素立ち画像を創るときに、セイラさんのフィギュアの「首から下」だけあればOKだなとも思えるわけで。同じことが、カイの首から下にも言えるとか、あらら、ちょっと死ぬ気になって頑張って塗装さえすれば、意外と使い道がありそうじゃない?という話になるわけ。

女性陣。フラウの眼を可愛く描くのはさすがに無理だったけど、この写真のサイズならなんとなくフラウに見える? イセリナさんの「あんた、誰?」感が素晴らしい!
もちろんね。造形は37年前だし、大河さんの塗装の腕も「37年前の中学生」レベルだから、基本「UPにしちゃいけない出来」にしかならないし「ロングだったらまぁ許せる」範囲にしかならないんだけど。
まずはブライトとカイに挑戦してみて、一応仕上がり的には「このフィギュアが、ブライト(カイ)に見えるか、重機動メカアディゴに見えるか、どっちか」で5000人にアンケートをとれば、たぶん23票差ぐらいで「ブライトに見える」「カイに見える」が勝つんじゃないかってレベルにはたどり着けたと思う。

ここからはデジラマ編。まずはガンキャノンのコックピットで、目前に迫るランバ・ラルのグフに恐怖するカイ! この辺りはシミルボンでご覧ください!

イセリナの初登場のパーティシーンから。だから、あんた誰……
で、一度「既に顔はいくらでも挿げ替えられるんだから」で、セイラさんの顔を塗装してみて自分で自分の腕をテストしてみて、気合を入れてフラウ・ボウにチャレンジ!
結果……。まぁ……。20000人に「これはフラウ・ボウのフィギュアに見えますか? それとも老舗和菓子屋舟和の芋ようかんに見えますか?」でアンケートをとれば、多分6票差ぐらいで、「フラウに見えないこともない」が勝つだろう出来に着地。
商品の固定ポーズ的には、設定画にあった「医療バッグを身体の前で、両手で抱えてるポーズ」なもんだから、手つきが怪しすぎるポーズになってしまったが、無いよりマシ! ……と思おう!
最後「せっかくセットで買ったんだし」と、イセリナ・エッシェンバッハを作っちゃったんだけど、これ、20万人に「これ、イセリナに見える? それとも『ルパン三世』の峰不二子に見える?」でアンケートとったら、18万人ぐらいから「どっちでもいいけど、どっちにも見えない」と棄権票をくらうレベルだよね……。
「37年前のバンダイ造形レベル」と「37年前の中学生の塗装レベル」のコラボってすげぇなぁヲイ!

ギレンの演説に「何をいう! ザビ家の独裁をもくろむ男が何を言う!」とキレるブライトさんの仁王立ちのホワイトベースブリッジ。ちなみにこのカットでキャラコレは、フラウと、アムロの「首から下」だけで、ブライト、ミライ、セイラはイマドキのフィギュアから

「恋人さんですか?」「まあそんなもんだ」アムロはやはり首すげ替えだけど、ここでのミハルも、首は食玩のフィギュアだけど、身体はキャラコレのセイラさんのボディだったりする。いろいろ使い道は多いのです。
というわけで、今回はある意味番外編でした『ガンプラり歩き旅』
次回はちゃんとメカに戻って、ガンプラ一年戦争モビルスーツ1/144プラモデル中で、最低最悪の冠を欲しいままにしていた「赤い、赤い、赤いアイツ」で行くぞ!
乞うご期待!
追記・そんなハードルまで越えつつも、未だに「仮面をつけたキシリア様」と「レビル将軍」が、どうすることも出来ません! この二人がいないと『めぐりあい宇宙編』での、クライマックスの重要な2つのシーンが再現できません!
誰かこの二人の商品の存在を知っている方、もしくは(塗装された状態の)フィギュアを貸してくださる方がいましたら、まだ間に合います! TwitterかFacebookの市川大河まで、ご連絡ください!
市川大河公式サイト