桑名正博『セクシャルバイオレットNo.1』名曲のタイトルと歌詞に込められた野望とは

桑名正博『セクシャルバイオレットNo.1』名曲のタイトルと歌詞に込められた野望とは

1979年の大ヒットソング、桑名正博『セクシャルバイオレットNo.1』。 当時や近年の歌唱動画や、この曲を桑名正博が歌うことになった経緯、タイトルや歌詞に込められた野望や思惑などを紹介。


桑名正博の代表曲『セクシャルバイオレットNo.1』

1979年に発表された桑名正博の『セクシャルバイオレットNo.1』。
歌謡曲全盛の時代にロックソングでオリコン3週連続1位を獲得した大ヒットソング。

関西のロックシーンでは知られていた桑名正博(当時29歳)は、この曲のヒットで一気に全国区になった。

1979年7月21日リリース
作詞・松本隆
作曲・筒美京平

累計売上は60万枚以上。

『セクシャルバイオレットNo.1』桑名正博

【動画】セクシャルバイオレットNo.1 桑名正博

土壇場で決まった桑名正博の起用。

この『セクシャルバイオレットNo.1』は化粧品メーカー・カネボウの1979年秋キャンペーンソングとして生まれた。

当初、キャンペーンソングを担う歌手は沢田研二か松山千春で進んでいた。
しかし、「もっとインパクトのある歌手を!」というディレクター・小杉理宇造の働きかけで、土壇場で歌のイメージ、バイオレットという色のイメージと一致するということで桑名正博に逆転で決定したという。

カーリーヘアと甘く伸びのあるハイトーンな歌声。
イカツイ風貌なのに、しゃべると関西弁丸出しの親しみやすいキャラクター。
桑名が『セクシャルバイオレットNo.1』を引っ提げテレビに出演するとその人柄自体も話題になり、曲のヒットを加速させた。

さらに、同時期に歌手のアン・ルイスとの熱愛も発覚。
桑名と『セクシャルバイオレットNo.1』の知名度を大きく上げることになった。

1979年8月、婚約発表を行った際の写真

桑名正博(左)とアン・ルイス(右)

曲名&サビの『セクシャルバイオレットNo.1』に込められた意味

意味不明に思える曲のタイトル『セクシャルバイオレットNo.1』には、明確な趣旨が存在している。
化粧品のCMキャンペーンソングは多くが最初からタイトルが決められ、それに合わせて発注される形式だったが、この曲もその流れであった。

『セクシャル』と『バイオレット』については、当時カネボウが紫色系のアイシャドーやリップを売り出しており、その商品を強く意識させるため。

そして、『No.1』については、この曲をCMに使用したカネボウの野望が込められていた。
当時カネボウは資生堂と熾烈なキャンペーン合戦を行っていたが、ずっと二番手に甘んじていた。
カネボウの「次こそはNo.1になる!」という強い意志が込めて付けられたフレーズだったのだ。

作詞を担当した松本隆は、この三つを繋げたインパクトあるフレーズについて「(セクシャル)(バイオレット)(No.1)と、古臭くてダサい単語を3つ並べて 、あえてサビに入れてみた。ダサい言葉でも、サビで思いっきり歌い上げると、逆にかっこよく聞こえる。」とラジオで明かした。

サビの「セクシャルバイオレット~セクシャルバイオレット~セクシャルバイオレットNo.1」とくどいぐらいに繰り返す部分に関しては、一度OKが出た後に「このままでは弱い…。ナンバーワンを強奪するにはもっとインパクトのある歌詞でなければ…。」と、レコーディングの直前でストップをかけて再度やり直した際に付け加えられた部分であった。

化粧品のキャッチフレーズとしても、印象の強い『セクシャルバイオレットNo.1』を用いた。
桑名の歌うCMソングとの相乗効果を発揮し、売り上げを大きく伸ばした。

カネボウ1979年秋キャンペーンCM

桑名正博/歌詞:セクシャルバイオレットNo.1/うたまっぷ歌詞無料検索

結果、曲のインパクトや桑名の話題性により『セクシャルバイオレットNo.1』は大ヒット。
この曲に後押しされてカネボウのキャンペーンも大成功をおさめ、今までずっと二位に甘んじてきたカネボウが、初めて資生堂を抜いて夏のキャンペーン売上「No.1」になったという。

なお、同時期に資生堂のキャンペーンソングとして起用されていたのは柳ジョージ&レイニーウッドの『微笑の法則』である。

フジテレビ『夜のヒットスタジオ』は、番組提供スポンサーがカネボウの競合である資生堂だったため、桑名が『セクシャルバイオレットNo.1』を披露することは一度も無かった。

まさにNo.1になった『セクシャルバイオレットNo.1』

桑名正博の『セクシャルバイオレットNo.1』は、桑名正博にとって初のオリコン1位獲得曲。
さだまさしの「関白宣言」の11週連続1位を阻止し、3週連続1位となり1979年10月度の月間1位も獲得した。
『セクシャルバイオレットNo.1』の次の1位はさだの「親父の一番長い日」であり、本作が1位になっている間も、さだの曲は2位をキープしていた。
結果的に本作はさだの「同一歌手による別作品での連続チャート1位」を阻止したことになる。

TBS「ザ・ベストテン」では7週連続1位だったゴダイゴの「銀河鉄道999」を引きずり降ろし、8週連続1位を阻止する形で1位を獲得。

こうした目立つトップの獲り方で、曲に込められた『トップになる!』の思いをヒットチャートでも体現した。

【おまけ】桑野信義と『セクシャルバイオレットNo.1』対決

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