石川ひとみ『まちぶせ』。異例のロングヒットとなったユーミン作詞作曲の名曲

石川ひとみ『まちぶせ』。異例のロングヒットとなったユーミン作詞作曲の名曲

ヒットに恵まれなかった石川ひとみが勝負をかけて11枚目のシングルに選んだ『まちぶせ』。ユーミンが作詞作曲し、1975年には三木聖子が歌ったこの曲を選んだエピソードや、ストーカーっぽい歌詞について当時の動画を交えて紹介。


『まちぶせ』ヒット前の石川ひとみ

愛知県海部郡美和町(現:あま市)出身。
1959年9月20日生まれ
デビュー当時からルックスと歌唱力が高く評価され、全国ビューティ・オール学生協会から「'78マスコット・ガール」に選ばれるなど大学生を中心に絶大な支持を得る。
男性誌を中心に水着姿でのグラビア撮影が多かったが、石川は水恐怖症だったので芸能界入りするまでは水着を1着も持っていなかったという。

石川ひとみ

高校2年時、フジテレビ系オーディション番組『君こそスターだ!』でチャンピオンとなる。
1978年5月25日、キャニオンレコードのNAVレーベルより「右向け右」でデビュー。
アイドルとしてグラビアなどに引っ張りだこで、NHKの人形劇「プリンプリン物語」では声優として人気を博していた。
しかし、歌はシングル10枚を発売して、オリコンでの最高位はシングル2枚目「くるみ割り人形」の42位、3枚は100位以内へのランキング入りすらしなかった。

『まちぶせ』が石川ひとみのシングル曲に選ばれた理由

ディレクターの長岡和弘は、ヒットはしなかったものの前作『夢番地一丁目』でのノスタルジックなサウンドの完成度に自信を持ち、同じ路線上にある『懐かしきリフレイン』を次のシングルとして制作していた。
ところが、完成したトラックはシングル曲としてのインパクトが弱く感じられ、採用を躊躇してしまう。

そこで挙がったのがユーミンこと松任谷由実(当時・荒井由実)の作詞作曲の『まちぶせ』。
この曲は1976年に同じ事務所のアイドル歌手だった三木聖子が歌い小ヒット(7万枚)していた。

きっかけは石川の所属する事務所で有線放送の課長が雑談していた際に、「いまだに三木聖子が歌った『まちぶせ』のリクエストがあるんだよ。いい曲だから、ひとみちゃんなんかが歌ったらもう一度売れるんじゃないかな」と語った何気ない言葉だったという。

石川は愛知県の高校1年生だった当時、ラジオから流れてくる三木聖子の「まちぶせ」を聴いいて「いい歌だな」と思い、レコードを購入していた。
仮歌を録音時に「この歌大好きだったんですよー、これシングルになりませんかねぇ」と、いつになく積極的な石川の発言に自信を深めた長岡は、シングル発売を本格的に進めた。

過去に小ヒットに終わった楽曲のカバーについて、社内の制作会議など周囲から多くの反対意見を受けたものの、各方面への度重なる説得を経て、石川ひとみの『まちぶせ』は発売にこぎつけた。

18歳で上京しデビューしたとき「最低4年は頑張ろう」と考えたその4年目であった石川は、「この歌だったら、これが私の歌手生活のピリオドになっても悔いはないな」と思ったという。
「この曲で歌手としては一区切りつけるつもりだった」とテレビで発言している。

『まちぶせ』は発売後2ヶ月以上経ってから異例のロングヒットに

『まちぶせ』のランキングが上がり出したのは、発売後2ヶ月以上経ってからのことだった。
じわじわとランキングが上昇し、8月3日付けでようやくオリコントップテン入り(9位)を果たす。

その間、7月21日には本曲をタイトル曲としたアルバム『まちぶせ』が発売され、石川のオリジナル・アルバムでは最大のセールスを記録している。
シングルはその後、最高位6位を記録し、11月過ぎまでランクインが続いており、3〜4ヶ月おきにシングルカットする当時のアイドルの曲としては異例のロングヒットとなり40万枚を記録した。

『まちぶせ』がロングヒットしたため、次のシングル曲として予定されていた『にわか雨』の発売見通しが立たず、にわか雨の時期を過ぎてしまったということもあって発売見送りとなった。

作詞・作曲:荒井由実/編曲:松任谷正隆
1981年4月21日発売。
B面は当初A面に起用予定であった『懐かしきリフレイン』
この『まちぶせ』について石川ひとみは「曲もいいし、詞の内容が私たちの中学、高校時代の青春にぴったり。私にもこういう経験がある」と語っている。

石川ひとみ『まちぶせ』

念願の『NHK紅白歌合戦』に初出場を果たす

冷静に読むとストーカーっぽい歌詞の『まちぶせ』

石川ひとみの綺麗な歌声と切なげな表情、愛らしいルックスから『片想いをしているけなげな女の子』の純愛の歌であると思われがちだが、荒井由実による歌詞自体には好きな男性を振り向かせるためにあらゆる打算を使いまくる強かな女の子が描かれている。

松任谷正隆も『まちぶせ』の歌詞について、「ストーカーの歌ですよね(笑)。メロディはともかく、詞は彼女でなければ書けない世界」と語っている。

ユーミンによるセルフカバーの『まちぶせ』

石川ひとみ以降も『まちぶせ』は國府田マリ子、徳永英明など多くのアーティストにカバーされている。

作詞作曲を行ったユーミン自身も1996年に荒井由実名義でシングルとして発売している。

今も変わらぬ美声で『まちぶせ』を歌う石川ひとみ

2009年、テレビに出演し『まちぶせ』を披露した石川ひとみ。
50歳頃とは思えない美貌と、当時と変わらない伸びやかな歌声で話題になった。

【アンケート】あなたの『My BEST まちぶせ』は?

改めて聴きたい!石川ひとみ

石川ひとみ : ゴールデン☆アイドル

メーカー5社連動企画(ソニー、コロムビア、ユニバーサル、ビクター、ポニーキャニオン)『ゴールデン☆アイドル』シリーズ第1弾。 石川ひとみの1978年デビューから1986年までのシングル23枚、46曲を収録。 アナログSg復刻ジャケットをジャストサイズでブックレット化して収納。 18cm×18cmの紙ジャケット豪華パッケージでの発売。

関連する投稿


吉田拓郎からVaundyまで!『日本ポップス史 1966-2023』発売

吉田拓郎からVaundyまで!『日本ポップス史 1966-2023』発売

NHK出版より、音楽評論家スージー鈴木氏による新刊『日本ポップス史 1966-2023 あの音楽家の何がすごかったのか』が11月10日に発売。1966年以降の日本の大衆音楽を「時代性」と「大衆性」の視点から通史として紐解く決定版です。吉田拓郎、荒井由実、桑田佳祐から米津玄師、Vaundyまで、レジェンドたちの功績と系譜を一本の軸でつなぎます。


【1981年の洋楽】なぜこんなことに・・・原題と違いすぎる不思議な邦題7選!

【1981年の洋楽】なぜこんなことに・・・原題と違いすぎる不思議な邦題7選!

洋楽の邦題というと、最近は原題をそのままカタカナにすることがほとんどですが、1980年代は日本語を使って新たな邦題を作るのが一種の慣例でした。中には、原題と違いすぎて不可解なものもあり、アーティストから苦情があったことも!? 今回は、1981年の洋楽の中から、原題と異なる邦題7選をご紹介します。


1978〜80年はユーミンの暗黒時代?!

1978〜80年はユーミンの暗黒時代?!

ユーミンのアルバムの売り上げは78〜80年のあいだ全盛期に比べると大幅に減退したのだそうです。言ってみれば暗黒時代。ユーミンにもそんな時代があったのです。が、そこはユーミン、楽曲のクオリティはその間もしっかり担保されているんですよ!


地方博覧会ブームの火付け役となった「ポートピア‘81」

地方博覧会ブームの火付け役となった「ポートピア‘81」

神戸港の人口島ポートアイランドが会場となった神戸ポートアイランド博覧会。愛称は「ポートピア‘81」。


石川ひとみが20年ぶりに「まちぶせ」を熱唱!「今聴きたい!昭和の名曲 心にしみる恋愛ソングTOP60」が放送決定!!

石川ひとみが20年ぶりに「まちぶせ」を熱唱!「今聴きたい!昭和の名曲 心にしみる恋愛ソングTOP60」が放送決定!!

テレビ朝日系列にて、音楽番組「今聴きたい!昭和の名曲 心にしみる恋愛ソングTOP60」の放送が決定しました。放送スケジュールは10月11日19:00~。


最新の投稿


国産カセットテープ60周年!「カセットの日」全国3都市で開催決定、懐かしの音と文化を体験

国産カセットテープ60周年!「カセットの日」全国3都市で開催決定、懐かしの音と文化を体験

国産カセットテープの生産開始から60周年を記念し、全国3都市で体験型イベント「カセットの日」が開催されます。最新の再生機器での聴き比べやカセットDJイベント、当時のデザインを再現したレプリカテープの販売など、世代を超えてカセットの魅力を再発見できる「TRACE(トレース)」をテーマにした多彩なプログラムをお届けします。


家族で楽しむ「平成レトロ」な夏休み!Keittoで親子が夢中になる体験イベント開催

家族で楽しむ「平成レトロ」な夏休み!Keittoで親子が夢中になる体験イベント開催

大阪府大東市の街「Keitto(ケイット)」にて、8月8日・9日の2日間、親子で楽しめる体験型イベント「Keitto 夏休み FAMILY LAB.」が開催されます。スーパーファミコン体験や平成レトロ展、オリジナルワークショップなど、親世代には懐かしく、子どもには新しい平成カルチャーに触れられるコンテンツが盛りだくさんです。


福島県初開催!「紙の魔術師」太田隆司のペーパーアート展が郡山市歴史情報博物館で開幕

福島県初開催!「紙の魔術師」太田隆司のペーパーアート展が郡山市歴史情報博物館で開幕

郡山市歴史情報博物館にて、ペーパーアーティスト・太田隆司の企画展「懐かしい風景の記憶―太田隆司ペーパーアートの世界in郡山」が開催されます。福島県初となる本展では、郡山駅前をテーマにした新作が初公開されるほか、作業工程の紹介や多彩なイベントも実施。17センチの奥行きに表現されたノスタルジックな風景をお楽しみください。


「桃太郎電鉄」がじゅうじゅうカルビにやってきた!食べ放題で限定ノベルティがもらえるコラボ開始

「桃太郎電鉄」がじゅうじゅうカルビにやってきた!食べ放題で限定ノベルティがもらえるコラボ開始

焼肉食べ放題「じゅうじゅうカルビ」にて、7月23日より「桃太郎電鉄」とのコラボキャンペーンが開催されます。対象コースを注文すると、先着でオリジナルランチョンマットやアクリルキーホルダーがプレゼントされるほか、抽選で最新ゲームソフトが当たるXキャンペーンや、キャラクターとの記念撮影ができる大型パネル設置も実施されます。


『寄生獣』『宝石の国』集結!「アフタヌーン40周年展」が開幕

『寄生獣』『宝石の国』集結!「アフタヌーン40周年展」が開幕

講談社の月刊漫画誌「アフタヌーン」の創刊40周年を記念した「アフタヌーン40周年展」が、7月10日から東京・池袋のサンシャインシティで開幕した。『寄生獣』『宝石の国』『メダリスト』など82作品・250点を超える貴重な原画を展示するほか、17カ所のフォトスポットや作家から寄せられた描き下ろしイラスト、限定グッズも登場。昭和・平成・令和と漫画界を彩ってきた名作の軌跡を体感できる大型展覧会となっている。