異質なSF映画「未来世紀ブラジル」 ディストピア映画の傑作とされ、シニカルな笑いも秀逸です!

異質なSF映画「未来世紀ブラジル」 ディストピア映画の傑作とされ、シニカルな笑いも秀逸です!

1985年公開「未来世紀ブラジル」。イギリスのコメディ集団モンティ・パイソンのテリー・ギリアム監督が仕掛けたブラックユーモアに溢れたSF映画の名作です。


SF最高傑作の一つ 「未来世紀ブラジル」

日本公開時のチラシ

情報化社会を風刺した内容

ハエ一匹入れないような完全無欠の管理社会。
ですが、ハエ一匹でシステムに亀裂が走ります。

夢の中でサム(ジョナサン・プライス、右)は、ジル(キム・グライスト、左)によく似た美女をサムライ(鎧兜)から救う。

ダクトの修理屋・タトル(ロバート・デ・ニーロ、右)

キャラクターの造形や設定が、物語の不可思議さにより深みを与えています。

ブラックユーモアを基調としたコメディ集団「モンティ・パイソン」の一員であるテリー・ギリアム監督ならではと言えます。
混沌とした世界を、面白いまでに操ってくれます!

サムの哀れな最期で物語は終わります。
しかし、本当に哀れなのはサムの方でしょうか?
情報を管理する人間が、いつの間にか情報に管理されてしまう世界。

私達にとって、未来世紀の話ではないかも知れませんね。

ブラックユーモアに溢れた予告

ディストピア映画としての秀作

ディストピア映画とは?

「AKIRA」のようなサイバーパンクやスチームパンク等、1980年以降に定着した映画ジャンルもディストピア映画の一つです。
同じ世界に、支配する者と支配される者がいるのも特徴ですね。

作品としては「時計じかけのオレンジ」や「ターミネーター」、「マッドマックス」等が挙げられます。

本作「未来世紀ブラジル」も同様ですね。
公開から30年以上経った今も代表作の一つとして挙げられます。

その大きな理由として、物語の疾走感や不条理さがあるように思います。
単に「重厚な作風」や「アクションが面白い」のではなく、順を追った正統な物語作りから逸脱している点が魅力です。

夢と現実を織り交ぜ、ある種感覚的な鑑賞を求める本作の「リズム感」が、全体として心地よく、最後まで持続しています。イマジナリー(空想的)な世界が見事に演出されています。
管理社会を風刺する為に、ブラックユーモアを織り交ぜた「軽さ」もまた秀逸でした。

それらが人気の理由の一つではないでしょうか。

ディストピア小説「1984年」の影響

ジョージ・オーウェル 「一九八四年 (新訳版)」 
早川書房

ディストピアSF 「メトロポリス」との差別化も!?

「未来世紀ブラジル」以外にも、「ブレード・ランナー」や「天空の城ラピュタ」、手塚治虫の「メトロポリス」等数々の作品に影響を与えたと言われているフリッツ・ラング監督の「メトロポリス」。

1926年の作品。
その当時に考えられた100年後の未来都市。
「未来世紀ブラジル」同様、徹底的な管理社会をテーマにした物語です。

舞台装置としての「ダクト」の存在感

ダクトの存在が管理社会をより際立たせます。

「ダクト」に見られるテリー・ギリアムの反抗心

きっかけは母国アメリカでの抑圧

テリー・ギリアム監督

まがいなりにも自由と平和を謳歌する国が、実のところその体制は、アメリカという国自体も、ハリウッドという映画社会の中においても、お上が偉い、独裁国家、独裁主導のそれと変わりないですよということ。 その象徴的な存在が、この映画における、ダクトの存在です。 映画の中では、色とりどりの色彩豊かなむき出しのダクトが、いたるところで出てきますが、このダクトで中央政府(国)は、国民に水道やらガスや電気や空調などの設備・資源を供給してますが、ダクトがなければ、(政府に頼らなければ)人間は生きていくことも出来ない、しかし、そのダクトがどのような仕組みになっているのかも知らず、故障すれば、また政府の許可を得た上で修理してもらうしかない。 という、現代社会においての一人では生きることができないという脆さを、このダクトがメタファーとして強調しています。 しかし、そんな体制管理の中に置かれるのを嫌う男がいます。 国的にはテロリスト以外の何物でもない危険な人物なですが、それがロバート・デ・ニーロの演じたタトルという黒ずくめのもぐりのダクト修理工であり、反政府テロリストです。 タトルは、アメリカで色んな苦渋を舐めてきて、真っ向から反抗してきたテリー・ギリアム監督自身の投影です。

http://cinema-mania.seesaa.net/article/420592818.html

映画『未来世紀ブラジル』管理社会に対する痛烈な批判: 映画マニアの徹底レビュー

タイトルに「ブラジル」が付けられた真相

映像にはオマージュも見られた!

他にも、ローアングルで撮影された情報省の無数にいる役人達のシーンは、スタンリー・キューブリックの映画「突撃」へのオマージュとも言われています。

また、「サムライ」が出てくるシーンは、テリー・ギリアム監督自身、黒澤明の「七人の侍」が好きという事もあり、黒澤明へのオマージュではないかとも噂されていますね。

結末を巡って監督が抵抗!

ユニバーサル・ピクチャーズの要求を拒否!

バトル・オブ・ブラジル「未来世紀ブラジル」

ジャック・マシューズ (著)、柴田元幸 (訳)
ダゲレオ出版

まさに映画のラストシーンを巡る戦いが、皮肉にも物語で表現していた管理社会のようですね。

テリー・ギリアム監督は、その後も映画製作において苦戦を強いられます。
「ドン・キホーテを殺した男」は様々なアクシデントにより製作中止、「ブラザーズ・グリム」ではセットや全米脚本家組合との問題で公開が遅れるなど、とことん映画の神様に見放されます。

しかし、公開すれば熱烈なファンが多く、作品の評価が高いのもまた彼の特徴でもありますね。

世紀を超えてなお愛される「未来世紀ブラジル」の特集でした。

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