内藤大助  イジメに克ち、イジメっ子にリベンジ

内藤大助 イジメに克ち、イジメっ子にリベンジ

日本フライ級、東洋太平洋フライ級、WBC世界フライ級チャンピオン、42戦36勝3敗3分、勝率85.7%、KO率63.9%。恐ろしく強いボクサーなのにオネエを疑われるほど柔和、かつ元イジメられッ子。中学時代に凄絶なイジメに遭い、20歳でジムに入門し、 22歳でプロデビュー。そして24歳で全日本新人王になった後、イジメっ子と再会する。


日本フライ級、東洋太平洋フライ級、WBC世界フライ級チャンピオン、42戦36勝3敗3分、勝率85.7%、KO率63.9%の内藤大助は、北海道の左下、近くに有名な洞爺湖がある虻田郡豊浦町で生まれた。
生まれる前に両親が離婚したため、父親の記憶はなく、母親と兄との3人暮らし。
(内藤大助が高校生のときに母親が再婚。
それまで名前は「太田大助」だった)
母親は、自宅の離れで民宿「旭」を営み、兄弟は、よく自宅の前にある祖父と祖母が暮らす家に預けられた。
内藤大助が着ているものは、基本的に兄のお下がりで、つぎはぎだらけ。
学校の教材も、周りはみんなおニューだが、内藤大助だけお古。
スキーの授業も、みんなが新しいスキーセットを着ける中、内藤大助だけ学校の古い備品を借りて参加。
結果、
「ボンビー」
と呼ばれた。
しかし小柄だが運動が得意な内藤大助は、友人がからかわれていると
「やめろよ」
といって立ち向かっていくなど正義感が強く、クラスで目立つ存在だった。

中学校は、1学年70人くらいで2クラスしかなく、1年生は平穏に過ごしたが、2年生になる学校生活が地獄と化した。
クラス替えで
「アイツ」
と同じクラスになったのである。
アイツは、保育園から一緒の幼馴染だが、なぜか内藤大助のことを嫌っていた。
「運動神経は僕のほうがよかったから、もしかしてライバル心だったのかもしれないけど、面白くないと思われているような気がしていた」
アイツは、勉強ができる優等生。
しゃべりがうまくてクラスの人気者でリーダー的存在で、いつも5人ほどのグループで行動していた。
といっても決して不良グループではなく、悪いことなどしなかった。
少なくとも教師の前では・・・・

「オウッ、何やってんだ」
アイツとグループのメンバーは、そういいながら内藤大助を取り囲み、ふざけた口調で小突いたり、頭を叩いたりした。
「やめろよ」
といって抵抗すると
「アッ、なんだコラ?
やるのか」
と凄まれると、身長が140㎝しかなかった内藤大助は、勝てる気がせず、
「別にそんなつもりはないです」
こうしていつの間にかグループの下っ端として行動を共にすることになった。
そして集団リンチされた後
「これらからお前、地獄だかんな!」
といわれ、絶望的な気持ちに。
毎朝
(今日もやっぱりやられるんだろうな)
と暗い気持ちで校門をくぐった。

ある日、
「ちょっと来いや」
といわれ、後をついていくとアイツは周りに誰もいないことを確認してから内藤大助の肩に手を回し、
「お前、俺たちにイジメられんの嫌だろ?
今オレよ~美術室の窓ガラス割っちゃってさ。
お前、オレの代わりに先生のところに出頭してくれねえか?」
「エッなんで俺が」
「オレがやったってことがバレて高校入試の内申書に影響したらヤベーだろ。
だからお前が先生に、自分がやりましたっていってこい。
そうしたらイジメないでいてやるからさ」
もちろん嫌だったが、断った後の仕返しのほうが怖く、
「わかったよ」
といって暗い気持ちで出頭し、教師に叱られた。


悔しくて辛くて、帰宅後もふさぎ込んでいたが、翌日、教師に
「窓ガラス割ったのお前じゃないんだって?」
といわれ、なぜバレたのかわからず、答えずにいると
「割ったのはお前じゃないっていってきた女子がいたぞ」
その瞬間、うれしくなって、
「はい、実はそうなんです」
教室に帰されると代わりにアイツを呼び出された。
復讐を恐れながら待っていると、帰ってきたアイツは真っ直ぐにこちらにきて、至近距離まで顔を近づけ、
「バレたよ、この野郎」
その後、イジメは激化。
反撃を禁止させた状態でプロレス技をかけられ、さっき話していたクラスメイトに突然、後ろから叩かれ、ビックリして振り向くとアイツが笑っていたり、クラス全員に示し合わせて無視されたりして、悔しさと辛さは増した。
それでも少しでもイジメれらないように、グループに金魚のフンのようにつき、媚を売って生きることを選択。
この苦い記憶は、大人になっても自分を苦しめた。
「イジメには立ち向かえっていう人もいるけど、それができたら、みんな立ち向かっているよ。
強い意志なんて持てないよ!」

ある日廊下を歩いていると、向こうから女生徒がやってきた。
すれ違いざま、アイツは内藤大助を突き飛ばし、女生徒に勢いよくぶつけた。
前のめりのヨロけた女生徒は、怒った声で
「ちょっとなにすんのよ」
「いや、俺じゃないよ」
「ブツかっておいて何いってるの。
じゃあ誰がやったのよ」
「俺じゃないって」
そういって内藤大助は、その場から逃走。
(ヤバいことになった)
と思いながら教室にいると校内放送で職員室に呼び出された。
アイツはニヤニヤしながら、
「何しでかしたんだ~?」

ドキドキしながら職員室へいくと、教師がこちらを睨んでいて、その横にはぶつかった女生徒もいた。
「お前、何した」
「ブツかりました」
「なんでだ」
「・・・・・・」
「そんなことして楽しいか」
「・・・・・・・」
「ちゃんと答えろ」
心の中では
『俺じゃないんです』
しかしそれを声に出していうことはできない。
「お前、そんなことやってモテるとても思ったのか」
「・・・・・・・・」
「最低だぞ」
「・・・・・」
「相手は女の子だぞ。
危ないだろ」
「・・・・・」
「お前、どうするんだ」
そういわれて内藤大助は
「謝ります」
「じゃあ、すぐに謝れ」
「すみませんでした」
頭を下げる内藤大助をみて先生が、
「どうする?
許してやるか?」
すると女生徒は
「許せません!」
「オイ、許さないっていってるぞ。
もっと心を込めて謝れ」
「すみませんでした」
「すみませんでした。
もうしません」
内藤大助は、何度も頭を下げながら目が熱くなった。

翌日、アイツがいないときにグループのメンバーが不満を漏らすのを聞いて、
(仲間によく思われていないんだ!)
と驚くと共に変に勇気づけられ、休み時間に教師のところへ。
そして
「せ、先生。
昨日の女子にブツかった件なんですけど、実はアレ、僕じゃないんです」
と打ち明けた。
すると教師はそっけなく、
「あ、そう。
じゃあ誰なんだ」
「〇〇です。
〇〇が彼女とすれ違いざまに僕を突き飛ばしたんです」
膝がガクガク震えそうになりながらアイツの名前を告げた。
すると教師はニッコリした。
内藤大助は
(わかってくれた!)
と喜んだが、返ってきたのは、
「そうだったのか。
なんで昨日いわなかった」
という予想外の言葉。
戸惑いながら
「だっていえないですよ。
バレたら後から責められるし」
「昨日いわなかったらお前のせいになっちゃうだろうが」
「でも・・・」
「イヤ違う。
その場でいわないとダメだったんだ。
いえなかったお前が悪い。
わかったか」
「・・・・・・・」
「いいか、今度からちゃんといいなさい」
そういって教師は去った。
このときの絶望感も内藤大助の心に長い間突き刺さり続けた。

クラスには、不登校を続けている不良がいた。
身長180㎝と学年で1番体が大きく、ちょっとしたことでキレて、暴れ出すと手がつけられなかった。
結果、誰からも避けられ、自然と学校に来なくなった。
その不良が学校に復帰。
最初はおとなしくしていたが、しばらくすると同級生から物を取り上げたり、気分で叩いたり、横暴が始まった。
誰も歯向かえず、アイツとそのグループは、衝突をさけて距離をとった。
不良は、内藤大助に目をつけ、休み時間になる度に階段の踊り場で蹴りを入れ、内藤大助が痛みでうずくまると
「立て、コラ」
といいながら、何度も蹴った。
昼休みになると内藤大助は、給食のおかずを先生に見つからないように不良に渡さなければならず、毎日、牛乳とパンかご飯だけ。
「金貸せ」
といわれ、コツコツ貯めた大金、5000円を取られたこともあった。
ある夜、電話がかかってきて、
「大助、友達よ」
と母親に受話器を受け取ると相手は、その不良だった。
「おう、××だ。
わかるか」
「うん」
「明日、お前にヤキ入れてやっからよ。
学校休むなよ」
「・・・・・」
「わかったか」
「わかったよ」
「よ~し。
じゃあ明日な。
バイバ~イ」

ある日の放課後、内藤大助はグループのメンバーの家に行くことになった。
みんなでテレビゲームをしているとアイツが
「腕時計みせてくれよ」
といい、内藤大助はつけていたデジタル時計を渡した。
それは祖母が埼玉の娘(内藤大助のオバさん)の家にいったときにお土産に買ってきてくれたものだった。
ゲームが終わり、解散となったとき、腕時計を返してもらっていない内藤大助が
「俺の時計は?」
と聞くと、アイツは
「ん?
オレ知らねえよ」
「貸したじゃん」
「返さなかったっけ」
トボケ続けるアイツに悔しくて仕方なかったが、そのまま帰宅。
しかしどうしても取り戻したかったので、方法を考えていると時計のアラームを昼の12時に鳴るようにセットしていることに気づいた。
翌日、学校を抜け出し、メンバーの家へ。
応対に出てきたメンバーの母親に、
「時計を無くしてしまったので、探させてください」
と頼んだ。
そしてゲームをしていた部屋で祈るような気持ちで時間を持っていると
「ピピピッピピピッ・・」
という聞き覚えのある音。
必死に音の鳴る場所を探すと、天井近くの鴨居に時計が隠されていた。
学校に戻り、メンバーに
「時計あったよ」
というと
「あ、そう」
といわれた。

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