「居酒屋兆治」
映画「居酒屋兆治」。居酒屋の主人、兆治の本名は藤野英治。なぜ店の名が「兆治」になったかというと、高校時代ピッチャーをやっていて、村田兆治に憧れていたからだ。肩を壊し、高校を卒業し造船会社に勤める。英治は首切り役の総務課長に異動になるのだが、それができないため退職し居酒屋を営むことになった。無口で不器用な生き方しかできない男の役を演じる高倉健が魅力的だった。この兆治もまた”時代遅れの男”だった。
現実にこんな高倉健の逸話があった。
「日曜はダメよ」
もう1つ「日曜はダメよ」という映画の話をしよう。底抜けに明るく陽気なギリシャ人のイリアという名の売春婦のラブ・コメディ。イリアは、日曜は必ず商売を休む。イリアに惚れ、売春婦をやめさせようとするアメリカ人の古代史研究家が、日曜に勉強を教えるようになり、ギリシャ悲劇を鑑賞する。
”時代遅れの男”とは全く違うのだが、この映画のテーマソングの「NEVER ON SUNDAY」が実に爽快で良いのだ。一度は耳にしたことがあるスタンダード・ナンバーだ。
筆者は、”サンデー兆治”を懐かしく思う時、なぜかこの音楽が頭の中をめぐる。”サンデー兆治”のピッチングは観ている人々を爽快な気分にした。1985年当時、村田のピッチングを見るために、日曜は必ず仕事を休むという人が多かったことだろう。