“人間の尊厳”や“戦争の不条理”を鋭く描き出し、社会派監督として日本の映画史にその名を刻む家城巳代治。その没後50年、そして戦後81年を迎える今年、彼の遺した不朽の戦争映画を振り返る特別な特集が組まれることになりました。
CS放送「衛星劇場」では、2026年8月に「没後50年 家城巳代治が描いた戦争映画特集」と題し、家城監督がメガホンをとった珠玉の3作品を放送します。時代に翻弄されながらも懸命に生き抜いた人々の姿を活写した名作群のラインナップをご紹介します。
学徒航空兵の切ない青春を描く『雲ながるる果てに』
1953年に公開された『雲ながるる果てに』は、ベストセラーとなった同名の学徒海軍航空兵の手記を原作とした反戦映画です。
物語の舞台は昭和20年の春、本土南端の特攻隊基地。日本軍の勝利を信じて疑わない大滝中尉(鶴田浩二)と、命が何よりも大切であると考える深見中尉(木村功)という、対照的な考えを持つ親友同士の姿を中心に描かれます。愛する家族や恋人を残し、青春の半ばで散っていく若者たちの切実な思いと、全員に出撃の朝が訪れるまでの葛藤が胸を打つ傑作です。
「雲ながるる果てに」
疎開先の子どもたちと教師の奮闘を描く『みんなわが子』
1963年公開の『みんなわが子』は、空襲が激しさを増す昭和19年の夏を舞台にした感動的なドラマです。
山梨へ疎開した子どもたちを待ち受けていたのは、想像を絶する過酷な日々の連続でした。戦火の拡大とともにさらに山奥へと移動する中、医者がいないために取り残された子どもが命を落とす悲劇や、深刻な食糧不足が引き起こす争いが描かれます。子どもたちのためにと、女性教師が食料を求め、ついには禁を犯して奔走する姿を通して、戦争がもたらす過酷な現実が浮き彫りになります。
「みんなわが子」
歪められた人間性を圧倒的な演技で体現した『異母兄弟』
「異母兄弟」
1957年公開の『異母兄弟』は、田宮虎彦の原作を基に、軍国主義下の日本で歪められた精神と人格を持つ陸軍大尉の一生を描いた重厚な作品です。
三國連太郎が演じる鬼頭大尉は、自分より年下の者を虫けらのように扱う一方で、上官の前では見苦しいほど卑屈に振る舞う「鬼中隊長」でした。妻の死後に女中の利江(田中絹代)を暴力で妻とするものの扱いは女中のままであり、やがて先妻の息子たちの出征を経て、終戦を迎えた鬼頭家に訪れる結末までを描き切っています。人間の業と狂気を鋭く抉り取るような三國連太郎の鬼気迫る演技は必見です。
8月は衛星劇場で歴史と向き合う時間を
家城巳代治監督が真摯に向き合い続けた「戦争と人間」の姿。鶴田浩二、木村功、三國連太郎、田中絹代ら昭和の映画界を代表する名優たちの確かな演技とともに、今なお色褪せないメッセージを放つ名作の数々を、この機会にぜひCS衛星劇場にてご堪能ください。
【放送情報および関連情報】
特集名: 没後50年 家城巳代治が描いた戦争映画特集
放送局: CS放送「衛星劇場」
放送日時:
『雲ながるる果てに』(1953年)
8月7日(金)午前8:30~ / 8月13日(木)午後6:00~ ほか
出演:鶴田浩二、木村功、岡田英次、山田五十鈴 ほか
『みんなわが子』(1963年)
8月9日(日)午前8:30~ / 8月21日(金)午前8:30~ ほか
出演:中原ひとみ、桑山正一、北林谷栄 ほか
『異母兄弟』(1957年)
8月14日(金)午前8:30~ / 8月20日(木)午後6:15~ ほか
出演:三國連太郎、田中絹代、南原伸二、中村賀津雄 ほか
公式サイト: https://www.eigeki.com/news/906