モハメド・アリ死去。世紀の一戦の戦友・アントニオ猪木がコメント

モハメド・アリ死去。世紀の一戦の戦友・アントニオ猪木がコメント

元ボクシングヘビー級世界チャンピオンのモハメド・アリ氏が死去した。1976年に日本武道館で世紀の一戦を戦ったアントニオ猪木がコメントを発表。本稿では異種格闘技の戦い方の原点とも言える世紀の一戦も振り返る。


【訃報】モハメド・アリ死去。戦友アントニオ猪木のコメント

ボクシング元ヘビー級世界王者のモハメド・アリ氏が3日、アメリカ・アリゾナ州の病院で死去した。74歳だった。

1976年にアリ氏と対戦して引き分けた元プロレスラーで参院議員のアントニオ猪木氏(73)は4日、所属事務所を通じコメントを発表した。

モハメド・アリ ポスター

アントニオ猪木氏 コメント全文

「逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。最近では、体調を崩されているということを聞いて心配しておりましたが、こうして、かつてのライバルたちを見送ることは非常に辛いものです。あの戦いから今年で40年。6月26日が『世界格闘技の日』と制定された矢先の訃報でしたので残念です」

1976年 アントニオ猪木vsモハメド・アリ

1976年(昭和51年)6月26日、日本武道館で「格闘技世界一決定戦」と銘打ってマッチ・メイクされた世紀の大一番とされる試合。
当時の日本のプロレス界のエースであるアントニオ猪木と、ボクシングのWBA・WBC統一世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリによる世紀の一戦と騒がれた。

この発言は口が達者で「拳と口で戦う男」と呼ばれたモハメド・アリのリップサービスだった。
しかし、アントニオ猪木が反応し、決戦をけしかけた。

「誰か俺様を倒す東洋人の格闘家はいないか?」

試合前からお互いに「口撃」でヒートアップ!

1976年(昭和51年)6月16日、アリが来日。羽田空港には2000人のファンが押し寄せ、大混乱の状況だった。

6月18日の会見では、両者がヒートアップをしており、アリのビッグマウス(リップサービス)がさらにそのムードを煽った。
「猪木の汚い顔は見たくない」「俺は世界一有名な男。猪木は俺と戦ったおかげで有名になる男」など、会見中は止まることなく猪木を挑発し、その口を閉じることはなかった。
また、アリは猪木に本気の力でプロレス技のヘッド・ロックを仕掛けたり、ジャブを打って見せたりと大はしゃぎであった。

しかしながら猪木も「アリにプレゼントがある」と言って松葉杖を贈呈したり、あまりに口数の多いアリに対して「ウチの会社の宣伝マンとして雇いたい」とジョークを言ってアリを苦笑させるなど、前哨戦では互角の戦いを見せていた。

当時、世界的なボクシングチャンピオンと極東のプロレスラーとの立場の差は大きかった。

「イノキ? Who?」

アリ側に有利なルール

試合のルールは、ほとんどのプロレス技が反則になるという猪木にとっては不利なものだった。
内容はタックル、チョップ、投げ技、関節技などが禁止され、明文化されていなかった部分では「ロープブレイクの厳格化(体が軽くロープに触れただけでブレイク成立)、猪木側は片肘もしくは片膝をついた状態のみ攻撃が可能」というもの。

(この「手かせ足かせルール」は事前のルール決定の会談においてアリ側の半ば強引な交渉によるものだったと言われている。それは公開スパーリングで猪木の激しい技を目の当たりにしたアリ陣営が、普通のプロレスリング対プロボクシングの試合では勝つことが難しいと悟ったためであるとされる。)

世紀の一戦を告知するポスター(東京スポーツ新聞)

公開スパーリングのチケット

試合は「世紀の凡戦」と揶揄された

アリの足元にスライディングをして、アリを転倒させる作戦に出たが失敗。

それから猪木は幾度となくリングの上に寝転がり、アリの足を集中的に蹴った。
また、苛立ちを感じたアリは猪木に立つように挑発。猪木も何度か立ち上がりはしたものの、またアリの足を狙いに寝転がった。

猪木の蹴りによるダメージは確実にアリに蓄積していたが、試合中では足の痛みを晒け出すことなく常に自身の代名詞でもある軽やかなステップを踏み続けた。

ラウンドをこなすにつれ、キックを受け続け体力も消耗し、猪木を挑発することも無くなった。

一報の猪木も決定打を出すことはできず3分15ラウンドを戦い抜き、引き分けという結果に終わった。15ラウンドのほぼ全ての時間を寝ながら戦った猪木と何もなす術のないアリに対して、観客は物を投げたり、罵声を浴びせた。

この試合は「世紀の凡戦」「茶番劇」といった評価が飛び交った。

しかし、その後90年代に訪れた総合格闘技ブーム時に「アリvs猪木」の一戦は評価され、打撃と寝技の戦い方の一つとして認識(一般には「猪木アリ状態」と呼ばれる)されている。

当時、アリ戦に向けて、猪木のトレーニングパートナーを務め、試合当日もリングサイドでセコンドを務めたプロレスラーの藤原喜明は、茶番とされた状況に対して、「そもそも出来レースならもっとおもしろくしますよ。真剣勝負だったからこそ、ああいう展開になったんです」と真のリアルファイトを強調している。

モハメド・アリvsアントニオ猪木戦と言えば「猪木アリ状態」!

当時、特別リングサイド席が5千円の時代で、この猪木vsアリ戦の特別リングサイド席の値段は10万円。一番安い席で5千円と破格の金額設定だった。
また、テレビの視聴率は昼間の生放送が38.8%、夜の再放送が29.9%だった。

リングの内外は大混乱!

【動画】猪木、アンドレ、ザ・ロック。ハルクホーガンが選んだベストバウト3つ - Middle Edge(ミドルエッジ)

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